
5月3日のなのはな
前日の雨もおさまって、見上げると、木の枝や葉の間には、青空が広がっていました。
キャンプ2日目は、朝から晩まで、盛男おじいちゃんの山で過ごします。
「たくさんの動物を捕まえてください!」
実行委員のみんなの楽しいオープニングで、「山小屋ウォークラリー」が始まりました。
わたしたちの作物を狙う、にく~いカラスやイノシシ、シカ。
それを阻止するため、わたしたちは、「ハンティング・ツアー」に出発しました。
ミッションは、6つのゲームを回るほか、その途中で用意されているクイズに答えること。
そして、道具を用いずに、「1メートルの木の棒」と「250グラムの石」を探してくること。
また、コース内には12匹の蝶々が隠れているので、見つけ出すこと。
さあ、スタートです。しほちゃんを先頭に、わたしのチームは森の中を歩き始めました。
なんと、永禮さんもチームに入ってくださって、とても心強さを感じました。
1つ目のゲームは、フリスビーです。
可愛い動物の帽子を被ったみかちゃん、あゆちゃん、つきちゃんが待ってくれていました。
目の前には本物そっくりの、キジ、メジロ、フクロウなどの鳥が並んでいました。
フリスビーを投げてこの鳥たちを捕まえるのですが、なかなか思い通りにはいきません。まっすぐ投げたつもりが、少しずれて飛んで行ってしまったり…
でも、フリスビーをやったことのあるちさちゃんが、次々と的に当てていってくれました。
最後、高く吊るされた風に揺れるオウムも、ちさちゃんがスパッと当てて捕まえてくれました。これは高得点で難易度が高いのに、鮮やかに決めてしまう姿がかっこよかったです。
2つ目のゲームは、射的です。
わたしたちを迎える、よしみちゃんとやよいちゃんの明るい笑顔。まるで遊園地に来たかのようです。
机に並べられたウサギ、イノシシ、シカ。そして口を大きく開けた、クマ! これらを撃って、捕まえます。
永禮さんは射的をされたことがあるそうで、初めの一発で、高得点の熊を撃ち落としてくださいました。永禮さんの撃つ姿勢も、プロのようだったし、次々と的に当ててくださって、とてもかっこよかったです。
わたしは、初めての射的だったのですが、やよいちゃんが打ちやすいフォームを教えてくれました。姿勢を低くして、肘を着くことで安定するということでした。
ポン! とコルクが飛び出していくのが気持ちよくて、楽しかったです。
ここで、ちょっと休憩。
かわいいメニューの看板を持った、ゆりかちゃんとりなちゃんが「いらっしゃいませ」と出迎えてくれました。
おすすめメニューの「切り株クイズ」。
切り株の年輪を見ることで、南の方角が分かるとのことでした。わたしはそのことを初めて知ったのですが、永禮さんが「ああ、こっちが南だね」とおっしゃっていて、太陽の光も頼りにしながら、あまり迷うことなく答えを決めることができました。
クイズに正解するともらえる、冷たいジュース! 火照った身体に染みわたりました。
さて、休憩の後は4つ目のゲーム、吹き矢です。
これまた、本物そっくりのイノシシやシカの的が並んでいました。イノシシには、毛がふさふさと生えていて、シカは潤んだ目でこちらを見つめていました。これは大物です。絶対に捕まえたい!
昨日も吹き矢をしたので、みんな少しコツをつかめてきていて、次々と的に当てていて、とてもうれしかったです。
えりさちゃんの吹いた一本が、高得点のシカの心臓のあたりにヒット。
そしてここでも、永禮さんが大活躍されていました。「永禮さん、あれ、当ててください!」とお願いすると、永禮さんが確実に当ててくださることが本当にありがたかったです。
5つ目のゲームは、タケノコ採りです。
まっすぐ、天に届くかのように長く伸びた竹林の中で、まっちゃんとさやちゃんがクイズを出してくれました。
どの問題も、選択肢がどれも当てはまりそうで、なかなか難しかったです。
面白いなと思ったのが、この問題。「タケノコの生産量が日本一を誇るのはどこ?」
京都府かな? と思いきや、正解は、福岡県でした。
さあ、スコップを持って、タケノコ採り!
