【7月号⑤】「畑Cチーム、ニンジンのサプライズ!!」みつき

 ニンジンといえば、何を想像するでしょうか。

「青臭くて、独特の味、ちょっと苦手」それが、今までのわたしの、ニンジンに対するイメージでした。今季のニンジンは、密集栽培です。そのため、四条植えで、種と種の間隔が五センチメートルになるように種まきをし、なかなかの密集ぶりです。

 ニンジンの「ほかのものより伸びてやる!」という気持ちに火が付いたのでしょうか。わたしたちが想像していた以上に、ぐんぐんと長く葉が伸びていきました。すると、隣り合う株の葉と触れてしまって、窮屈そうになっている箇所が増えてきました。

 そこで、お父さんに教えていただいて、「ニンジンの間引き収穫」をすることになりました。株の間の風通しを考えながら、大きめの株を収穫していくというものです。
  
■うさぎの耳みたい

 さて、初めての間引き収穫の日です。さくらちゃんとふたりで、ワクワクしながら畑に向かいました。さくらちゃんと歩いているとき、畑の斜面に生えている草花のなかに、ふわふわとした綿毛に包まれた、猫じゃらしのような草「チガヤ」を見つけました。

 隣で、「うさぎの耳みたいだね、これを付けてニンジンを収穫したら楽しそう!」 と、さくらちゃんが笑っていました。

   
    

■石拾いの成果

 遠くから見てもわかる、ふさふさのニンジン畑。

 ニンジンの葉をかき分けていると、あの、ニンジンの香りがしてきます。わたしは、その香りに思わず、「おおっ」と声を出してしまいましたが、慣れると、爽やかな香りにも感じられます。

 葉が大きく、開いてしまっているものを選んで、グイっと引っ張ります。でも、落ち着いて……。茎のところでちぎれてしまわないように、慎重に慎重に、力を込めます。

 土がぐぐぐ、と動いて、中から鮮やかなオレンジ色のニンジンが現れました。見ると、太くてまっすぐの、立派なニンジンでした。そのとき、みんなと畑の石拾いをしたときのことが、思い出されました。畑のすぐ隣には川があり、石が多いため、ニンジンが股割れしてしまわないように、何度も石拾いをしました。

 その成果が出たんだなと思って、とてもうれしかったです。本当にきれいなニンジンを見ていると、「ああ、うさぎの気持ちがわかるかも」と感じました。

チガヤを耳に見立てた、うさぎのイラストを付けてラッピングしました

「このニンジンをお父さんとお母さんにプレゼントしたいね」とさくらちゃんが話してくれたとき、頭の中で、ハッとひらめきました。あのチガヤのことを思い出して、「あれを使って、うさぎを作ってラッピングしたらどうだろう?」

 さくらちゃんと、チガヤを摘んで、古吉野に帰りました。うさぎのきゅるんとした瞳や、飛び出した前歯を思い浮かべながら、ひとつひとつラッピングをしていきました。ふわふわの耳も、チガヤによってうまく表現出来ていたように感じて、「早くお父さんたちに渡したいな」と思いました。

 ラッピングされたニンジンを見て、お父さんは、「わぁ! すごい綺麗で大きいね」と言ってくれて、お母さんは、「うさぎ、とってもかわいいね!」とニコニコ笑ってくれました。

 それを見ていると、わたしはしあわせな気持ちでいっぱいになりました。

■丸かじり!

 その後、チームの集合のとき、リーダーのれいこちゃんが、こんな提案をしてくれました。「一人一本、ニンジン丸かじりサプライズ」というものです。

「苦手なニンジンを……生で丸かじり!?」

 わたしは、びっくりしてしまいました。わたしにとって、ニンジンを収穫することよりも、このことのほうが、ものすごいチャレンジだと感じてしまうくらいでした。

 チームのみんなで用意をして、ついに、「それ」が食卓に並べられました。皮をむいただけの、ニンジン。ニンジンの入ったグラスには、さくらちゃんたちが採ってきてくれたお花が添えてあり、見た目はとてもオシャレです。

野花も添えて、さらに色鮮やかに。1人1本ニンジンを丸かじりしました!

「わたしは、うさぎ!」心の中でそう叫んで、ニンジンにかぶりつきました。すると……甘い。とにかく甘いのです。青臭い感じがいっさいなく、旨みがあって、ポリポリと噛むたびに、美味しさがあふれてきます。

「え? こんなに美味しいなんて……」と、感動してしまいました。周りのみんなも同じように感じていたようで、「本当に甘いね!」と、笑顔を向けてくれました。

 みんなで丸かじりすることによって、みんなで育てたニンジンの美味しさや喜びを、これ以上ないくらいに、はっきりと感じました。ニンジンを大好きなうさぎの気持ちになっていると、わたしも、ニンジンが愛らしく感じるようになりました。そして、その香りも味も、大好きになりました。

 育てる野菜に対する愛情は、野菜に伝わっているのだと、わたしは気が付きました。みんなのように、これから育てていくすべての野菜に、身体だけを使うのではなく、心も注いでいくことを、忘れないようにしたいです。

 ニンジンといえば、何を想像するでしょうか。

 そうですよね! ニンジンといえば、なのはなのニンジンです!