「銀河線に乗って」 ななほ

4月15日 木曜日
 
 今朝は、あんなちゃん達と桃の霜対策に行かせて頂きました。いつも一緒に暮らしている、畑に出ている、動いている仲間と一緒に回る、桃の霜対策は言葉にできないくらい、楽しくて、美しいです。夜、「楽しみだね」「緊張する」「暖かい服装でね」と霜対策に行くみんなと声を掛け合って、廊下をすれ違う人にも、「気を付けてね」「頑張ってね」と声をかけてもらって、ただそれだけで心が温かくなります。

 午前2時。外へ出ると月明かりはなく、一面に星空が広がっていました。今日は三日月らしく、星が綺麗で嬉しかったです。

 古畑から回り、夕の子、石生、奥桃、池上、新桃、開墾17アール、26アールと畑を回って着火していくと、振り返るたびに、幻想的な景色に心を奪われたような感覚になります。

(いつか、夜の桃畑でなのはなのみんなと『サム・ナイツ』を演奏したい)。
 そんな夢を見てしまう位、とても美しい景色でした。夕の子畑や開墾畑で『サム・ナイツ』を演奏したら、どれほど綺麗だろうか? 夜で暗いけれど、ビデオのピントを手やドラム、足など一部分に焦点を合わせてなのはな版『サム・ナイツ』のドラム隊とダンスを演奏し、最後、照明で全体を照らしたら、とても迫力があるだろうな。そんなことを考えながら、着火して行きました。

 前回から資材を入れる順番が新しくなったこともあり、着火もしやすく感じて、着火後の炎も以前より高く感じました。今回は霜対策が初めての人も多く、せいこちゃんやしなこちゃん、えみちゃん達はとても緊張している様子だったのですが、着火して畑を回るたびに、みんなの表情が明るくなり、ホッとしているのを感じて私も嬉しくなりました。

 桃の霜対策に行かせて頂く度に、
(この景色を、なのはなのみんなに見てほしい)
(この美しさをどう伝えたらいいだろうか?)
 と思い、写真で表現しきれない所が悔しくて、何とも言えない気持ちになるのですが、やっぱりこれは一緒に動いて、桃畑を回った人の特権なのかもしれないなとも思うし、効率よく霜対策をするのも大切なのかもしれないけれど、やっぱり、人力で畑を回り、火をつけて、桃を守る、その時に感じる気持ちや見る美しさは、何にも代えられないと思いました。

 火をつけた瞬間に、ボーっと火がついて、一斗缶の周りまで明るくなり、その度に魔法をかけているような気持ちになります。片手にチャッカマン、片手に竹の棒を持ち、暗闇を走る時、どこかの民族になってお祭りをしているような、原始時代で夜中に狩りに行くような、とてもワクワクした気持ちになりました。

 1人だと暗闇が怖くて、私は車から降りる事すらできないかもしれないけれど、みんなが居て、みんなが同じ気持ちで作業をしているから、夜が楽しくて、暗闇も全く怖くはありませんでした。奥桃畑から見える、夕の子畑の炎や、石生の畑から見る、桃畑を照らす桃ライト。どこにいても、1つ1つの景色が美しく、尊く感じました。

 まえちゃんがドライバーさんで、紺色のボクシーに乗って桃畑に向かうのですが、開墾畑の角までまえちゃんが車を走らせてくれる度に、真っ暗闇に2本の輝く光線ができて、ボクシーがスペースシャトルのような、宇宙まで連れて行ってくれる銀河線のように見えて、このまま空を飛んで、星の王子様に会いに行けるんじゃないかと思うくらいでした。

 いつも見ている景色のはずが、どこか近未来的で、幻想的で、私たちしか起きていないんじゃないかというくらい、静かな夜なのに、心の中は明るくて花火のように嬉しい気持ちが何度も何度も、咲きました。その後も、前回は3周ほどで朝日を迎えたのですが、今回は2時から通しで見回りをしていた為、5周、6周目まですることができて、何度も何度も畑を回り、走り続けて、みんなとの一体感を感じながらの作業が嬉しかったです。

