【5月号⑦】「胸いっぱいに満たされて ―― 春夏野菜の苗の管理と成長 ――」 れいこ

 春夏野菜の苗が元気に育っています!

 吉畑手前ハウスには今、十六種類の野菜の苗があふれんばかりに並んでいます。

 ナス、ピーマン、トマト、キュウリ、ゴーヤ、白ゴーヤ、レタス、キャベツ、オクラ、スイートコーン、クウシンサイ、スイカ、エビスカボチャ、コナユキヒメカボチャ、バターナッツ、マクワウリ、サンカクメロン。

 春夏野菜のスタートダッシュともいえる、育苗はとても責任があって、緊張するけれど、小さな苗たちの成長は日に日に著しく、たくさんの喜びを与えてくれます。

 毎朝、昼、夕に温度管理や水やりを行ない、それはまるで、生まれたての赤ちゃんを見守るような気持ちです。

 最近では朝、苗をハウスの外に並べて、水やりをすることから一日がスタートします。

 さくらちゃんやりなちゃんと、毎日交代で入ってくれる苗当番のみんなと一緒に、ナスやピーマン、トマトなどの野菜を、ハウスの外の育苗棚に並べます。

 朝一番に、私たちも苗と一緒に頭や身体を覚醒させていく感覚が好きだなと思います。水やりは、シャワーヘッドをつけたじょうろで行ないます。

 野菜が朝日に照らされてキラキラ輝いているのを見ると、胸いっぱいに満たされた気持ちになります。

 それぞれの野菜によって、好きな温度や光が異なります。

 一つの野菜でも、発芽適温と生育適温ではまた異なっていたり、日中と夜間で生育適温が異なるという野菜もあります。

 色んな好みを持った野菜が同じハウスの中に並んでいるのは、小さなシェアハウスのような気分です。なるだけ、どの野菜にとっても住みよい環境であるように努めたいと思い、さくらちゃんやりなちゃんと試行錯誤しながら苗を見守っています。

 今年は、種の芽出し処理を、精力的に行なっています。やよいちゃんやえみちゃん、さきちゃんを中心に、芽出しの技術もどんどん進化しています。

 種を布でくるんで食品トレイに並べ、水に浸して冷蔵庫に一昼夜置きます。

 それから、電熱線で二十五〜三十度に保温し、ビニールや毛布で覆われた芽出しブースで、種を割って芽が五ミリほど見えるまで、芽出しを行っています。

 その芽が動き出した種を、ポットやセルトレイに蒔かせてもらうことで、発芽率はほぼ百パーセントに近いです。

 種はピンセットを使って、出始めた根を大切にいたわりながら、撒いています。

 ときどき根だけじゃなくて、芽も見え始めている種もあります。

 嫌光性の主にウリ科の野菜などには、新聞紙をかけて光をさえぎります。

 特にミズナやキャベツは、粒マスタードにそっくりな、ひときわ小さな種なのに、面白いほどぞっくりと芽が出てくれるので、なんだか自分まで勇気が湧いてきます。

 

 

 発芽に少し苦戦したのは、レタスです。初めの頃、レタスだけがどうしても発芽にばらつきがでてしまって、困っていました。よくよく調べてみると、レタスは十五度から二十度の涼しめの温度がよくて、さらに二十五度以上になると、休眠状態に入ってしまうということが分かって、そのことには驚いたけれど謎が解けてすごくスッキリしました。

 ポットに培土を詰めるときは、かなりふわっと詰めたほうがよいことも、やっていく内に分かりました。赤玉土や川砂などを培土に混ぜて、水はけが良くなるのではないかと試してみたこともありましたが、シンプルに種まき培土ともみ殻燻炭だけが一番良かったです。

 育苗が始まった三月の末頃からつい最近までは、夜間に冷え込むのでその防寒対策に力をいれていました。

 毎夕にハウスの中に全ての苗を仕舞って、お風呂の浴槽のお湯で温めたペットボトルをたくさん入れて、さらにビニールや毛布で覆って、夜間もあたたかく過ごせるようにしていました。

 最近では、ハウスの中では夜間でも十度前後を保って、あたたかくなってきたので、少しホッとしています。今度は日中の気温が、ハウスの中はどうしても高くなってしまうので、苗のようすをみながら、必要に応じて、外の育苗スペースも拡張していきたいなと思っています。レタスやキャベツ、スイートコーンやクウシンサイなど、早めの弾数は続々と畑にも定植されて、順調に成長しています。

 

 

 レタスの第一弾は結球がはじまりました。

 先日、トマトに黄色い一番花がつき始めました。待望の開花に、しばらく目が離せなくなるほど、嬉しかったです。トマトやナス、ピーマンなどの夏野菜が定植間近です。

 ハウスでの育苗も五月いっぱいくらいでしょうか。最後まで小さな苗たちに、優しい気持ちで向かっていきたいです。