【3月号⑧】「落ち葉堆肥、豆殻堆肥の変化」やよい

 落ち葉や豆殻が微生物の力で、分解されて、「腐植」という黒色の土のような、新しいものに生まれ変わります。この「腐植」は、土の水持ち、通気性、肥料の持ちがよくなり、なによりも土を柔らかくしてくれて、土に根をはやす野菜、土に住んでいる微生物が住みやすい環境にしてくれます。堆肥は、野菜にとって宝物のような存在だと思いました。

 今年の春夏野菜に向けて、”宝もの”のような堆肥作りをみんなで行いました。なのはなでは、現在、堆肥の山は、古吉野校舎のグラウンドに五つ、崖崩れハウスの前に二つ、すべてあわせて七山あります。

 十一月下旬から、十二月中旬にかけて、みんなと落ち葉集めの作業で、たくさん集めた落ち葉、小豆の豆出しでわけた鞘、白大豆、黒大豆を脱硫し、脱粒機から出てきた、豆殻、茎、枝、枯れ葉、それらをお饅頭型の山にぎゅっと凝縮して、水、米ぬか、鶏糞などを入れてかきまぜ、上にビニールをかぶせて、堆肥の山を作りました。

 ビニールをかぶせたあとは、月二回切り返しという作業を行っています。堆肥の中に、水分や肥料を補充して、みつぐわでかきまぜ、空気をとりこみ、発酵をうながします。乾燥していて、発酵が進んでいない外側と水分が保たれて、よく発酵している内側の部分をかきまぜることによって、堆肥全体の発酵度合いにムラをなくす目的があります。
 
 堆肥の山を作ってから、二ヶ月と少し。切り返しや、見回りを行い、堆肥の中の様子を見て、状態が少しずつ確実に変わっていっているのが分かりました。落ち葉堆肥と、豆殻堆肥とでは、豆殻堆肥の方が発酵が早かったです。豆殻は、はじめ、茎や、豆殻におしろいがはたかれたように、びっしりと白カビが生えていました。ビニールをあけた瞬間から、みつぐわで掘らなくても、湯気がもうもうと出てきます。

■微生物の世界に

 白カビが生えるのは、発酵がはじまった証拠で、第一段階に入ったということで、今ではカビは全体の三割くらいで、ほとんどの豆殻や茎の形状が崩れて、ぐちゃぐちゃになり、水っぽくべっとりとしていて、焦げ茶色に黒っぽく変化しています。

 白カビが生えたときは、十五度から四十度を好む「糸状菌」という菌が活躍し、発酵の第一段階に入ったということで、二回目以降、約一ヶ月たったくらいから、豆殻堆肥全体のカビの割合が減り、茎や豆殻がぐちゃっとして、茶色っぽくなってきました。今度は、五十度以上の高温で増殖する「放線菌」という微生物が活動し、糸状菌が分解できなかった有機物を分解してくれ、これは第二段階に入った証拠だと思いました。

 香りは、スパイーで香ばしくて、上にビニールをして、密封しても、豆殻堆肥の半径十メートルほどの距離ないでは、その香りがただよってきます。温度も、はじめのころよりもかなり高いなと感じます。おひさまが差す、日中にビニールをあけて、みつぐわで掘ると、出てくる湯気が「温かい」というよりも、「熱!」と思わず言ってしまうくらいです。

 堆肥の最終的な完成形、理想は枝や豆殻の跡形がなく、ほろほろと手から崩れ落ちる細かい粒の土のような状態です。ここまで完璧にしなくても、畑で野菜に使うことはできるのですが、七割くらいは、このような状態にしたいなと思っています。

 今は、全体の茎や豆殻の形状が崩れはじめて、ドロドロべっちゃりとしていて、茎や豆殻の形をとどめているものも、三割くらいは混ざっているのですが、このドロドロとした状態は、最終的に、ホロホロの土のような状態になるまでの通過点、途中段階だと思いました。この段階を超せば、理想の状態になると思います。そう思うと、次の変化が待ち遠しいなと思って、きちんと見守って、必要なものをあたえてあげたいと思いました。

