「花束」 るりこ

5月20日

○花
 10時過ぎから、雨が降り始めました。予報よりも少し早めの降り出しです。
 午後はゆったりモードになり、リビングや図書室にみんながいて、静かな空気が流れていました。何かを話すわけではないけれど、みんなが同じ場所に集うと、1人ひとりの存在を近くに感じて、安心して心が休まるのを感じました。

 今日の園芸ニュースを伝えます。
 最近、勢力的にお花の嫁入りをしています。今は吉畑下のキンセンカが旺盛で、畑に行くたびに次から次へと蕾が開き、収穫の手が追い付かないくらいです。キンセンカはオレンジと黄色のものだけではなく、八重のものや淡い黄色のグラデーションがかったものもあります。

 ここまでは、以前も日記に書きましたが、今日伝えたいことは金魚草のことです。

 ユーノス畑で生けるための金魚草を育てています。それらが一斉に咲き出しました。
 数日前にみくちゃんがキンセンカと金魚草を組み合わせて花束にしてくれたところ、ちさとちゃんから大絶賛でした。

 そんな今日、ユーノス畑に取りに行くと、思いがけずたくさんの金魚草が咲いていて、いつもより多めに収穫をすることができました。白、ピンク、濃いピンク、クリームイエローと、色は様々です。
 金魚草はキンセンカなどに比べると、ある程度の長さがあるため、キンセンカに合わせて短く切りそろえてしまうのも惜しく、みくちゃんが金魚草だけで花束を作るのはどうかと提案をしてくれました。
 それが予想以上の可愛さでした。

 3~4本で1束にしました。色はきれいに映えるように、みくちゃんが配色を考えてを上手く組み合わせてくれました。キンセンカとセットのものも可愛かったけれど、金魚草だけでも十分に見栄えがして、(あ~! わたしが欲しい)と心がときめきました。
 通りがかったまりこちゃんも、「可愛いね」と言ってくれて、みんなにも見てもらいたいと思いました。

 金魚草のことを書いていて、金魚草の淡い色合いは涼し気で夏にぴったりだなと思いました。そして、思い出したことがありました。

 今朝、朝食の席であゆちゃんが、昨晩ホタルを見たという話をしてくれました。
 丁度、昨日河上さんが、「今年はホタルが出るのも早いかもしれないね」と話してくださいました。わたしはホタルと言えば、7月に行なわれる天神涼みの踊り練習の道中に見た思い入れが強く、さすがに5月だとまだ早すぎるのではないかと思っていたので、あゆちゃんがホタルを見たと聞いてびっくりでした。

 あゆちゃんのコメントを聞いたやよいちゃんが、ホタルブクロの話をしてくれました。
 金魚草もそうだけれど、名前に生き物が入っている花に惹かれると思いました。そのままと言えばそのままだけれど、その花を全く知らない人でも名前だけを聞いたら、ある程度の想像がつくだろうし、小さい子供でも身近に感じて覚えやすく、好きになるんじゃないかと思いました。
 金魚やホタルを思ったら、初夏が連想されて、風情だなとしみじみした気持ちになりました。

 話は園芸に戻ります。
 嫁入りを終えたあとは、みくちゃんと校内の花をきれいにしました。主にみくちゃんが生けてくれて、わたしは選別をしたり、みくちゃんが生けるのを眺めていました。

 みくちゃんは一輪一輪を大切にして、どんな長さで、どれと組み合わせて、どの花瓶に生けたら美しく見えるかということをよく考えながら、見せたいイメージを持って生けていました。
 みくちゃんには妥協する気持ちがありませんでした。一輪も無駄にしたくない、無意味にしたくないという、花を大切にする強い思いがあって、最後の最後までどう見せたいのかというイメージを強く持っているのを感じました。この花を見たみんなが嬉しくなるようにと願いながら、みんなのことを思って生けているみくちゃんの真剣な目つきがきれいで、そんなみくちゃんの優しい気持ちが、生けられた花にそのまま表れているように思いました。色合いのセンスもとても美しく、横で見させてもらいながら勉強にもなりました。