あまり大きいものはもう無かったけれど、かくれんぼのように、ちょこんと頭を出しているタケノコが、可愛らしいなと思いました。
最後のゲームは、パチンコです。
さくらちゃん、どれみちゃん、そして須原さんがパチンコの撃ち方を教えてくれました。
石とドングリを用いて、狙うは、今にも飛び立ちそうなカラスたち。
腕やパチンコをまっすぐにすることが大事だということで、飛ばす人のフォームを、ちさちゃんが横からチェックしてくれました。
永禮さんとえみちゃんは、フォームがまっすぐでしっかりしていて、たくさん命中させていて、すごいなと思いました。
わたしはなかなか当てることができなくて、悔しかったので、また挑戦してみたいです。
忘れてはいけないのがこのミッション!
ツアーの最中には、1メートルの木の棒と250グラムの石も探しました。
「あれは○○センチだから、この木の棒は1メートルのはず!」と、まちちゃんのひらめきがさすがだなと思いました。石を選ぶのはとても難しかったのですが、みんなで手に乗せ合って、重さを想像しました。
そして、蝶々探し。みんなで、視野を広くして、目を凝らしながらコースを進んでいきました。
途中、1匹見落としたかもしれないことに気が付いたのですが、仕方ないね、とみんなでそのまま進み続けました。
でも、ゲームの待ち時間で、ちさちゃんとえみちゃんが走ってコースを引き返して、蝶々を探して見つけてきてくれました。しかも、身体には立派なリョウブの木の枝を抱えていました。
ふたりの粘り強く、諦めない心がきれいで、うれしかったです。
最後は、集合時間が迫っていたので、みんなで走ってゴールをしました。
笑顔でゴールしたわたしたちを、山小屋に居たみんなも笑顔で迎えてくれました。
ついに、結果発表です。
ゲームの得点のほか、途中で設けられたクイズの正答数を合わせて、順位が決まりました。
わたしのチームは、永禮さんやみんなのおかげで、高得点をたたき出すことができました。
そしてなんと、1メートルの木の棒はぴったり1メートルでした。蝶々探しも、12匹見つけ出すことができたのは、わたしのチームだけでした。
これは、飛び跳ねたいくらい、うれしかったです。
諦めないで、全力を尽くし続けてくれたチームのみんなには、ありがとうと言いたいです。
ウォークラリー終了後、おじいちゃんにリョウブの木の枝を見せると、「天ぷらで食べるとおいしいですよ」と教えてくださいました。
さらに、「根元から持って行って良いよ」と言ってくださっていて、おじいちゃんの気持ちが本当に有難いなと感じました。
みんなでこんなに楽しい時間を過ごすことができるのは、盛男おじいちゃんのおかげです。
山の中にいると、とても空気がおいしいし、森林の不思議な力を与えてもらえました。包み込んでくれるのに、どこか解放されたような、そんな感覚がしました。
まぶしいくらいの良い天気のなか、家族みんなで山の中を駆けまわった時間が、あっという間でした。
普段の生活では気づくことができない発見や、楽しさを得ることができた時間が、本当にしあわせに感じました。
(みつき)
***
秘密基地というのは、子供のころに布団で穴ぐらのようなものをというのを作ったりするのが一番メジャーなところだろう。あるいは男の子ならレゴブロックで、女の子ならシルバニアファミリーで、ミニチュアな世界において自分だけの家なりなんなりを創作するというレベルのものだ。
今回は本物の秘密基地を盛男おじいちゃんの山の中で作ることになった。幸せの秘密基地を目指して、そこで一夜を明かせるような基地を建設するのである。
私はれいこちゃんチーム。みんなでアイデアを出し合い、材料を集めて大きく生んで大きく育てるという作戦でいった。秘密基地に加えてブランコで遊べるようにもしたいねと話しあっていた。
山小屋キャンプ2日目の当日の午後、まず、基地の場所決めから行なった。場所取りは、私たちのチームは一番グッドだったと思う。秘密感のある奥まったロケーションと木の位置、ここに作ってくださいねと言わんばかりだ。
私とななほちゃんはわらで茣蓙づくり。これは内装だ。さやねちゃんとゆかこちゃんは梯子作り。これは上の階に上がるためだ。しかし2階建てにするわけではなく、上の階にはバードハウスがあってそこに入った鳥を確かめるために使う。リーダーのれいこちゃん、のんちゃん、ゆいちゃん、のりよちゃんは骨組みの部分を担当した。恐らくはこの骨組みこそが一番苦労するであろうミッションだ。基地の基地たる見た目を表現するのだから緊張しただろうと思う。
