【6月号⑫】「夏野菜の定植⑥ サツマイモ ―― 発明!竹を使ったサツマイモの植え付け ――」なつみ

 玄関下の日陰。真っ白な発泡スチロールには、深緑色をした、ハート形の葉が、気持ちよさそうに水に浸かっています。この、サツマイモの苗たちは、今朝、あやかちゃんとまっちゃんが、サツマイモの苗床から、できるだけ長い節で切り取ってきてくれたもので、病気や虫食いがなく、とても綺麗な苗ばかり。

「みんな、荷物を軽トラに乗せて」
 というお父さんの声掛けで、ついにサツマイモは苗床から新しい家へ引っ越します。畑につくと、まず、綺麗に張られた黒マルチの畝が、まるで黒い海のようで、こんなに立派な引っ越し先があるサツマイモは幸せ者だと思いました。

 そして、定植するわたしたちも、綺麗な畑を見て、気持ちが上がり、作業へのやる気も、ぐんと上げてもらったなと思います。お父さんが早速、定植方法を実際にやって、教えてくれました。
 
 まず、サツマイモの苗が植えられるように、マルチの中央に、マルチ用の穴あけ機を使って穴を開けます。この穴あけ機は、高さ十センチ、直径十センチほどの筒で、先端がギザギザとがっているため、マルチに差し込むだけで、綺麗に円状に穴が開きます。 そうして穴をあけた後、今度は、その穴に細い竹を斜め三十度方向に、奥まで、強く差し込みます。

 角度が浅いほど、中くらいの芋がたくさんつき、逆に角度が付けばつくほど、それは垂直植えに近くなり、芋の数はならないけれど、大きな芋が取れるということになります。今年は、中くらいの芋をつけやすくするために、船底植えに近い形で植えるようにしました。差し込んだ竹で作った穴をふさがないように、慎重に竹を抜いて、その穴に、お父さんがスルスルと苗を差し込んでいきます。


 去年は、移植ごてで、畝の土を一生懸命深く掘って、成長点ぎりぎりまで植えられるように、手にマメを作って定植をしていたのに、こんなにも簡単に、あっという間に定植できてしまうなんて、まるで魔法のようだと、嬉しい驚きでいっぱいでした。

 お父さんは、さらにこれから先のことを見越して、暑い日差しとマルチで葉が焼けないように、サツマイモの葉柄のあたりに枯草を枕として置いてあげて、葉がマルチに当たらないようにしていました。

 このとき、枯草の枕が風で飛んでいくと良くないので、マルチに枕の両端を挟みこむといいねと教えてくださり、これで、定植は完了。サツマイモのことを一番に考えたお父さんの定植方法に、苗たちも、とても嬉しい気持ちになっただろうし、お父さんのこと、好きになっただろうなと思います。

「じゃあ、みんな植え付けてみて」
 というお父さんの号令で、わたしたちはお父さんの手順手つきを真似して植え付け始めました。一番面白いのはやはり、竹を刺したところに、苗がスルスルと入っていく瞬間です。優しく差し込むだけで、長い苗もしっかり成長点まで植わるので、芋はたくさんつくだろうし、何より、大変じゃないのは、とても助かって、嬉しいです。

 最後にちゃんと、葉がマルチ焼けしないように草を置いてあげて、みんなで一杯四株でジョウロで水やりをして、サツマイモの定植は完了。なのはなでは毎年、貯蔵した去年の芋を種イモに使っているのですが、見た目は紫でも、中身が白くなっているものがあり、今年は、新たに購入した鳴門金時の芋を種イモに使用し、収穫した芋からできた苗と、購入した芋からできた苗の二種類を育ててみることになりました。

 購入した芋から採って育てたサツマイモも、中身は黄色ではなく、白くなってしまうのか、また、自分たちで育てた芋から苗を毎年取り続けると、だんだんと白くなっていってしまうのか、どうして白くなってしまうのか、解明できたら、それはとても面白くて、大きな発見だなと思い、結果がとても楽しみです。


 お父さんの方法で、綺麗に苗に優しく植え付けても、どうしたって、最初一週間ほどの間、苗は枯れてしまいます。昔の人は、苗が枯れてしまうことを知らず、枯れてしまっても水やりをし続けた粘り強い人が、サツマイモを収穫できたんだと、お父さんが話してくださりました。

 わたしたちは、枯れることを知っているけれど、やはり枯れている姿を見ると不安になります。枯れたサツマイモが、息を吹き返し、のびのびと蔓を伸ばして広げていく未来を、粘り強く信じて、見守っていきたいです。