【5月号⑫】「満開に咲くお花の中で ―― 桃と菜の花のお花見 ――」 ちさ

 

 日に日に暖かくなり、少しずつ蕾が膨らんでいっていた桃の花。一日ほんの少しずつ、ピンクの色合いが増え、またもっと低いところでは、なのはなも桃の木を応援するように囲って、鮮やかに咲き始めていました。作業に出るたびに古畑をみると、お花見はまだかまだかとずっと待ち遠しく感じていました。

 そして今宵はついに満開に。それも雨前の最後のピーク。

 このワンチャンスを逃してはもう散ってしまう! お花も野菜もワンチャンスしかないのだということを感じました。

 儚く、寂しいけれど、だからこそその一瞬一瞬が貴重で、心を掴み、重みが生まれるんだと思いました。

 四月三日の夕方、古畑にいくと私たちを待っていたのは満開に咲き誇る桃と菜の花だけではありません。お仕事組さんたちが作ってくれた豪華な豪華なお花見弁当。 菜の花と桃の花をイメージした巻き寿司に、私たちの大好きなお稲荷さん。ハートの卵焼きに唐揚げに……。そしてトッピングには生の菜の花と桃の花までついていました。

 周りを見渡せばなのはなが、上を見上げれば桃の花が、そして手元を見つめればそこにも可愛らしい菜の花と桃の花。

 

 

■六十個のお花

 何重にもお花が私たちを包んでいました。また、もっと近くにも六十個のお花がありました。みんなの柔らかな笑顔です。こんな贅沢なお花見はほかにないだろうと思いました。

 桃の花は例年に増して大ぶりでした。一枚一枚の花びらが肉厚で、繊細でありつつどっしり腰が座っているなと感じました。また、桃の花びらは五枚だと思っていましたが、六枚のもの、もっとレアで七枚のものまで発見しました。

 桃もいい実に向けて意気込んでいるのかなと感じ、楽しみな気持ちが膨らみました。あんなちゃんやみんなの手入れのおかげです。

 今年は冬がとても寒かったため、積算温度の関係で開花が揃ったとあんなちゃんが教えてくれました。摘花を終えて、桃をつけるために下向きの厳選されたお花だけが残っているため、みんながこっちを向いていました。一つひとつの花が、自分が一番綺麗でしょう、と言っているかのように、堂々と誇りを持って咲いているようにも見えたし、お互いに引き立てあっているようにも感じました。

 お互いの存在がお互いを美しくさせ、みんな揃って本当に美しい桃の木になっていました。それは自分たちも同じなんだと思いました。

 

 

■お互いを思う気持ち

 例えばダンスを思います。一人ひとりのディテールや質があってこその全体だけど、どれだけ一人が綺麗でも個人プレイでは何も面白くない。

 全体でどうかが大事で、全体で美しく見せるための自分のパーツ、美しさを持つこと。あゆちゃんがいつも教えてくれることです。自然は、そんなお互いを思い合う気持ちを自然と持ち合わせているんだなと思いました。

 お花を見ているだけで心が癒されていきました。

 ずっと見ていられるな、と思いました。そうやってうっとりしていると、いよいよオープニングの始まり。

 さきちゃんとせいこちゃんによる寸劇が気分を盛り上げてくれたところで、みんなでお花見弁当をいただきました。

 満開のお花の中でいただくお弁当は特別に美味しく、またおいしいお弁当をいただきながら眺める花も格段に味がありました。

 

■春の花の魅力

 そして、アンサンブルのみんなのスペシャルステージの始まりです。

 映画『千と千尋の神隠し』の中の一曲『いのちの名前』。キーボードの伴奏に乗せて、ソプラノサックスとテナーサックスのニ本のサックスが歌う『タイタニックのテーマ』。なのはなのバンドメンバー人による、『ワイルド・スタリオンズ』。

 そして、あゆちゃんのヴォーカル曲を三曲演奏してくれました。優しく、暖かく、安心感のある音色。美しく、そして儚く、しかし希望のある音色。春の花の魅力そのものを思わせてくれる演奏で、本当に綺麗でした。

 

 

 陽が沈み始め、ライトアップにより桃の花が新たな美しさを放ち始めた頃、桃クイズの時間です。

 

■桃クイズ

 チーム対抗の桃クイズ。あゆちゃんとあんなちゃんたちが企画してくれていました。

 今年この古畑の白鳳と紅清水には千個実をつける予定であることや、桃にやってくる虫について、また桃の歴史についてなど、桃について色々しることができて嬉しかったです。桃は、江戸時代から作り始められていることを知った時は驚きました。チームのみんなと、あぁだこうだ桃のことを考えながら言い合う時間は楽しかったです。

 

 

■お父さんの姿

 最後のとりはお父さんお母さんの弾き語りでした。私の大好きな『ヒーロー』も演奏してくれました。

 全力で歌うお父さんの姿。いつも崖っぷちの気持ちでみんなを守り、今を生き、まだ見ぬ誰かのために生きているお父さんの姿に、自分の甘さを感じ、もっともっとちゃんと生きたい、そう思いました。お父さんとお母さんがいる、みんながいる、そのことがとても心強くて、幸せで、世界一恵まれているなと思いました。

 

 

 天気が怪しくなり、桃の唄をみんなで歌うことができなかったのは残念ですが、また歌えたらいいなと思います。