【新春号㉓】「黒豆の葉落しツアー」サリー

 秋も過ぎ木々の葉が色を変え、枯れて落ちていくこの頃、黒豆の株の葉も枯れそのまま全部落ちてくれればいいのですがそう上手くいきません。株の葉が風通しや日当たりを悪くし、豆に太陽の光が届かず、邪魔なので私たちは大人数で黒豆の畑を何枚も回り葉落としをしました。

 初めてこの黒豆の葉落としの作業をしたときは正直少し絶望的な思いになりました。まだコツなど全然つかめていなくて何千株も並ぶ畑が何枚もある黒豆の株の一つひとつの葉を全部落とさないといけないと考えると気が遠くなりました。

 だがそんな憂鬱な気持ちは二回目の葉落としの作業には無くなりました。最初のときは葉落とし自体が私にとって初めての経験でもあって慣れていないのは当然のことです。なんでもかんでもやってみて上手くいかないとすぐにイライラしてしまうのが私の悪いところです。初めてやってみて思うように早く上手にできず少し嫌な気持ちになって全然楽しめなかったので、また次の日同じ作業に呼ばれたときは嫌だなと思ってしまいました。だがちょうどその頃に夜の集合の「お父さんに聞いてみよう」で誰かがこんな質問をしました。 

 やりたくない作業だと出たくないし気持ちが進まない、好きな作業だと明るく作業に取り組めるのに嫌な作業だと面倒くさく思ってしまうのだがどうすればいいですか。この質問には私はとても共感し今までは嫌いな作業は嫌々やって楽しくなく取り組んでしまっていました。


お父さんはこの質問に対して嫌な作業でもどうすれば一番早く効率よくその作業に取り組めるかを考えながらやると楽しくなると言っていました。たとえば皿洗いや部屋の整理をするとき、どんなやり方が一番早く綺麗に効率よく進むかを考えてそれを実行し、自分はまるで皿洗いや整理整頓のプロになりきった気持ちでやると自然と楽しくなってしまうと。

 だからなにをするにもこういう気持ちで取り組むのが大事なのだと。このことを思い出し私は、よし、葉落としのプロになろう、と思いました。

 二回目の葉落としは午後のバンド練習の後の四時から五時までの一時間だけでしたが、私はこの一時間の葉落としが楽しくて楽しくて仕方がなかったです。実際早かったかどうかはあまりわかりません。周りに比べてみてもそこまで早くなかったような気がしますが自分の中では誰よりも早く動いていたと思い込んでいました。

 黒豆の株の葉は上の方は枯れているので上の方の枝をすべて両腕の間に挟みそれをズリズリと引っ張ると葉が粉々に砕けて大体落ちます。次に下の方のまだ緑色の若い葉を両手を使い、壊れたロボットの様に急速にバサバサと引きちぎっていきます。もうものすごく気持ちよかったです。最近私は畑作業では春キャベツの小さな苗や来年収穫予定のタマネギの小さな苗を見る作業ばかりでした。まだ小さくてデリケートな苗なので大事にやさしく触れないといけません。

 なのでこの葉落としというもっとも出鱈目というと少し響きが悪いですが雑で、まぁ出鱈目でストレス解消みたいな作業が本当に楽しかったです。次へ次へと黒豆の株の葉を全部落としていくうちに段々とスピードも速くなり、あっと言う間に一畝二畝と終わらせていき、最初は終わりが遠いと思っていたのに気づいたら全畑をみんなで終わらせていました。だがそれは私が葉落としのプロになきった気持ちで進めていただけではなくなのはなのみんなで進めたからです。

 なのはなのみんながいて大人数で進めることができるからこそこんな短時間でたくさんの数の畑の黒豆の葉落としを楽しくできたんだなと思うとすごくありがたいです。そしてこの作業を通して何に対しても前向きにやる気を入れて取り組むと楽しくなるんだなと学べてよかったです。これからますます寒くなったら畑作業も減っていくと思うのでこんなに気持ちいい作業がその前にできて嬉しかったです。取ったばかりの黒豆の選別も少ししたのですがすごく大きくて綺麗でした。 

 もう少しでお正月準備でおせち料理も作り始めるとのことなので黒豆の甘煮が出るのかなと思うと楽しみになります。今年の葉落としや黒豆の作業から学べたことを来年の黒豆の作業だけでなくこれからの色んな事で活かしていきたいです。