ブランコをどこに作ろうかと思案していたところ、須原さんが通りがかりアドバイスをいただいた。というよりも須原さんが算段を立てて下さり、手取り足取り教えて下さった。なんとありがたいことか。ちょっと難しいかなと思われていたブランコは完成した。大人が乗っても支える木材が折れたり、固定部分がゆるくなって崩れ落ちることなく、耐久力も完璧だ。
私たちが茣蓙を編んでいるうちに基地はほとんど完成していた。基地の内部に茣蓙をしいて、部屋の中心部分には調理ができるように穴を掘った。この基地のタイトルは「夢の焼き鳥ハウス」。今回のキャンプのテーマであるサバイバルテイストを盛り込んでいる。バードハウスにかかった鳥をすぐ下で即調理できてしまうというハウスである。ブランコは誰かが漕ぐことで発電して、ハウス全体の電力をまかなうという設定である。
他のチームの秘密基地もアイデアと面白さに富んでおり、そこで何日か過ごしてみたくなる建物ばかりであった。屋根が上下して、用途によって使い分けができたり、滑り台があったり、ハンモックがあったり。壁を三面にして労力を最小限にしたりと多くの工夫が見られた。
みんなのセンスと底力を知ることとなった秘密基地つくりだった。なによりも笑顔を絶やさず、明るく前向きに指揮を執って基地完成まで導いたリーダーのれいこちゃんには感謝している。
(けいたろう)
●滑り台、ハンモックつきの秘密基地や、屋根の高さを変えられる基地、檜の樹皮で多い雨露をしのぎやすい基地など、いろいろな基地が完成しました●
***
山小屋キャンプ2日目、ウォークラリーや基地づくりが終わって、明るく賑やかなムードの中で、午後6時、みんなでバーベキュー準備を始めました。
少し前からバーベキュー用のドラム缶に火を起こして、火の番をしてくださっている人がいたり、盛男おじいちゃんは、珪藻土で作られたかまどで白米を焚いてくださっていました。中庭に行くと、消えていたはずのランプのガーランドがピカピカ点滅していたり、もこもこ煙が立ち上っていて、いよいよバーベキュー&ライブが始まるんだなあと思ってワクワクしました。

私はお父さんお母さんチームに入らせてもらって、たけのこご飯を作りました。たけのこご飯は、竹の器の中にお米、タケノコ、だし汁を入れて火にかけて作ります。初めての竹で作るご飯です。私はお米を炊く方法は、炊飯器しか知らなかったけれど、竹でお米を炊くことが出来るんだ! ととても驚きました。炊飯器などがなかった時代にタイムスリップしたようで、とても嬉しかったです。
たけのこご飯は、何をどの分量で、竹にいつ投入すればいいのか、分からないことがたくさんありました。でも、バーベキューの実行委員さんが一チーム分の分量の食材をあらかじめ用意してくださっていました。食材を入れるタイミングは難しいんじゃないかなあと心配していたことも、実行委員さんが丁寧に説明をしてくださり、竹を火にかける時に、全ての食材を入れていいことを知りました。
バーベキュー台の火加減はいい調子! 竹の器の小窓のような蓋を閉めて、早速火が燃え上がっている網の上に、竹を置きました。竹は少しグラグラ揺れて、不安定でした。須原さんやお父さんが、石をかませると固定できることを教えて下さいました。色んな知恵が詰まっていました。
火にかけられた竹は、色んな変化がありました。火にかけて少し経った時、竹の断面からぷくぷくと泡が出始めました。今、中のご飯はどうなっているのかなあとハラハラドキドキしました。お父さんがトングで蓋を開けてくださり、中を覗くと、まだ水っぽくてあまり変化がありませんでした。
そしてもっと時間が経って、火に直接あたっている竹の表面がひび割れてきたころ、また中を覗くと、水っぽいことは変わりなかったけれど、泡が出てきていて、これから沸騰する予感を感じました。
竹から水蒸気が出てきたら、中身が沸騰している合図だよ、と教えてもらいました。火は強くて、でもなかなか水蒸気が出てこなくて、今か今かと竹の変化をまちました。
