【5月号②】「盛男おじいちゃんと山菜採り」 りな

 

 盛男おじいちゃんの山に、山菜採りに行かせてもらいました。盛男おじいちゃんを先頭に、ゆりかちゃん、ななほちゃん、りんねちゃんと山小屋へ向かいました。おじいちゃんの山に来たのは何か月ぶりでしょうか。

 冬の間の景色とはまるっきり違い、四月の下旬の山を、モミジが赤く鮮やかに彩り、上を見上げると、木々の若葉が光を透かしてキラキラと輝いて見えました。木漏れ日が一筋の光になって辺りを照らしている光景、目に飛び込んでくる景色が全て、美しかったです。山の中に入ると少し涼しくて、気持ちもとても清々しくなりました。

 

 

 盛男おじいちゃんと、ゆっくりと山を登っていきました。通りかかる木々や、植物の名前をたくさん教えて下さいました。ヒノキ、モミ、モミジ、カシ……おじいちゃんの山の中には、たくさんの種類の木が、生えていました。

 

アマチャヅル
紅葉の赤ちゃん

 

「これは何だと思う?」盛男おじいちゃんが、一つの木を指して私達に問いかけて下さいました。幹にはでこぼこがなく、ツルツルとしていました。赤茶色の、他の木と比べて色の違う木でした。

 その木の名前は、「サルダマシ」でした。サルスベリという木は知っているけれど、「サルダマシ」という木があることを、初めて知りました。サルダマシ…、本当にサルでも登りづらそうだなあと思いました。別名は「りょうぶ」、初めて知った木の名前を、誰もが心に留めました。

 大きな自然をとても近くに感じて、包まれるような安心感を感じました。私達の身長の、何十倍もある木々に囲まれて、そのスケール感に心を奪われました。

 足元を見ると、まだ生まれたばかりの木が活着して育っていました。高さ十五センチほどのモミジが健気に葉っぱを広げていたり、大きなモミの木の周りにはいくつもの小さなモミの木の赤ちゃんが、芽を出していました。この子たちはまだとても小さいけれど、これから何十年もかけて、私達を抜いてぐんぐん成長していくんだなあと思うと、自然の大きなパワーを感じて、本当に凄いなあと思いました。山の植物全てがパワーの源で、私達も自然からたくさんの元気をもらいました。

 山を登って、ヒノキ林に入ったところが、山菜採りの絶好スポットだとおじいちゃんが教えて下さいました。

 

 

■時間も忘れて

 ななほちゃんとりんねちゃんと一緒に、収穫かごを肩に下げ、ウキウキした気持ちで一直線にヒノキ林に向かいました。

 至る所にシダ植物が葉を広げていて、よく見ると、クルクルッととても可愛らしく葉を巻いているものがありました。赤こごみです。 山菜を見つけていくのが、宝探しをしているようで、とても楽しくて嬉しい気持ちになりました。

 ななほちゃんとりんねちゃんと一緒に、時間も忘れて夢中になって山菜を探し回りました。いつの間にか、ずっと山を下ったところに来ていました三人で、収穫かごの中を見ると、とてもたくさんの山菜が集まっていました。七十人の家族の分まで採れているかな? そう言いながら、盛男おじいちゃんのいてくださるところまで、ななほちゃんとりんねちゃんと一緒に戻りました。

 おじいちゃんは、一つの木の前で待っていてくださいました。その木とは、私達が初めて名前を知った、「りょうぶ」です。おじいちゃんが昔、枝打ちで使ったという一本のはしごをりょうぶの根元に差し込んで、
「このはしごに登って枝を折ってきてごらん」
 と、言ってくださいました。

 はしごを勇敢に登ったのは、ななほちゃん。ななほちゃんが戸惑いなく、スッスッと一歩ずつはしごを登っていきました。見上げないと、ななほちゃんが見えないぐらいまで、ななほちゃんの姿が高い位置にありました。はしごは、一本のパイプに足をかける金具が左右に付いているだけの、とても簡単なはしごだったけれど、地面に差し込まれていて、とても安定感がありました。

 

 

 ななほちゃんが、高いところから、りょうぶの枝を一本折って、地上まで帰ってきてくれました。見ているだけでもハラハラドキドキするぐらい高かったけれど、ななほちゃんが怖がらずにどんどん登っていく姿がとてもかっこよくて、私も勇気をもらいました。

 りょうぶの葉は、天ぷらにすると美味しいよ、と盛男おじいちゃんが教えて下さいました。他にも、見分けがつきにくいコシアブラも教えてくださって、盛男おじいちゃんの優しい心遣いを感じて、とても嬉しかったです。

 毎年ゴールデンウィークに山小屋キャンプを出来るのも、山菜を採らせていただけるのも、盛男おじいちゃんのおかげだなあと思って、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 盛男おじいちゃんと、みんなと一緒に山菜採りに行かせてもらえてとても嬉しかったです。