【6月号⑤】「種籾がまかれるまで ―― 播種に備える工程と心くばり ――」よしみ

 五月に入り、今年もいよいよお米の始まりの季節です。五月九日に、今年もなのはなファミリーでは家族全員で稲の播種を行ないました。私にとって今回で二回目となる播種。今年は播種に向けての準備の段階から私も作業に入らせていただき、昨年よりももっともっとお米のことについて知ることができ本当にありがたかったです。 

 播種に向けて、まずはお米の塩水選から始まりました。私は稲の播種をする前段階の工程があること、そしてその工程を事前から準備をしてくださっている人がいることを昨年のときは知りませんでした。塩水選の作業では質の良い種籾を選別するために規定の濃度にした塩水に種籾を入れます。

〈種籾の芽出し作業。芽が良く出るよう、籾の扱いや水温の管理に気を配りました〉

 

 なのはなでは今回、硫安を溶いた水を使いました。中身の詰まった種籾は底に沈み、これが良い稲になるそうです。硫安水の濃度を測るために生卵を浮かべたりするのも面白くて、なんだか理科の実験に出てきそうな作業だなと感じました。
 
 良い種籾を選んだあとは、芽出しを行ないます。なのはなでは野菜を種まきする前に芽出しを行なっているのですが、稲も芽出しをしてから播種することを初めて知りました。芽出しは最初の一日半は水につけ、その後一日半は少しぬるめのお湯につけます。

 更に、芽出しの期間は三時間おきに毎回その水やお湯を入れ替え、播種の日に向けて全ての種籾の芽がそろうように調整していくそうです。この作業は主にまえちゃんやみかちゃん、スタッフさんが中心に行なってくださったのですが、今年田んぼチームに入っているみんなと一緒に私も、みかちゃんに教えていただきながらお湯の交換を少し手伝わせていただきました。

■ぞっくりと芽が出て

 毎回お湯を交換するときはきっちりと温度を測ることが大切で、温度が高すぎたり低すぎたりすると、芽が出るタイミングがズレてしまうそうです。準備期間中も、まえちゃんとみかちゃんが教えてくださり、お米のことについてたくさん知ることができてありがたかったです。芽出しをした種籾たちは播種の日の前日に予定通りぞっくりと芽が出てくれました。

 丁度そのとき私はまえちゃんたちと一緒に播種の準備をさせてもらっていたので、芽が出た種籾もばっちりと見ることができ、ものすごく小さい芽が種籾からニョキッと出ているのが本当に可愛くて、お米にも命があるんだなと幸せな気持ちになりました。

 また、播種に向けて焼土詰めの作業にも入らせていただき、育苗トレーに、ならし板を使って均等の厚さになるように焼土を詰めていきました。

作業をしているとお父さんが、
「焼土詰めをしていると、心がキツい人は焼土をぎゅうぎゅうに詰めがちで、逆に心が大らかな人は焼土を詰めると普通の人よりも緩めになってしまうんだよ。だから詰めすぎたり詰めなさすぎたりにならず、ちょうど中間になるように作業していってね」
 と話してくださったのですが、同じ作業をしてもその人その人によって微妙に違いが出るのが面白いなと思います。

■準備の段階から

 わずか一日で、あっという間に全てのトレーに焼土を詰めることができ嬉しかったです。他にも、播種の前日には、焼土が詰められた育苗トレーに品種の違いが分かるように色のついたテープを貼ったり、グラウンドや中庭を綺麗に整地したりと、自分も準備の段階からたくさん入らせていただきました。まえちゃんとみかちゃんが毎年、播種に向けて事前にこんなにもいろいろな準備をしてくださっているんだなと知り、播種を迎えられることが本当にありがたいなと思いました。

 そしていよいよ播種が行なわれる日。この日はいつもよりも早めの時間に朝食をいただき、お父さんとお母さん、盛男おじいちゃんも来てくださって、午前九時から播種がスタートです。今年もメインとなるうるち米の「ミルキークイーン」 、そして「紫黒米」、「もち米」の播種を行ないました。


 私は今年も昨年と同様、播種機から出てきたトレーを受け取って、グラウンドまで運ぶ役割をさせていただきました。播種機にはあゆちゃんやりゅうさんたちがずっと付いていて、最初から最後まで水の量の調節をしたり、焼土や種籾を播種機にセットし続けたりしてくださっていました。ずっと同じ体勢での作業はかなり大変だと思うのですが、トレーを受け取るときも、あゆちゃんたちが笑顔を向けてくださってすごく嬉しかったです。

■小さなベルトコンベアー

 焼土が詰められた育苗トレーは、播種機にセットされたあと、小さなベルトコンベアーのように出口まで運ばれていきます。出口から出てきたときにはすでに種籾が播種されていて、更にその上に焼土が薄くかぶさった状態になっていて、美しいチョコレートの層みたいです。この光景はずっと見ていても飽きないくらい面白くて、毎回トレーを受け取る度にワクワクしました。

 
 グラウンドまで運んでいくと、さやねちゃんとさくらちゃんが数を数えながらトレーを水糸をピンと張った場所に並べていってくれます。そして綺麗に並べられたトレーには、土寄せ担当のみんなが地面から風が入らないように土を寄せていってくださいました。更に防除担当、不織布とミラーシートをかぶせていってくれる担当のみんなもいて、播種全体が流れ作業で次々と行なわれていきます。

 それぞれ役割は違っていても、みんなが同じ気持ちで作業しているのを感じ、一体感のある空気が嬉しかったです。トレーを運ぶ担当のみんなの待ち時間は、お父さんがお米のお話をしてくださったり、お米クイズなどもありました。それに、トレーを渡したあとのちょっとした空き時間で、グラウンドや中庭の草取りなども進め、手が余ることもありません。

〈グラウンドでは流れ作業で薬剤散布、不織布・ミラシートかけが進みました〉

  

 播種をしながらも同時に古吉野が綺麗になっていくのが気持ちが良いなと思いました。播種するトレーの数は約六百五十枚と多かったのですが、それを感じないくらい、とてもスピーディーに進んで、年々効率の良い作業へと進化していくことが本当にすごいなと思います。

 それに、今年はあゆみちゃんファミリーも来てくださって、大家族で播種ができて本当に嬉しかったです。今年も美味しいお米がたくさんとれるように、これからも稲の成長を見守っていきたいと思います。