 気が付いたら時計が5時を過ぎていて、どんどん空が明るくなっていきました。霜対策の1時間は10分ほどに感じるくらいあっという間で、どんどん攪拌や見回りもスピーディーに進んでいきました。東の空から段々と明るくなっていき、お雛飾りの菱餅のように、上から水色、黄色、ピンクと空が変わっていく光景が美しかったです。

 今回は6周ほどしたため、車の中で日の出を迎えたのですが、車の中からも線香花火が落ちた瞬間の逆さのように、真っ赤な朝日が昇ってきて、その勢いや迫力、一瞬という儚さと力強さに、涙が出そうになりました。「綺麗だね、綺麗だね」、みんなと見た日の出、夜の間、一緒に桃の霜対策をした仲間と見る日の出、なのはなのみんなと見る日の出は格別です。

 最後まで火も私たちの気力も尽きることなく、無事に霜対策を終えられて、桃を守ることができて嬉しかったです。あんなちゃんが、
「みんなのお陰で桃を守れたと思います」
 と話してくれて、最後までみんなと移動は素早く作業ができて嬉しかったです。

 昼食の時にお母さんが、
「健全に育った子供は、朝早く起きたり、霜対策に行くのが好きなんだと思うよ」
 と話して下さって、嬉しかったです。
 
 お母さんのラジオ体操の話を聞いていて、私も小学生のころ、夏休みにラジオ体操があったけれど、大人の勝手な都合で、いつの間にかなくなってしまったのを思い出しました。
「親が早起きだと、子供も自然と早起きになる。反対に、親がいつも寝坊していると、子供も朝に起きられなくなる」。

 本来、子供は夜中までゲームで遊ぶのではなく、朝早くに起きて、霜対策のように、畑へ出て桃を守るというような、仲間と一緒に夜空を見て、畑を走り回るようなことを好きになるのだと思います。今の時代は、私と同い年くらいの子、或いはもっと小さな子も、朝起きられない子が多かったり、夜はゲームやライン、インターネットを見て深夜近くまでブルーライトを浴びていたり、勉強をしている子が多いように思います。私も、なのはなに来るまでは、その中の1人でした。

 高田郁さんの『みをつくし料理帖』や『あきない世傳』を読んでいても感じる事なのですが、本当に昔と今では生活リズムも大きく変わって、幸せの求め方も全く違うものになっているように思いました。

 なのはなに来てみんなと一緒に畑へ出る中で、桃の霜対策に行かせて頂く中で、日々の生活の中で感じる気持ちや、考えることは自分の中に毎日少しずつ、積み重なっていて、日常の中で幸せを感じます。

(何かが手に入ったら幸せになれる)、(高いステータス、給料を得たら幸せになれる)、(好きな所へ行き、好きなものを食べて、好きなものを好きなだけ手に入れたら幸せになれる)、それは正しい幸せの求め方ではなく、ただの欲でしかないです。

 お母さんのお話を聞いていて、幸せの求め方も、生活リズムも、結果としては家族全員の責任のように感じて、私はなのはなで教えてもらった事を、どこまでも伝え続けていきたいなと思いました。霜対策も、「朝日と夕日を見た数だけ幸せになれる」とお父さんが話して下さるように、本当に楽しくて、霜対策の仕事をしたい位、毎日でもいいなと思います。みんなとの達成感や喜びは、お金でもステータスでもなくて、心だなと改めて感じました。

 まだ書きたいことがたくさんあったり、霜対策での面白いエピソードも日記に書ききれないくらいあるのですが、今からダンス練習に行ってきます。今日は午後から、ほうれん草の種蒔きや水やりをしたり、夕方も作業をした後だったので20分ほどだったのですが、河上さんに配膳の仕方や盛り付け方、位置などを教えてもらいながら配膳をさせてもらえて嬉しかったです。今日もありがとうございました。