中庭では、バーベキュー用の野菜きりをしている人、ドラム缶のそばで、火の番をしている人……、みんなが笑顔でとても賑やかでした。須原さんが色んなチームを回って、指導をしてくださっていたり、オープンキッチンでりゅうさんが、みんながウォークラリーで採ってきた山菜を、天ぷらにして揚げてくださっていました。
りゅうさんの手つきは丁寧で、でもとても素早くて、みんなのために揚げて下さっているりゅうさんがかっこいいなあと思いました。

どんどんと空が薄暗くなってきました。ステージのライトが付けられて、オレンジ色の光に包まれました。たけのこご飯は、水蒸気が出てきて、完成まであと少しでした。お父さんが途中、薪を足してくださったり、うちわであおいだりしながら、火を強くしてくださいました。適した火加減が難しいけれど、お父さんがその時々で対処をしてくださって、とてもかっこよかったです。お母さんや、卒業生のゆうきちゃんもそばにいてくださって、一緒に居られたことがとても嬉しかったです。
出来上がったたけのこご飯は、お母さんがよそってくださいました。
盛男おじいちゃんが炊いてくださった白米も、頂きました。お父さんの活気のある、「いただきます!」の声で、ご飯を頂きました。もちもちしていて、でも香ばしくて、これまで食べたご飯の中で、一番美味しかったです。たけのこご飯も、竹の香りがふんわり漂っていて、優しい味でした。とても美味しくて贅沢な夕食でした。機械に頼らずに、自分たちでお米を炊く過程があったから、より美味しく感じます。こうして美味しいものを私達が頂くことが出来るのは、自然の恩恵をたくさん受けているからだなあと思って、改めてありがたいなあと思いました。
空が暗闇になってきたころ、バーベキュー&ライブが始まりました。ライブは、有志チームのメンバーが、たくさん素敵なライブを見せてくれました。
リコーダーとギターのアンサンブル。オリジナル曲、みんなの演奏や曲を聴いていると、元気が出てきたり、優しい気持ちになりました。ライブ会場は、拍手喝采で、とても温かい空気でした。
私は、なつみちゃんとみくちゃんと一緒に、演奏をさせてもらいました。目の前には、なのはなファミリーの原点である山小屋、そしてたくさんの家族がいました。
私は、なのはなのお父さんお母さん、そしてたくさんの家族に支えてもらって、今生きることが出来ています。なのはなファミリーの毎日の生活が、私にとって大切な宝物で、帰るべき原点です。まだ未熟な私だけれど、どんな未来が覗いているか分からないけれど、もっとなのはな色に染まりたい、なのはなファミリーと繋がりたい。一緒にライブをするみくちゃんとなつみちゃんと一緒に、ゴロンと良くなりたい、そう思って歌いました。
盛男おじいちゃんの山に包まれて、目の前のたくさんの家族が温かく受け入れてくれました。すぐ近くに、幸せがありました。今日の灯り、感じた気持ちを大切にしたいと思いました。
ライブはますます盛り上がってきます。須原さんがを歌ってくださったり、永禮さんが歌を披露して下さりました。なのはなバンドメンバーのみんなに囲まれて歌う須原さんや永禮さんがとても輝いて見えて、いつもとは違って贅沢な時間でした。
りゅうさんは、『スタンド・バイ・ミー』と『パーフェクト』を歌ってくださいました。りゅうさんがサプライズで大きな花束をあゆちゃんにプレゼントする瞬間は、とても感動的でした。幸せを噛みしめながら、『パーフェクト』をりゅうさんの歌声に合わせて、みんなでコーラスをしました。
最後の締めを飾るのは、お父さんの歌です。お父さんの歌声を聞くと、涙が出てきそうになります。私達の心をふかふかに耕してくれるお父さん、私達を理解し、未来をどこまでも信じてくれるお父さん……。お父さんの深い優しさを感じます。お父さんの力強い声に、背中を押されて勇気が出ます。お父さんの子供として、お父さんの背中を追って、私もなのはなで成長したいという気持ちが強くなりました。
1日、山の中で遊ばせてもらった感謝の気持ちと共に、盛男おじいちゃんに向けて『フラガール』を披露しました。ステージからはみ出るぐらいまでたくさんのみんなと輪になって踊りました。寧くんや欧ちゃん、そして帰ってきてくれたゆうきちゃんにも、見てもらえて嬉しかったです。
もう終わってしまうのが寂しい、そんな気持ちも少しあったけれど、それよりももっと大切な気持ち、感謝の気持ちを忘れずに、踊りました。
バーベキュー&ライブ、とても楽しい時間を過ごさせてもらいました。
(りな)