【2月号⑧】「桃の剪定講習会」あやか

 桃の木。なのはなには欠かせない、身近な存在でありながら、実は多くのことを知らない。上品で誇り高く、美しく。でも、ちょっと繊細で気難しい。そんなイメージを抱いていました。そんな桃の栽培について、一歩深めて学ぶことができるチャンスがやってきました。桃の剪定講習会です。

■桃への理解を深めたい

桃の栽培についての座学を行なった後日、剪定の講習会を行ないました。実際に成木と幼木の剪定を見ていきました

 古吉野の校舎からいちばん近い畑、古畑には、二本の桃の木があります。そのうちの一本、紅清水の木を取り囲むように、講習会に参加するメンバーが集まりました。手には、ノートとペン。みんな真剣な面持ちで、講習会の始まりに向け、気持ちを整えています。ピリッとした緊張感と、これから得がたい体験ができることへの喜び。

(あんなちゃんの見ている世界に、少しでも近付きたい。桃の栽培に、貢献できる自分をつくりたい)そんな思いが、ひとりひとりから静かに溢れだしていました。

 いよいよ、講習会が始まりました。はじめに、あんなちゃんが剪定をする目的を教えてくれました。樹形を整えること。一本一本の枝の日当たりを良くすること。作業性を良くすること。

 剪定をするときのポイントとしては、木の全体をみて、樹勢によって剪定の強度を変える。徒長枝の多さや枝の充実具合などから、樹勢を判断し、剪定の強度を決める、と教えてくれました。

 普段、何気なく目にしている桃の木。あんなちゃんの言葉をきき、木の状態を読み取ろうと、心を傾けます。枝一本一本の勢い。その枝に付いた、小さな葉芽や花芽の数。全体としての枝の混み具合。そうすると、少しだけ見え方が変わる。木が、何かを伝えようとしてくれている。そんな感覚がしました。

 剪定が始まりました。あんなちゃんが、仕立て方のポイントや木の性質を解説しながら、枝を切っていきます。木には、様々な性質があります。あんなちゃんは、複雑に絡み合った条件を、瞬時に読み解き、決断し、枝を切っていきます。その手つきが鮮やかで、美しかったです。

 あんなちゃんが教えてくれる、木の性質。枝を切る根拠。その言葉を聞き漏らさないよう、メモを取ります。

 桃に向かうあんなちゃんの姿を見ていて。いろいろと理屈はあるけれど、最後は、やさしさ。木の立場に立って、どこを、どう切られたがっているのか、それを汲んでやること。そんな風に感じました。

■美しい骨格をつくる

 枝を切りながらの木の性質の解説は、一通り終わり、今度は、あんなちゃんが無言で剪定をする姿を見て、学びます。次に、あんなちゃんがどこを切るか、胸の中で予測を立てながら、あんなちゃんの動きを追います。(なかなか、当たらないな……)そんなもどかしさを感じながら、今、吸収したばかりの知識を頭のなかで反芻します。あんなちゃんは、今、どうしてその枝を切ったのか、ワンテンポ遅れて理解が追いついてきます。頭をフル回転させます。

 あんなちゃんが剪定を終えた箇所は、スッキリと枝が整理され、枝同士の間には程よい空間が生まれていました。あるべき姿に導かれた桃の木は、どこか安定感があり、木が喜んでいるように感じられました。

 続いて、開墾二十六アールの畑に場所を移し、四年生の清水白桃の剪定です。二〜四年生の木は、剪定で骨格をつくっていく時期にあり、その剪定の仕方を教わりました。

(骨格をつくる。木の将来を決める、重要な剪定だ)そう思うと、肩に力が入りました。

 けれど、あんなちゃんは、軽やかに解説を加えながら、潔く決断し、残す枝を絞っていきます。主枝とする枝。亜主枝候補とする枝。木の将来が、見えてきました。

 清水白桃の剪定が完了し、剪定講習会は、お開きになりました。本当に色濃い時間でした。自分が、今回の講習会で吸収出来たことは、まだ、ほんの入り口だと思います。けれど、ここで教わったことを、確実に自分のものにして、桃の栽培に還元していけたら、と思います。