 大きくて高さのある花瓶から、小さめで口が広い瓶まで、約10の花瓶にキンセンカ、金魚草、ユリ、スターチスなどを生けました。
 初めは長さも色も種類もバラバラだったものが、だんだんと1つの花瓶にまとめられていき、最初からこうあるべきだったという形や姿に定まっていくのを感じました。

 最後には、それぞれの花瓶に合う背丈の花が花瓶いっぱいに生けられて、ぱっと見ただけでもボリューム感と存在感のある花瓶が出来上がりました。飾りに行こうと言うみくちゃんが嬉しそうでした。
 みくちゃんが生けてくれた花が食堂や校内に飾られることを思うと、これらを見つけたみんなはキンセンカの太陽のような明るさに元気が出るだろうと思い、わたしも嬉しかったです。

 校内に花がある景色や生活を当然のことのように受け止め、通りすがっていましたが、改めてこうして花に囲まれた生活ができるのは、お母さんやみくちゃんが生けてくださっているからなのだと思いました。
 花があるのとないのでは見える景色や世界の色も違うけれど、心が満たされていく気持ちや明るい気持ちになるといった、同じ日常のなかでも心の動きに変化があります。
 最近は母の日に届いた、卒業生からの花が廊下にいくつか並べられてあって、それらを見ているだけで前向きな気持ちをもらいます。
 
 今、みくちゃんと園芸作業を進めさせてもらう機会が多くありますが、そのなかでたくさんの花を知ったり、知識を蓄えて、わたしも常に花(華)のある生き方がしたいと思いました。

 最後に園芸ニュースがもう1つ、先日種まきをしたアスターと千日紅が発芽しました! わずか3日です。自分が種をまいたものが発芽すると、それだけで肯定してもらえたような気持ちになるのはどうしてなのかと思いました。

 他の苗の生育も順調で、なかでもマリーゴールドの勢いが良いです。ここ数日は湿度が高めなので水をやる量や頻度には気を付けて、良い状態のまま苗が旅立てるように心を使って見ていきたいと思います。

(……と、ここまでは午後のゆったりモードで書いたものです。
 夕食の席でお父さんが金魚草の花言葉を教えてくださって、『おしゃべり、でしゃばり』が思いがけない言葉でショックというか、これまでの金魚草のイメージが変わってしまったなと思いました。
 キンセンカのストーリーは興味深くて、次回のなのはなで見られる花を読ませていただける日がとても楽しみになりました。)

○掃除
 ABパターンの役割が変わって、昼食後はゆいちゃんとさくらちゃんと6年生前教室のトイレ掃除になりました。
 人数が3人いるため、2人が基本掃除をし、1人が細々とした普段手を付けられないような部分をきれいにしようということになり、今日わたしは壁をきれいに磨く役割を任されました。
 
 確かに壁は汚れるけれどなかなか掃除ができていない部分だなと考えながら拭いていたところ、わたしが拭き終えた壁を見たゆいちゃんが、「わぉ! 壁、すごくきれいになってる!」と声をかけてくれました。
 ゆいちゃんが掛けてくれた言葉が嬉しくて、もっときれいにしたいと意欲が出てきました。そしてこんなふうに、お互いに褒め合ったり、高め合ったりすることで、より掃除への遣り甲斐が上がったり、楽しさを見い出せていくのではないかと思いました。

 誰かのために掃除をするって本当に気持ちが良いし、楽しいことだなと感じました。掃除と共に自分の心まで洗われていくように感じました。そのことに気づかせてくれたゆいちゃんにも感謝の気持ちを感じて、わたしも嬉しいことはしっかり言葉にして、相手に伝えていける人になりたいと思いました。

 

 夜には、来月20日のイベントに向けて、詳細やメンバーの発表がありました。
 チームで集って、テーマを確認させてもらったところ、思わず頷いてしまう内容で笑ってしまいました。さすがお父さんだなと思います。
 真摯な気持ちで取り組んで、もう二度と依存に逃げない、強い心と身体を取り戻したいです。