 上にかぶせているビニールは、毎日少しずつゆるんでいきます。きっと、微生物が有機物を分解して、豆殻や落ち葉を凝縮させていくので、体積が縮んでいるのだと思いました。調べたところ、堆肥は完成すればはじめの体積の半分になるとのことでした。

 私が夜寝ている間も、その温度にあった菌が繁殖し、ずっと絶え間なく活動し続けているのだと思うと、微生物の世界に胸がときめいてしまうような、目には見えない微生物の力ってすごいなあ、と思いました。堆肥は見た目も、温度も、その環境にあった微生物を繁殖させ、変化し続けていました。

 豆殻堆肥と違って、落ち葉堆肥の発酵は緩やかだと思いました。湯気はもうもうと出てくるけれど、まだ七割くらいは、落ち葉の形のままだし、カビが生えている箇所も半分以上あって、黒く変色して、形がくずれつつある場所もあるけれど、まだ第一段階なのかなと思いました。

 これは、豆殻もそうなのですが、切り返しをして、二週間後に次の切り返しを行うとき、一山に対して、水を五百リットル補充してあげても、部分的に水分がとんで、かわいている箇所がありました。豆殻堆肥よりも、落ち葉堆肥の方が乾きがとても早いと思いました。

 思ったよりも、水分の蒸発が早いし、蒸発する量が多いと思いました。微生物が有機物を分解するときに、熱が外に放出されて、それに伴って、堆肥中の水分が蒸発してしまいます。

 堆肥の中で熱が生まれるのは、微生物が住みやすい温度を保ってくれるので、いいことだけれど、それと同時に、微生物の好きな水分がとんでいく、という矛盾が起きていると思いました。なので、水分を補充してあげるのは、月に二回どかっとするよりも、適切な量で、こまめに行わなければいけないのかもしれないと思いました。

 そこで、畑のAチームメンバーで、雨の前の日の夕方は、二枚重ねたビニールをぱかっと左右に開けて、雨をしみこませ、振り終わったらビニールをしめる、というのを行いました。雨だと少しずつじわじわと浸透するし、軽トラックを出す必要もないので、これはとてもいいなと思いました。

■窒素と水分

 落ち葉の発酵がおそい理由には、落ち葉に含まれる窒素の割合が少ないことにもあると思いました。微生物の活動のエサとなるのは、「窒素」ですが、豆類の茎、枝、葉に含まれる割合がとても高く、落ち葉の五倍ほどの窒素分がふくまれているので、微生物が豆殻を分解しようと思ったときに、分解しながらエサをたくさん食べられることができると思いました。

 そのため、切り返しを行うとき、落ち葉の堆肥には、豆殻よりも多くの鶏糞などの窒素が多く入った肥料をたくさん入れてあげれば発酵が早くなると思いました。また、豆殻と落ち葉をまぜて堆肥を作ってもよいのかなと思いました。

 ここまで、堆肥の切り返しを月に二回の頻度で行ってきて、堆肥の中を攪拌させることよりも、堆肥をまぜない状態で、水分をもっとこまめに補充してあげることが必要だと気づきました。せっかく中心部分がじっくりと発酵しているのに、そこをかき混ぜてしまうと、発酵の邪魔をするということになりかねないと思いました。

 切り返し自体は月に一回にして、ビニールを開いて、水を与えるのは、週に一回から十日に一回という風なプランに変えて、発酵の速度の変化を見たいと思いました。

 堆肥を作るということは、目の前の大きな物体をまったく違うものに変えるということで、それは一つの大きな課題で、難しいことだけれど、あれこれ仮説を立てたり、実験できるのが面白いです。

 落ち葉の堆肥は、一塊で三トンダンプの荷台、一台半から二台分ほどの落ち葉で作られていて、縦横約三、五メートル、高さは一、二メートルほどあって、とても大きな山です。この大きさや、なのはなの環境にあった、効率や作業性がよい堆肥作りの形を少しずつ見つけていきたいです。