
6月20日のなのはな
2日間にわたり、なのはなの全員が『私の物語』を演じました。
一人ひとりの物語が、幕を閉じました。
それぞれが依存を手放して生きていくための、一歩となる会であり、これから先出会う仲間にとって財産となる、一歩となる会になりました。
私はなにに苦しんだのか。なにが悲しかったのか。
なにが、私が前へ進む足を絡め取っているのか。
依存の根源となる心の傷はなにか。
自分に向き合い、仲間と向き合い、表現した父の日の会。
脚本にしてみんなと一緒に演じることで、自分の過去をより客観的に見つめ、より深く向き合うことができました。
そして、みんなの劇から、たくさんの気付きがありました。
みんなが、潔く過去と決別する姿、セリフ。勇気を出して、戦う姿。
鳥肌が立ち、涙が出ました。
脚本にはない、みんなからの自然に沸き上がる拍手。
それは、主役を演じる子のセリフへのレスポンスです。
「そうだ、その通りだ!」
拍手に込められた、みんなの声が聞こえます。
私も、客席からその劇の中の一員になり、拍手をしました。
主人公のセリフを後押ししたい、そのセリフを肯定する気持ちが溢れて、手を叩きました。
みんなで手を繋いで、ごろんとよくなるんだよ、というお母さんの言葉が浮かびます。1人で立ち向かっているわけではありません。
お互いが、お互いの絶対的な味方になって、心を支えます。勇気となります。
私たちのチームは、2日目の今日、ステージに立ちました。
チームのメンバー5人で作り上げた劇。脚本を書き上げるまでの間、私は自分の体験や、今回の劇を通して突破したい自分の問題を、何度も何度も、チームのみんなに話しました。
まずはチームのみんなに心を開いて、伝えることが一歩だと思いました。なにも怖いことも恥ずかしこともなかったです。
そして、チームのみんなの物語が、良い形で表現できるように、演出を作り上げました。
なにより一番大切にしたのは、主人公の子の気持ちが、心に一番沿った形で思い切り表現できることでした。
練習の度に、セリフが改良されていました。
自分の心の真正面から向き合って、あのとき私の心が感じていた痛み、いまだから言える気持ちを、より深く確かにしていく過程がありました。
私は、今回の劇でひとつの宣言をしました。
私の中にあった、悲しみや怒り、痛みを、手放した先に、私が目指すべき私自身の姿です。
『自分ではわかっていると思っていること』
『みんなもわかっていると思うこと』
いままでは、自分の中だけ、日記の中だけ、でおさめてきた思いや決意がありました。
それを言葉に出して、全員の前ではっきりと伝えることは、自分の中だけで思いを温めることとは、まったく違うことだと感じました。
過去の影を背負って、持てなかった勇気、正義。
私は、そのうっすら自分を覆う影と、痛みと、別れを告げました。
そして、私は過去ではなく、未来に向かって成長していくことを宣言します。
恥ずかしいのは、間違うことではない。
恥ずかしいのは、逃げること、諦めること。
私はそう思いました。
私は、最後のセリフを言いながら、泣くつもりはなかったのに、泣けてきました。
ああ、まだまだ、消化できていなかった気持ちがあったのだと思いました。
みんなが、まっすぐと私を見てくれているのがわかりました。
真ん中の席には、お父さんとお母さんが座っていました。
(ああ、このありのままの私、まだまだ成長していかなくてはいけない、未熟な私を、みんなが信じてくれている。仲間としてくれている。だから、大丈夫)
そう思いました。
私は、みんなの劇を見て、そうだそうだ、と肯定して拍手をしたように、みんなが、受け止めてくれました。
みんなの前で過去の自分、いまの自分を正直に、ありのままにさらけ出して演じられたことが、自分にとって大きな前進になったと感じます。
依存を手放すとき、私を奮い立たせ、勇気づけてくれるのは、なのはなファミリーの仲間の存在なのだと感じました。
「この劇をやって、終わり、じゃないんだよね。いまも必死で、戦っているんだよね」
1人の子の劇のあと、お父さんとお母さんがこう言いました。
その言葉が、私のこころにすとんと落ちました。
私も、自分の劇をやって、解決、ゴールという感じはまったくしませんでした。
むしろ、スタートラインに立って、これから走り出すような気分です。
“劇をしました、依存を手放しました、今日で全てが解決です”ということではありません。
もちろん、なのはなファミリーで心を立て直し、生きる方向性を定めたら、もう依存に振り回されることはありません。
でも、私たちは、よく生きることを諦め続けず、求め続けて、生きていくのです。この会で踏み出した一歩を、私はこれから先の仲間のため、いまいる仲間のために、つなげていきます。
(なお)
今日は父の日でした。お父さんに、卒業生からお祝いのお花や贈り物が届きました!