【3月号⑩】「大寒波を乗り越えて ――ニンジンの初収穫 ――」なつみ

 待ちに待ったニンジンの初収穫。畝の上には、濃く、立派な緑の葉が太陽に向かってピンと立っており、ニンジンが、わたしたちが会いに来てくれたことをとても喜んでくれているように感じて、とてもかわいいなと思いました。

 初収穫は、ビニル開閉をしてくれていたまよちゃん、そして、一緒に担当として見守ってくれたさやちゃんと一緒に、温かな日差しと青空の中行いました。 

 「嬉しいね」「楽しみだね」と、ワクワクした気持ちを口々に、より太く育っているニンジンを探していきました。見つけたときは「あった!」と報告し、まるで、宝探しのような楽しさがありました。

 そして、地面からニンジンを抜く作業に入ります。きっと立派であろう、ニンジンを折ってしまわないように、最初は根元を少し掘って、そのあと、えいっ、と抜くのですが、掘っているときに見える、鮮やかなオレンジ色に、期待をせずにはいられませんでした。

 (又割れしていませんように……!)と願い、そして抜く瞬間は、(どんな子が出てくるんだろう)とドキドキして、楽しさ半分、緊張半分といった感じでした。

 (きっと綺麗な子が出てくるだろう)と意気込んで「えいっ」と抜くと、モデルさんの足のようにまっすぐで、綺麗なニンジンが出てきました。
 
 思わず、二人に「見て! 綺麗なニンジン!」と、上に掲げてお披露目してしまいました。記念すべき、一本目の収穫が、本当に芸術作品のように美しくて、大寒波が襲う中で、よく枯れずに、ここまで大きくなったなと、感動しました。まよちゃんが、「綺麗だね、可愛いね」と言いながら、たっくさん写真を撮ってくれて、それも、ニンジンの母としては、とてもありがたくて、自分のことのように嬉しかったです。

■可愛いニンジン

 初収穫で採った十七本、全てが又割れしていない、まっすぐで鮮やかなオレンジの子ばかりで、寒さを乗り切り、土の中で鮮やかで立派な根を育てたニンジンの粘り強さ、生きる姿も、本当にきれいだなと思います。

 そんな中でも一本だけ、とても可愛い子が出てきました。「これは太い!」と、良いながら、一生懸命土を掘るまよちゃん。さやちゃんとわたしは、どんな大物が出てくるのだろうと、ワクワクして、様子を見ていました。

 そして、まよちゃんが腰を入れて、地面の中からニンジンを引っこ抜くと、スポッと出てきたのは、思っていた以上に、太くて、でも短い、まるで赤ちゃんの足のようなニンジンで、拍子抜け。でも、本当にかわいらしくて、この子は、まえちゃんに「たけちゃんニンジン」と命名されました。あまりにもピッタリの表現にわたしが嬉しくなって、たけちゃんに、赤いリボンを結んでプレゼントしました。
美味しく食べてくれたらいいなぁと思います。

 
 古吉野に戻り、お父さんお母さんにプレゼントする子を選びました。太くて、長くて、まっすぐな子を、ラッピングし、りなちゃんがリボンを結んで、えつこちゃん、さやちゃん、ななほちゃんと一緒に兎を折って、リボンに乗せました。

 わたしは、ニンジンの初収穫が本当に嬉しくて、この気持ちを、一緒に、ニンジンを見守って、手入れしてくれたAチームのみんなと一緒に(歌いたい)と思い、やよいちゃんに相談すると「いいね!」と言ってくれて、れいこちゃんも一緒に、三人で歌を作りました。そして、お父さんお母さんにプレゼントする三、四日前から、みんなで練習をしました。

 歌の練習をするなかで、みんながキッラキラの笑顔で、大きな声でとても楽しそうに、わたしと同じくらい、ニンジンの収穫を喜んでくれているのを感じて、わたしは幸せ者だと思いました。綺麗なニンジンが採れて、それを一緒に喜んでくれる仲間がいて、わたしは、なのはなで野菜を育てられることが幸せで、何より楽しいことかもしれないと思いました。

畑Aチームのみんなからお父さんとお母さんへニンジンをプレゼント

 思えば、どんな時もみんなが助けてくれました。わたしは名ばかりの担当で、ニンジンが収穫できたのは、何より仲間のおかげだと思います。種をまくとき、(芽が出ますように)と、祈りながら、一粒一粒蒔いてくれた人がいて、水やりが必要な時は、声を掛けたらみんながじょうろでの水やりを手伝ってくれました。 

 作業効率をよくするため、やよいちゃんが高低差で水やりができるように、タンクとホースを設置してくれた時は、あまりの便利さに感動したのと、これで必要な時に、ニンジンが求めるだけの水やりができると思うと、わたしとニンジンは、なんて恵まれているのだろうと、心の底から幸せを感じました。

 どんな作業も、わたし一人ではできなくて、困ったときは、やよいちゃんに相談し、お父さんもアドバイスをくださって、ここまでニンジンが育ってきました。寒波を乗り越えられたのも、朝食前の時間や掃除の時間にビニル開閉をしてくれた人がいて、やよいちゃんが天気を確認して、ビニル管理を徹底してくれたこと。そして、ニンジンが強い生命力、精一杯生きる意思を持っていたからだと思います。

 まだ、ニンジンを育て終わっておらず、第二弾はこれから大きくなって、初収穫を迎えます。ニンジンを初収穫して感じた、仲間、ニンジンへの思いを忘れずに、よりよいニンジンが採れるように、これからの手入れも、見回りも、心を使って行っていきたいです。