【新春号⑩】「力強く息を合わせて ―― なのはな お餅つき大会 ――」ゆきな

 クリスマスが終わったら、一気に年末年始のモードに変わります。安心して大晦日やお正月を迎えられるように、紅白歌合戦の練習や大掃除、お節作りなどが進められていて、古吉野のなかが毎日賑やかで活気があります。この日は、神様に供えたり、お正月に食べたりするお餅をみんなで作りました。お餅つき大会の始まりです。

 中庭に集まれば、なのはな友の会の永禮さんや松山さん、須原さん、河上さんも来て下さり、賑やかなお餅つき大会となりました。縁起が良い特別なお餅が作れそうです。餅つきと聞くと一気にお正月に近づいている! というモードになっ

て、より気合いが入りました。みんなもそうだったのか、杵でつくとき威勢の良い「よいしょ!!」という声がよく響きました。

■熱々の餅米を

 杵と臼。臼の中に、蒸したばかりの熱々な餅米を入れていきます。まだ一粒一粒の輪郭がはっきりしています。それをつくのではなく、初めは杵で押して練っていき米を潰していきます。そうしないとついたときにお米が飛び散ってしまい、大変なことになってしまうからです。

「餅つきは練り八割、つき二割です」

 餅つきの意外な事情。自分の元からのイメージと違う本当の餅つきのやり方が分かります。

 三人で杵で押しながらの外に飛び出さないように、お互いバランスを取りながら押していきます。つぶつぶの餅米を押してこねていくほど、一粒の見分けがつかなくなってきます。初めになかった粘りも出てきて、だんだん一粒の集合体が一塊になりそうです。そこから、待っていました! 杵でついていきます。

 掛け声は「よいしょ!」。三人が時計回りの順でついていきます。テンポがあっていると、見事なぐらい三人の順番がクルクルと回っていき、一つのパフォーマンスに見えます。

「よいしょ! よいしょ! よいしょ!」

 餅つきをすると賑やかでハリのある空気が広がります。力強く声を出し・つき、餅をついたときにブワッと臼から湧き出るように出る湯気を見ていると、冬の寒さも忘れるぐらいです。頬も紅潮してきます。

 私もつかせてもらいました。人を代わらずに二回連続でついていると、息がハアハアと意外と力を使います。

「二人がついていないところをついて、手前に引く!」

 あゆちゃんがそうみんなにアドバイスしてくれます。それをスピード感のあるなかでしようとするとやはり体力がいります。二人の仲間とお互いのテンポを感じながらついていきました。相手が杵を振り上げきれないうちに自分の杵を下げると、杵同士ぶつかって、さらに次の人の杵にもぶつかって、三人ともの順番が崩れてしまいます。

 お互いを思いながらついていく。こういうなかでも、人を思いやる気持ちが大切になってきて、それができたらテンポが良い餅つきができます。

 お父さんは杵でつくときにぶつかってしまうのは、一つは体力がないから、他には人との関係が上手くとれているかどうか、と話してくれました。それを聞くと、お餅つきも奥が深いように思いました。

 最後の方になると、みんなも慣れてきて餅つきのテンポが速くなり、息もあっていきます。最後のりゅうさん、サリーちゃん、えみちゃんトリオの餅つきは、クルクル順番を回しながら全部の力を杵に込めてお餅をついていきました。勢いがあって、もう餅つきというスポーツでした。

 

豆餅もかかせません。プックリ、艶々としたなのはな自慢の黒豆。今年の黒豆を使っていて、とても贅沢です。「うわぁー。おっきい」黒豆の登場でみんなから驚きや喜びの声が聞こえてきます。いかに黒豆の豆を潰さずに残すか。それがなかなか難しいです。

 中庭から体育館の中に入れば、餅米を蒸したり、餅を丸めたり、ここも賑やかです。

 

 つきたてのお餅は、みんなの手で丸められます。一つの大きな塊となったお餅は、ハリがあって、真っ白で、ちょっと大きなお饅頭にも見えました。それを河上さん、お母さん、あゆちゃんが丁度良い大きさにちぎってくれて、他のみんなが丸めます。

 河上さんたちは、片方の手でお餅の塊の奇麗な面からお餅を絞り込みます。絞り込んだ指の間から、風船が膨らむようにまん丸お餅が形取られ、もう片方の手でちぎっていきます。その光景を見ているだけでも面白みがあります。

 わたしたちはその大きなお餅から分けられたお餅を丸めていきます。手に乗せたら温もりがあって、なめらかで、本当は良くないのですがずっと触っていたくなるような心地でした。真っ白なお餅の温もりやその小ささは、小動物のような可愛らしさがあって、なんだか愛らしく思いました。

