【2月号①】「希望ある気持ちで ―― なのはなで迎えた成人式 ―― 」みつき

「ここ、なのはなで通常通り成人式を行います」
 お父さんがみんなの前でそう言ったとき、わたしはうれしさとドキドキが入り混じったような感覚でした。古吉野の体育館で、成人式をみんなから祝ってもらえるのはうれしいけれど、どんな式になるのか? そして、新成人はわたしとサリーちゃんだけだから緊張するなあ、そんなことを考えていました。

 成人式の三日前、成人式の撮影チームが結成されました。カメラマンのかにちゃんのほか、七人がわたしたちの写真撮影、フォトムービーの作成を担当してくれることになりました。なのはなでは振袖のほかにも、ドレスなどを着て何枚か撮影してもらうことができるということでした。なので、みんなでなりたいイメージや好きな世界観を考えました。

 悩んで悩んで、わたしは「強い女性」でサリーちゃんは「やさしい女性」に決定。その日の晩、さっそく衣装合わせをしました。たくさんの衣装から、みんながわたしに似合うものを選んで持ってきてくれました。「これどうかな?」と言われて赤色のアオザイを試着してみると、すごくみんなが褒めてくれました。アオザイは初めて着たけれど、思っていたより似合うんだなと驚きました。そのほか、みんながアクセサリーなど細かいものも、あれがいいこれがいいと楽しそうに選んでくれて、様々な衣装が着れてとてもうれしい時間でした。

赤いアオザイを着て撮影した写真です

 

 翌日から撮影が始まって、一日目は黒いドレス、赤のベトナム衣装を身に着けて撮影しました。「強い女性」を意識した黒いドレスは、まよちゃんがヘアメイクを担当してくれました。前髪を流したかっこいいヘアスタイルになって、普段と違う雰囲気の自分にワクワクしました。

 雪が積もっていて、雰囲気のある写真が撮れそうだということでみんなで外に出たのですがもちろん、撮影の際にジャンパーを脱ぐととても寒かったです。寒いし、緊張するし、顔が固まってしまいそうでした。けれど、撮影の時にみんなが「かわいい!」「笑って〜」と声をかけてくれて自然な笑顔をつくることができました。

 

20歳の2人の「今」を映す写真をたくさん撮影しました

 

 みんながそう言ってくれたとき、なぜかその一瞬は寒さを感じなくて、わたしの心があったまったのかなと思います。そして、撮影が終わるとすぐにさくらちゃんがジャンパーを着せてくれました。みんながわたしの手を握ってあたためてくれたり、まちちゃんは古吉野に走って帰って教室にストーブを点けておいてくれたり……。そういったみんなの心遣いがうれしかったです。

 二日目はチャイナドレス、オレンジ色のドレスでの撮影でした。チャイナドレスはサリーちゃんとお揃いで、サリーちゃんが青色でわたしが赤色です。まるで双子のように、ヘアスタイルもお揃いでお団子にしてもらいました。わたしの短い毛でもお団子がつくれるのかと、やってくれたまよちゃんはすごいなと思いました。

当日の朝は8時からヘアメイクをセットしました

 

 身支度が終わって撮影場所に行くと、りなちゃんやななほちゃんが撮影のセットを考えてくれていました。トランプを散りばめたセットが、ポップでかわいかったです。かにちゃんやちさちゃんが遊び心のあるポーズや表情などを伝えてくれて、相変わらず緊張する気持ちもあったけれど、だんだんと撮影を楽しむことができました。それも、やっぱりみんなが優しい声かけや、心地いい雰囲気作りをしてくれたからだと思います。

 成人式当日だという実感のないまま、朝を迎えました。ヘアメイク担当はあゆちゃん、まえちゃん、ゆいちゃんです。仕上がっていくのを、三人や周りのみんなが 「ほんとに素敵!」と言って微笑んでいました。見慣れない姿の自分に少し驚いたし、恥ずかしかったけれどとてもうれしかったです。

 ヘアメイクが終わると、着付けをするために村上さんと河上さんの元に向かいました。

振袖は村上さんが着付けてくださいました

 

 お父さんとお母さんがわたしのことを考えて選んでくださった、オレンジ色の振袖。村上さんがギュッと強い力で着付けてくれて、河上さんが「これはお母さんのお姉さんの振袖で、とってもいいものなんだよ」と教えてくださいました。

 帯も、わたしのとサリーちゃんのでそれぞれ結び方が異なっていて、カメラで見せてもらったわたしの帯も、後ろから見るサリーちゃんの帯も、すごく美しくて綺麗でした。わたしの地元は成人式が八月に行われていたため、振袖を着ることはないと思っていたのもあって、いま、自分が着させてもらえていることが本当に喜ばしくてありがたいことだなと改めて感じました。

 

