【2月号⑨】「桃を想って、枝を切る ―― 桃の冬剪定 ――」りんね

 寒波が過ぎ去り、日中は太陽の暖かさを感じるようになった桃畑で、桃の冬剪定が着々と進みました。あんなちゃんを中心に剪定は行われます。加えて二人があんなちゃんの手元となり、剪定作業を進めました。

 桃の剪定の目的は、樹形を整えること、日当たりをよくすること、作業性をよくすること、です。そして目指すところは、〝甘い桃を、たくさん実らせること〟。あんなちゃんが教えてくれました。なのはなの、甘くて、美しくて、本当においしい桃は、一年を通じて気持ちを込めて作られているのだと、感じました。

 冬の桃の木は、まだ茶色い小さな芽を眠らせたまま、静かにたたずんでいます。しかし、木の内側では、来春からの成長のための貯蔵養分が漲っています。そのため、あんなちゃんは冬は剪定をした枝の養分が、また別の場所へと使われると教えてくれました。貯蔵養分がない夏剪定に比べ、木が暴れないように細かな剪定が主でした。

 あんなちゃんは、長年の桃の木みてきて、桃の木を理解しているから、流れるように美しい剪定をしていきます。

 主枝として伸ばしたい枝、実をつけさせて勢いを落としたい枝、空間を利用して残す枝、主枝の肌を直射日光から守るための小枝……。残す枝にはすべて、役割があります。

 手元の子と協力をして、剪定された断面に保護剤を塗ったり、枝を集めたりする狭間、あんなちゃんの剪定を見ていると、あんなちゃんが桃の木に心を添わせ切っていることを感じました。

 青い空を背景に、桃の木と向き合うあんなちゃんの姿は、本当に綺麗です。あんなちゃんがのこぎりを使うと、どんな枝でも軽々と切られるように感じます。あんなちゃんと同じ桃畑にいると、私の心も澄み渡っていくようでした。

■実をつける姿を想像して

 あんなちゃんの剪定は、理屈ばかりでなく、桃の木の意志を尊重しています。

 あくまで桃の木が伸ばそうとしている枝を伸ばし、養分の流れを変えすぎないよう、気遣っていました。太い枝を切る際は一度に切ってしまわず、段階的に年単位で切ることもありました。

 あんなちゃんには、桃の木の未来が見えているようでした。春に枝が伸長した姿、夏に実をつけた姿、来年の冬の姿……。その中で、桃にとって、たくさんの甘い実をつけることにとって、一番よいようにと、剪定がされています。

 桃への深い敬意、責任感を持って剪定を行うあんなちゃんが、本当に優しくて、美しいなと感じます。

切り口に保護剤を塗り、病害の感染を防ぎます

 私はまだ、一面的な目の前の桃の木しか見ることができません。もっともっと桃の木を知り、いつか私も、あんなちゃんのように桃を想った剪定ができるようになりたいと、思いました。あんなちゃんの剪定から、とても大切なことを学ばせてもらいました。

 作業性の良い脚立の立て方や、断面を最小にするのこぎりやハサミの使い方、確実に三本の主枝を剪定し終えていく作業の美しさ、潔さ。心を桃の木にどこまでも添わせて剪定をする姿勢。

 私も、あんなちゃんのようなまっすぐな心持で、どんな作業にも向かいたいと感じました。あんなちゃんのように作物に心を添わせられるようになりたいです。そのためには、作物を知り尽くす必要があることも、わかりました。

 あんなちゃんの桃の剪定を間近に感じて、手元をさせていただけて、本当にありがたく、嬉しかったです。あんなちゃんの姿を心に焼き付けました。