「気付かれない優しさ」 なつみ

3月15日

 今日の天気は、最高気温18度。
 花桃は濃いピンク色に色づき、今にも花をさかせようとしています。
 外に出ると、暖かな日差しを感じていたはずが、動き始めると、日差しの暖かさより、日陰の涼しさを感じて、きっと、春もすぐ去って、夏が来るのだなぁと、気が早いかもしれないけれど、そう思い、楽しみになりました。

 午後の作業中、関係者駐車場をやよいちゃんと通りかかると、真っ白のボディに赤いラインが入った、かっこいいダンプに乗った永禮さんに出会いました。
 その横ではさきちゃんが、わたしを呼んでいます。
「永禮さんが、牡蠣殻を取ってきてくださったから、写真を撮ってほしい」とのこと。
 わたしは、自分が今まで一番速く走ったんじゃないかと思うほど、喜んで駆けつけました。
 見ると、ダンプには1メートルほどのあおりが立てられていて、磯のミネラルたっぷりの香りに、ワクワクしました。

 永禮さんが、「1回だけだからね。しっかりとって頂戴よ」と声を掛けてくださって、わたしは一番よく取れる場所に移動して、ドキドキしながら、おろす瞬間を待ちます。
 頭側の荷台が徐々に上がっていき、ものすごい勢いで、「ガラガラガラ!」と牡蠣殻が崩れました。その場にいたさきちゃんやななほちゃんの顔が、キラキラと輝いていて、一緒に見ることができて、嬉しかったし、写真は迫力のあるものが撮れたのではないかなぁと、そうであってほしいと思うのと、写真で、香りまで伝わったらもっと楽しくて、いいのになぁと、思いました。
 牡蠣殻の山を見ると、可愛い絵にかいたような貝殻、海藻があって、ここで1日遊んでいたいほど面白いものが沢山ありました。
 
 そして、お宝も見つけました。本物の牡蠣と小さなお魚です。
 室内作業のみんなに見せると、喜んでもらえてうれしかったです。
 牡蠣は、スベスベ、ムニムニしてて可愛くて、たけちゃんのほっぺに、色も触り心地もそっくりだと思いました。

 牡蠣殻を下ろし終わって、元々の「スイートコーンの配合肥料づくり」に戻ろうと思うと、やよいちゃんが、なんと、「永禮さんも同じ作業になったよ!」と教えてくれて、内心大きくガッツポーズ。
 タンクに水を入れて、肥料を乗せて、永禮さんの助手席で、軽トラに乗って香本さん倉庫へ向かうと、すでにやよいちゃんが、配合肥料を作ってくれていました。
「鶏糞、米ぬか、リンカリ肥料、もみ殻、牡蠣殻石灰、納豆乳酸菌水を混ぜて、マイルドな、発酵肥料を作りたいです」 
 と説明してくれて、既に作られている小さな山は、とても美味しそうで、スイートコーンも喜びそうだと思いました。
 
 やよいちゃんがさっそく混ぜると、永禮さんが、「混ぜるときは、こうするとええんじゃ」と言って、永禮さんが壁づくりの材料を混ぜるときに得た、混ぜ方を伝えてくださいました。
 2人が山を挟んで向かい合い、交互に山の隅から削って上から下、上から下と混ぜていく。端まで行きついたら、今度は折り返してまた、上から下、上から下へと混ぜていく。
 このとき、相手の山の、奥の方まで、しっかりスコップを突っ込むと、山の真ん中も、良く混ざると教えていただきました。そうすると、本当によく混ざっていくのを実感して、何事にも、所作のようなものがあるんだなぁと、もっと知恵を絞ったり、教えてもらったりして知っていきたい、面白いと思いました。
 
 カクスコやみつぐわを使ったり、鶏糞を運んだりしていると、本当に暑くて、じんわり汗が出てきました。
 永禮さんと向かい合って混ぜるとき、時々、スコップが当たってしまうことがあって、申し訳ないなと思ったのですが、「袖振り合うも他生の縁」と言って、温かく許してくださって、それから、永禮さんのスコップの動きをよく見て、動くと、一回もカーンと当たることがなくて、だんだん永禮さんの心臓の鼓動がわかるような、そんな気がして、もっと永禮さんと作業がしたいと、思いました。とても嬉しかったです。

 肥料袋をたたむ時も、頭を使った収納の仕方を教えて頂きました。
 まず、9枚の肥料袋を平らに重ねて、たたみます。それを大きな肥料袋に入れると、ちょうど10枚。ただそれだけだけれど、簡単にたくさんの袋が、使いやすくしまうことができます。
 既にある方法よりもさらにいい方法というものは、見つけよう、考えようとすればいくらでもあるんだなと思い、それをたくさん知っていて、喜んでわたしたちに伝えてくださる永禮さんの存在が、大きくて、永禮さんだけじゃなくてお父さんやお母さんとの作業でも面白いのは、そういうところがあるからかなと思って、わたしも、進化した新しいものを伝えられる人になりたい、見つけていきたいと思いました。

 スイートコーンの配合肥料は無事に作られて、あとは見守りながら発酵を待つのみです。
 やよいちゃんは「頑張れ」と静かに、それでも力強く声を掛けていました。
 わたしも、作らせてもらった一人として、責任を持って、できることは手伝って、良い肥料で良いスイートコーンができるように、心を使っていきたいです。
 そして、永禮さんとの作業で、今日は沢山の事を学ばせていただきました。
 わたしには、知恵も、心の使い方も、まだまだで、全然考えられていないし、優しくないなと思います。それでも、少しずつでも、永禮さんのように、気づかれない優しさと、みんなが笑顔になる心を持っていきたいです。
 今日は、一緒に作業させていただけて、本当にありがたくて嬉しかったです。

 今日も一日ありがとうございました。
 おやすみなさい。