 河上さん、お母さん、あゆちゃんの手からどんどんお餅がちぎられていきます。一つの大きな塊がいくつもの小さな丸餅に分けられていきます。みんな同じお餅から分けられています。そう思うと、同じものを一緒に食べられる喜びと、血は繋がっていなくても繋がっている、そういう温かさがあります。

 さて、お餅は杵と臼でついたものと、機械でお餅にしたものの二種類ありました。杵と臼でついたものは、ハリがあり弾力がありました。餅を分ける人たちも「握力が結構いるよ」と話してくれました。機械でついたものは、もっちり触り心地やわらかく思いました。二つの違いが分かるのも、大人数で多くのお餅を作るからです。杵と臼でついたときの、このハリや弾力はどこから出てくるのだろうと思います。

 外も中も活気ある空気で満ちています。みんながお昼に食べるお餅もつくことができました。お父さんが最後の仕上げをしてくれます。 
「お餅の準備ができました。食堂にお願いします!」お昼の放送がなります。

 プレートには可愛らしく小豆とエゴマきなこ、ダイコンおろしのお餅三種類が並んでいます。つきたてのお餅。それを温かい状態で、しかもなのはなで作った作物をトッピングして頂けるなんて、なんて贅沢か。

 初めてつきたてのお餅や、エゴマきなこやダイコンおろしをのせたお餅を食べる子もいて、それも嬉しいです。お餅はやわらかいけれどもコシがあって、食べ応えがありました。お父さんは、

「今年の餅米は豊作でした。食べていてもコシがあって餅米の品質が良いのではないか」

 そう話してくれました。良い餅米を使った丸餅や豆餅で正月を迎えられることが、縁起が良くて、来年も豊作な一年を迎えられるような気がしました。

最後にはサプライズとして、まえちゃん、ななほちゃんやりなちゃんが作成してくれた今年一年間のフォトスライドショーを見ました。いろんな活動を通して、毎日が濃くて、この餅つき大会もたくさんの家族と喜びを感じました。かけがえのない日々が愛おしいです。ムービーを見たら、次も頑張ろうと思います。餅つき大会を無事に終えることができて、お正月も安心して迎えられそうです。ですが、まだまだイベントは続きます。

 体育館からお餅つきのセットはなくなり、次はしめ縄作りの会場へと変化します。そう、盛男おじいちゃんが教えてくださりお飾りのしめ縄を自分たちの手で作ります。

 盛男おじいちゃんは丁度良い藁の束を二本持ち、藁の下の部分を足で支えます。そしておじいちゃんは両手に藁を持った状態で、こすり合わせるような動作をしていきます。

 手前から奥にこすり合わせて、できたら奥の藁を手前に引っ張り、手前にある藁を奥に持っていきます。それをずっと同じ速度で続けていきます。手だけ見ると、藁をねじって手をこすり合わせているだけのように見えるのですが、二本の藁がしっかりねじられ、あの一本の奇麗なしめ縄になっていて、魔法のように感じました。

 しかし、これがなかなか難しく、思うような形にならず苦戦しました。苦戦したときに、なおとさんが声を掛けてくれて、ポイントは水を手につけること、と話してくれました。

 藁が滑らないように手にしっかりと水をつけて、手前から奥へ。その時に、二つの藁を同時にねじるのではなく、手前の一つの藁だけ、こする合わせるときにねじります。ねじって、それを手前から奥に移動させ、同じように奥から手前に来た藁を次はねじって手前へ。それを繰り返していきます。そのポイントを押さえていくと、だんだんしめ縄の形へ変わっていきます。その変化が気持ちの良いぐらい嬉しいです。

  周りの子もおじいちゃんの周りに輪になって教えて頂いたり、隣の子同士教え合ったりしながら、みんなが一緒にしめ縄を作れるようになっていきます。稲藁の香りに包まれながら、みんなの温かさに心が満ちていきます。

 しめ縄の真ん中にくるっと円を作り、それをもう一つ作って、左右対称にくっつけます。それが岡山県のしめ縄です。そこに山小屋の山から獲ってきた花柚や、ウラジロ、ナンテン、マツを飾ります。全て採ってきたものです。

 飾りをつけられたしめ縄を買うのではなくて、自分たちで作って飾ることができると思うと、変に頼らなくてもこの一つの知恵でいつか何かに繋がるのではないか、なにかできるのではないかという前向きな気持ちになります。こうやっておじいちゃんに教えて頂いたこと、なのはなでしたことが全て生きる知恵になって、まだ見ぬ誰かに繋がりますように。

 完成したしめ縄は古吉野のいたるところに飾られました。部屋に入ろうと入り口を見たら、みんなに作られて誇らしいようにしめ縄が飾られてあります。見つけると嬉しくなるし、日本らしくお正月を迎えられることが日本人として喜ばしいです。

 お餅つきからしめ縄作りまでイベントばかりの充実した一日でした。お正月も無事に迎えられそうです。