 着付けはあっという間に終わって、これから成人式が始まるのだという実感がわいてきて、緊張でソワソワしてしまいました。そこにお母さんが部屋に来られて「みつき、サリー、本当にかわいいよ。似合ってるよ」 と言ってくれて、ずっと満面の笑みでわたしたちを見つめてくれました。それからお披露目の直前まで、わたしたちの髪飾りはどれがかわいいか考えてくれました。それで、少し緊張もほぐれて、心もやわらかくなりました。

 みんなが待っているリビングに入ると、みんなが「わあ〜〜!」と歓声を上げて笑顔で迎えてくれました。やっぱり、恥ずかしくて、照れくさくて、みんなの顔があんまり見られなかったです。

 そのあとすぐに、成人式が始まりました。入場のアナウンスでレッドカーペットを歩いていくと、背筋が正されるような、真剣な気持ちにさせられました。あゆちゃんの司会で、プログラムは「桃の唄斉唱」になりました。わたしは初めて聞いたのでみんなといっしょに歌えなかったのですが、素敵な、なのはなにしかない歌だなと感じました。次は、わたしも大きな声で歌えたらいいなと思います。

 お父さんやたくさんの方からのお祝いが本当にありがたかったです。須原さんと白井さんからは祝電を、河上さんと村上さんからは祝福と応援の言葉をいただくことができました。お父さんからは、なのはなファミリーの理事長として、身が引き締まるような強い力のある言葉をいただくことができました。

 お父さんの祝辞をお聞きして、わたしたちは本当に大変な世の中を生きているということを思い起こされました。コロナ、地球温暖化など……。こういった世界で、自分だけがこうだったらいいとだけがこうだったらいいとか、狭い軸で考える人間にはなりたくありません。わたしはこれから、お父さんの望むような、広い軸、広い視野を持った大人になっていこうと決意できました。

 そして、今日の成人式の感謝の気持ちや、これからの抱負をみんなの前で謝辞として伝えることができてうれしかったです。みんなの前でマイクを使って話すのは初めてで、声が震えてしまうくらいドキドキしたのですが、目の前のお父さんとお母さんが笑顔でうなずいてくれました。なので、落ち着いて最後まで話しきることができました。お父さんの目が少し潤んでいて、わたしも泣いてしまいそうになりました。

 

 みんなでの写真撮影でも、みんながせーので「成人おめでとう」とお祝いしてくれて、退場の時のみんなの拍手と笑顔も、とってもあたたかくて、ほっとしました。昼食後は、チームのみんなと古吉野の様々な場所で撮影をしてもらいました。

 

 途中から、お父さんがカメラマンをしてくださいました。お父さんの笑っている顔を見ていると、わたしも自然に笑顔になれました。お父さんの産着を使って作られたつるしびなや、傘や椅子などのいろんなものと写真が撮ることができたのも、楽しかったです。撮影三日目になると、なつみちゃんが撮影してくれているムービーに笑顔で手を振れるくらいの楽しさがあふれ出てきていました。全ての撮影が終了したとき、振袖を脱いでしまうのを寂しく感じました。

 挙げきれないくらいの撮影チームのみんなのやさしさの数々。本当にうれしかったです。今日までの三日間、ずっとわたしやサリーちゃんのために気遣ってくれたり、声掛けをしてくれたり、「一生残るものだから」と良い写真をおさめようと動いてくれたり。

  みんなに感謝の気持ちしかありません。やってもらってばっかりだったのに、「この空間にいれて幸せ!」「みつきちゃん、幸せな気持ちをありがとう!」と言って笑ってくれて、本当に本当に、涙が出そうなくらいうれしかったです。チームのみんなだけでなくて、リビングや体育館の飾りつけ、清掃を行ってくれたみんなにも、感謝の気持ちしかありません。

 

 わたしは成人式を迎えるまでに、自分なんかのためにこんなに祝ってもらっていいのだろうかという気持ちがありました。そう思っていたのは、わたしはなのはなで過ごした月日も短いし、自分に自信がもてなかったからです。

 しかし、なのはなのみんなは、この成人式を自分のことのように喜んでくれたり楽しんでくれていました。みんなが満面の笑みでわたしに声をかけてくれました。わたしは、なのはなの一人として、家族として受け入れてもらえているのだと感じられて、本当にうれしくて、あたたかい気持ちになりました。こんなにもたくさんの希望が持てる世界に来ることができました。

 二十歳を、人生の節目を、ここで迎えられたこと。
    この感謝の気持ちや、お父さんの言葉、目標を忘れずにこれから生活していきたいです。なのはなのみんなのようになるために、まだ見ぬ誰かのために、わたしは生きていかなければいけないと感じます。二十歳を、これから先を、生きていかなければいけないと感じます。

 次のなのはな成人式は、この気持ちを二十歳になるみんなに、わたしが届けます。世界一の成人式を、ありがとうございました。みんなが、だいすきです。