富士山をイメージに作られた、『奇跡の山』。藤井先生、アコースティックギター教室のみんなと『奇跡の山』を演奏してきた過程が、とても濃く、心に深く刻み込まれています。
十二月二十二日、アコースティックギター教室でクリスマス発表会を開き、お父さん、お母さん、なのはなのみんなに演奏を聞いて頂けたことが嬉しかったです。
私はアコースティックギター教室に入ってから一年も経っておらず、初めての発表会でとても緊張していたのですが、『奇跡の山』を練習している間に、あるべき心や伝えたい気持ちが自分の中でも風景になり、アコースティックギター教室のみんなと『奇跡の山』の頂上まで、一緒に登って行けたことが自信になりました。
■ギターに憧れて
以前アコースティックギター教室のみんなが演奏してくれた『戦場のメリークリスマス』を聞いた時、涙が溢れてきました。その演奏に希望をもらい、お父さんとまえちゃんに、「私もアコースティックギター教室に入ってもいいですか?」と聞きに行き、教室に入ることになりました。
最初はTAB譜の読み方も、弦の弾き方も全く分からない所から始まったのですが、藤井先生が基本のことから丁寧に教えて下さりました。(こんなに何もできなくて、本当に演奏できるのだろうか)という気持ちもあったのですが、今までアコースティックギター教室で演奏してきたまえちゃんやさやねちゃん、やよいちゃんなどみんなの姿を見ていると、(みんな、最初は何も分からないところから始まって、ここまで気持ちが伝わる素敵な演奏ができるんだ)と力を貰いました。

とは言う物の、私が想像していたよりもギターを弾くのは遥かに難しく、手が動かなかったり、弦を押さえきれなかったりと、最初の一か月は手に潜んでいるライオンと格闘しているような気持ちでした。でも、藤井先生が、「曲を早く弾きたいかもしれないけれど、まずは基本を大切に、しっかり覚えたほうがいいよ」と教えて下さり、その言葉を信じて焦らずに基礎を固めていきました。
■できると信じて
毎週火曜日のアコースティックギター教室の空気は、とても穏やかで真剣で、その場にいるだけで優しい気持ちになります。あっという間に発表会の日が来てしまったのですが、みんなと弾き込んで、「絶対にできる」と信じて練習をしてきたから、無事にスライドもハンマリングもできるようになり、最初から最後まで演奏できる一曲ができました。
クリスマスのミニコンサートとして、発表会当日は緑のフリースに赤や緑のバンダナを首に巻いて演奏しました。
(ちゃんと演奏ができるだろうか)と不安な気持ちがあり、みんなと合わせをしている間は手が震えていたのですが、お父さん、お母さん、なのはなのみんなが図書室に集まり、大きな拍手をしてくれたら、なぜか不安な気持ちや嬉しい気持ち、穏やかな気持ちに変わり、(間違えてもいいから、伝わる演奏にしよう)と思いました。
『奇跡の山』は本当に情緒が豊かな曲で、演奏をしていても、強い意志や優しさ、力強さを感じます。透明なつららや小さな川から反射する結晶のような光。青と白の小鳥に、山の緑、冷たい風。新鮮な空気に、朝日に照らされて輝く富士山。小さな池の水面に映る富士山の影。自然の豊かさ、尊さをこの曲の中に感じて、とても気持ちが込めやすく、大好きな曲です。
藤井先生と一緒に演奏させて頂いてとても嬉しかったし、演奏が終わると大きな拍手とみんなの優しい笑顔が見えて、なのはなのみんなに『奇跡の山』を聞いてもらい、好きになってもらえたのが嬉しかったです。
■心温まるココアを
二回の演奏を聴いてもらった後は、私たちからのプチクリスマスプレゼントでココアマショマロを用意しました。発表会の前日、まえちゃんややよいちゃん、のりよちゃんたちと台所で集まり、ココアとマショマロの準備をしました。
今回、ココアは純ココアから創らせて頂き、純ココアと砂糖と少量の水を火を通しながら練っていき、チョコレートの様にトロトロになってから牛乳を投入していきました。台所中がココアの香りに包まれて、満たされた気持ちになったり、後ろでは何人かの人がマショマロに顔を書いていて、私も顔やボタンを書かせてもらいました。
一分に一回、楽しくて面白くて、みんなと笑った時間。(なのはなのみんなに喜んでもらえますように)と心を込めて、ココアを作り、マショマロに顔を描いいく時間が楽しく、アコースティックギター教室も教室のみんなの事も大好きだと心から思いました。
みんなにココアマショマロを喜んで頂けて嬉しかったです。みんながココアで心も身体も温まった頃、お母さんが、「お母さんが言ったこと覚えていますか? 三回演奏を聴かせて頂いてもいいですか?」と言って下さり、最後にもう一度『奇跡の山』を演奏させて頂きました。
藤井先生に教えて頂いてアコースティックギターを演奏できるようになって、お父さんとお母さんが話して下さっていたように、世界が広がったような、ギターがあったら大丈夫と思えるような、安心した気持ちになります。先月からはサイモンとガーファンクルの『サウンドオブサイレンス』の弾き語りの練習も始まり、まだまだ私の中の頂上には遥かに遠く、道のりは長いのですが、これからも練習の過程を十分に味わい尽くしながら、まだ見ぬ誰かに伝わる演奏ができるように成長していきます。