【4月号⑭】「太鼓で表現する世界 ――勝央金時太鼓『那岐おろし』の練習――」 けいたろう

 勝央金時太鼓の練習は新たなステージに進もうとしていた。

 私たちは去年二月に勝央文化ホールにて行なわれた、勝央金時太鼓保存会の演奏会『音の饗宴Ⅱ』で、「風の舞」を演奏した。

 この演奏会で披露された、保存会の皆さんの演奏する太鼓はどれも力強く、見る者に衝撃とすさまじい音圧を感じさせたのであった。その中で『那岐おろし』という曲は特に私たちの心に刻まれることになった。那岐山から降りてくる勢いのある風の流れを表現する曲で、『風の舞』よりも難易度の高い曲となっている。これを私たちは二月から本格的に練習することになったのである。

 曲全体で七、八分はある。私たちが練習してきた太鼓の曲の中でも一番の長さを誇っている。あの保存会の方たちが叩いていた曲を私たちが演奏する。本当にそれは可能なのだろうか。はじめはそう思った。

 しかし週に一回の約二時間という時間の中で、集中して練習を重ねることで、それも不可能ではないと思い始めてきた。

 パートは締太鼓、宮太鼓、大太鼓に分かれており、私は宮太鼓を担当することに。宮太鼓は六人おり、その中には新しいメンバーであるサリーちゃんもいる。私は今までずっと大太鼓をしてきていただけに、宮太鼓にパートが変わったことで少し苦労した部分はある。でも、もともとはみんな宮太鼓で基礎練習してきたでしょう? と言われてしまうと言い返せないけど、しばらく大太鼓に身を置いていたので宮太鼓に戻ってきたときに感覚を取り戻すのに時間がかかっているのが現状だ。

 しかしそれも練習を重ね、竹内さんからアドバイスをいただくことで少しずつ修正させていくのだろう。

 

 

 『那岐おろし』の冒頭はさくらちゃん、あけみちゃんの叩く、うなるような大太鼓の響きから始まる。これから何か大きなことがことが起きそうな予感をさせる壮大なイントロが、聴く者をその世界の中に引きこんでゆく。イントロが終わると掛け声と共に締太鼓と宮太鼓が入る。宮太鼓は次から次へと展開が変わり、見ている側としても変化に富むバリエーションにわくわくすること間違いなしだろう。

 今まで練習してきた基本的な技術を組み合わせたものが、いくつもその変化の中にある。アクセントをつけたり、左右の腕の上げ方だったり、創作ソロパートを順番に叩いていく箇所があったりと次々と展開が変わっていく。それが面白いのだが、なかなか大変だ。でも、きれいに音を揃えることができたら達成感も大きなものになると思う。最近、この曲を最後まで教えていただいた。まだ一回しか通していないので、何回も繰り返す必要がある。全体像は見えてきたので、一つひとつの展開を確実に叩けるようにしていきたいと思う。