
朝から小雨が静かに降っていて、予定していたあんなちゃんとの桃の剪定ができないかもしれないと残念な気持ちでした。
先日、古畑で桃の剪定の助手に入らせてもらったとき、わたしは予習不足で、あんなちゃんがどうしてその枝を切るのか、残すのか、全然わからなくて悔しい思いをしました。
その日から、桃の勉強会でもらった剪定の方法や目的が書かれた紙を読んで、知識を詰め込もうと、今朝も朝食前、朝食後と、資料を読んでいました。が、生憎の小雨。
(この行き場のないやる気をどこに持っていったらいいんだ)
と思いながら、小豆の選別をしていました。11時になり、ピンクジャンバーを着たあんなちゃんがリビングに入ってきて、もしかしたら! と思いました。
「晴れてきたので、これから剪定に行けたら嬉しいです」
と声が掛かりました。嬉しすぎて、半分スキップしながら走って外に出て、
りんねちゃんと、あんなちゃんの車に乗って、剪定を進める開墾26アールへ行きました。
「ミーティングもそろそろ終わるから、剪定もできるだけ早めに終わらせて、2月中旬には摘蕾をしたいんだ」
と、あんなちゃんは話してくれて、気持ちが引き締まりました。
開墾26アールの浅間白桃と、清水白桃、開墾17アールの加納岩白桃の選定を進めていきました。
あんなちゃんの後を追いながら、枝の切り口から菌が入ったり傷んだりしないように、保護剤を塗ったり、切り落とされた枝を集めるのがわたしたち助手の仕事です。
とても天気が良くて、写真を撮っていると、青空とあんなちゃんの着ているピンクジャンバーのコントラストがとても綺麗で、剪定日和なったことが嬉しくなりました。
時々、上を見上げると、あんなちゃんが枝の重なりや勢いを見ながら、どこで切ってあげるのが、桃にとって一番ベストな選択かを考えている真剣な姿があり、見とれてしまいました。
フォーマットや指南書通りに剪定するのがすべてじゃなくて、一番大事なのは、桃の気持ちに沿った手入れをすることと、話してもらったことがあります。
あんなちゃんと桃が、静かに対話してる様子は、とても厳かだけれど、とても美しく温かかったです。
剪定だけでなく、幼木の骨格作りのための誘引も行いました。
マイカ線で誘引したい枝と地面に打たれた杭を繋いで、結ぶと、まっすぐ直立のように立っていた枝が、斜めに開きます。
あんなちゃんは、「誘引する意味はいろいろあるけれど、枝の勢いを弱めるためとか、今回だったら、この勢いの強い枝のほかに枝がなくて切れないから、誘引して、桃にほかのところから枝を出してもらうため」と、話してくれました。
あんなちゃんに一つ訊ねると、それ以上にたくさんのことを教えてくれます。
あんなちゃんの今までの経験から学んだことを、共有させてもらえることがとてもありがたいと感じたし、しっかり勉強して、桃と心で会話できるように、あんなちゃんの技術や心得を、しっかり自分の中に入れていきたいと思いました。
気が付けば、もう夕日が傾いていて、あっという間に、剪定の時間は終わってしまいました。
さっぱりして、気持ちよさそうな桃の木が顔が見えて、また、少しでも桃のことを深く知った自分で会いに来たいと思いました。
(なつみ)
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ミーティングの中日で、久ぶりの外での作業でした。
ミッションは、グラウンドにある堆肥山の切り返し、第2弾。
やよいちゃん中心に、大人数のみんなと一緒にさせてもらい、午前中で落ち葉堆肥と豆殻堆肥を合わせて4山切り返すことができました。
堆肥の切り返しの主な目的は、山の内側のよく発酵している部分と、外側のまだ発酵しきっていない部分を混ぜ込み、山全体がいい腐食状態になるようにすることです。
新たに発酵の促進剤として米ぬかや鶏糞、それから水を混ぜ込んで、より速く発酵させて堆肥として使えるようにします。
やよいちゃんが切り返しのプランを考えてくれていて、今年の春夏野菜で使えるように、1か月に2回の頻度で行って、
4月ごろまでに堆肥を完成させたいということを教えてくれました。
切り返しの作業では、まず、みんなで山に取りついて、みつぐわで中の発酵した部分が出てくるまでひたすら山を崩していきます。
前回切り返しをした時は、まだ落ち葉や豆殻の形がそのまま残っているところが大半だったのが、今回は少しかき出しただけで前とは全然違うのが分かりました。
全体が黒っぽくなっていて、ボロボロと崩れる感触がありました。
中からはブワーッと湯気が立ち込めてきました。
発酵がちゃんと進んでいるんだなというのが目に見えて分かり、嬉しかったです。
同じ堆肥でも、豆殻堆肥と落ち葉堆肥では全然においが違います。
豆殻堆肥の方は、すっぱくて、鼻がつんと刺激されるような強いにおいがしました。
一方、落ち葉堆肥は森林のような、優しくて甘い香りがします。
発酵しているという意味では同じはずなのに、においが違うのはどうしてなのだろうと、不思議に思ったりしました。
一度山を崩してから、新しく米ぬかや鶏糞を入れて、またみつぐわで混ぜていきました。
何だかみんなと、調味料を入れて料理を作っているような気分になってきました。
時々、納豆水と乳酸菌水入りの水をかけて、堆肥全体に水分を含ませます。
この納豆菌水と乳酸菌水は、事前にみんなで仕込んだものです。
この菌たちも堆肥の発酵を助けてくれるそうです。
全体が混ざったところで、またプリン型の山に形を作っていきました。
これが結構大掛かりだったのですが、みんなでこうしたら速いかも、などとより効率のいい方法を考えて、役割分担もしながらできたのが楽しかったです。
大人数でやるとあっという間に元の綺麗な形の山にすることができました。
最後に、またビニールを山全体にかけて、ロープで周囲をくくり、
風で飛ばないようにぼっこで止めていきました。
隙間ができないように密封すると、より発酵が進みやすくなるので、この工程も重要です。
ポカポカの陽気の中、みんなと思い切り身体を動かし、作業できた時間が嬉しかったです。
また定期的に切り返しをして、いい堆肥を作り、今後の野菜作りに生かしていけたらいいなと思いました。
(えみ)
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