「あるべき家族の在り方」 やよい

 成人式当日、どことなく緊張感が漂うリビングで、みんなと、さりいちゃんと、みつきちゃん、成人の子2人を胸が高鳴る気持ちで待っていました。
 振り袖に身を包んださりいちゃんとみつきちゃんがリビングに入ってきました。さりいちゃんは紫色に白の花模様が入った振り袖を着ていて、髪型は綺麗に団子に結わえられて、ピンク色の髪飾りをつけていました。
 みつきちゃんはオレンジ色の扇や、花がたくさんちりばめられた振り袖を着て、髪にはオレンジ色の髪飾りを頭の左右対称につけていました。

 さりいちゃんの大人っぽい落ち着いた雰囲気と紫色の艶やかな振り袖、みつきちゃんの前向きな明るさと、溌剌としたオレンジ色の振り袖、振り袖を身にまとうことで、さりいちゃん、みつきちゃんの魅力が一際輝いて、愛らしく感じられました。
 その姿が本当に本当に美しくて、綺麗で、可愛らしくて、ずっと見ていたいけれど、まばゆくてずっとは見ていられないような気持ちにもなります。

 

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 今年は、コロナの影響で、勝央文化ホールでの成人式は、延期になり、古吉野でなのはなのみんなで成人式を作り、お祝いすることになりました。成人式に向けて、2人をお祝いするために、成人式のフォトムービー班が3日前から動き出し、そしてフォトムービー班だけでなく、体育館、廊下、お客様玄関、リビングの片付けや、掃除と飾り付け。みんなで手分けして、普段出来ない場所の隅々まで掃除をしました。掃除をしたあとに、体育館や廊下に行くと、空気が澄んでいて、綺麗さを空気からも感じました。

 あゆちゃんがみんなを各場所に分けて、チームを考えてくれました。私は、リビングの掃除と飾り付けのチームで、みくちゃんと一緒に飾り付けを考えました。みくちゃんが可愛い花飾りの折り紙の折り方を見つけてくれて、みんなと桜の花や梅花を画用紙で作りました。
 あゆちゃんが、「リビングの飾り付けは黒板に重きを置いて、成人の子が黒板の前にたったときに、その姿が引き立つようなシンプルな飾り付けにしたいんだ」と教えてくださいました。私は、リビング全体を華やかにすることに重きをおいていたなあ、と思って、主と従を間違えてしまっていたなと思って、他の行事でも「何のための飾り付けか」ということをちゃんと考えられるようにしようと思いました。

 

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 体育館には、マットと中央の成人の子が通る道には、レッドカーペットが敷かれて、マットの上には椅子が約80脚並べられて、ステージ前には、演台が置かれました。赤と白の花紙と、金色のダイヤ型にカットされた紙が1本の糸に繋げられて、その飾りが何本も体育館の壁に飾られてありました。上品で、可愛らしくて、成人式にぴったりの飾りで、一つひとつのパーツが飾り作りのメンバーが作ったものでした。

 体育館には、厳かな空気が漂い、1日にして体育館が成人式会場へと変身しました。なのはなのみんなの力はやっぱり凄いなと思いました。
 掃除も、飾り付けも、みんなで分担して協力して準備したので、みんなで成人式をお祝いしている感覚が強くあって、そのことにより心が暖かくなり、嬉しい気持ちも増しました。

 

 成人式がはじまりました。
 ステージの上手の席には、着付けを毎年してくださっている村上さん、台所スタッフの河上さん、ひでゆきさん、あゆみちゃん夫婦も来てくださっていました。
 アンサンブルメンバーのエターナルストーリーが演奏される中、振り袖姿のみつきちゃんとさりいちゃんがレッドカーペットを歩き、入場します。少し恥ずかしいのかうつむきながらも、穏やかに微笑んだ笑顔のみつきちゃん、さりいちゃんを拍手で迎えました。
 レッドカーペットを歩くと2人は、映画の中に出てくるみたいで、天女様みたいでした。見ているだけで心が癒されていきました。

 お父さんが演台に立って、みんなの前に座っているみつきちゃん、さりいちゃん、そしてその後ろに座る私たちに向けて、お話をしてくださいました。
 成人になるということは、どういうことか。それは社会人として、社会に参加するということ。社会人として、今の混沌とした世の中のために、私たちは何ができるのか、そして、この世の中で何をすべきなのか。お父さんが力強い声で、みんなに話してくださいました。

 去年は、日本でも、世界でも異常気象に見舞われて、オーストラリアでは日本の国土の1.7倍の面積が燃えて、グリーンランドの氷が溶けた量は、東京23区に流れ込んだら高さ800メートルになる量なのだと教えていただきました。
「急速に進む温暖化を止められるかどうかは、これからの10年にかかっている」
 今日成人を迎える人たち、そして、世の中にいる社会人の人たちがどれほどこの問題を深刻に受け止めて、自分のこととして、これからこの地球を生きて行くまだ見ぬ誰かを思って、対策を講じていくか、そのことがとても大事なんだと思いました。

 今考えられる一番身近なことは、二酸化炭素をいかに出さないで生活するか、ということだと思います。
 お父さんの声が、自分の心に強く響きました。お父さんの深さや、伝えたいことというのが、すべて理解できてはいないのだろうと思うけれど、私もこれからの社会を作っていくひとりとして、地球温暖化を止めるために今できることをしていきたいと思いました。
 この混沌とした時代で生きるひとりとしての、責任、使命を改めて認識させていただきました。

 私が今いる社会は、なのはなファミリーです。なのはなファミリーという今いる社会で、なのはなファミリーのモラルを作る一員として、穏やかに優しい気持ちで過ごせるなのはなファミリーであるために、私はもっとみんなの中で成長して行かなくてはいけないと思いました。
 お父さんの言葉に背筋がただされました。2人の成人式は、みんなの成人式になり、私にとって、みんなにとっての節目の日となりました。そのことが本当に有り難い気持ちになりました。

 

 みつきちゃんとさりいちゃんの謝辞の言葉がとても印象に残りました。
 みつきちゃんとさりいちゃんが力強くまっすぐ話してくれました。
 みつきちゃんは、みんなへの感謝の気持ち、なのはなに来て間もなくて、自分に足りないところを感じつつも、なのはなのみんなのように、元気で健やかな身体と心を育てて、畑作業をこなし、畑でまかされたことをちゃんと全うできるように動ける人間になるんだと宣言するように話してくれました。なのはなに来て数か月だけれど、なのはなをまっすぐに信じて、つき進んでいく、心の強さ、素直さ、そして言葉から感じられるみつきちゃんの優しさが胸にじんわりとしみていきました。ああ、私もみつきちゃんのことが大好きだなあと思って、なのはなにみつきちゃんが来てくれて、仲間になれたこと、家族になれたことが本当に嬉しいなと思いました。

 さりいちゃんは、今日までの準備してくれたみんなへの感謝の気持ち、そして、大人になることが怖かったこと、今までの苦しい環境の中にいた自分を思うと、大人になることが想像できなかったこと。なのはなに来て、まだ苦しさから抜けて、誰かのために生きて行く、答えを見つけられていないけれど、ここできっと答えは見つかるんだと信じること。お父さん、お母さんを信じるみんな、誠実にものごとに向き合うこと、優しさと強さを持つこと、今はまだ自分に入っていないことも、みんなの中でなら、自分も優しさと強さを持って生きられるようになると信じること。
「私は、なのはなファミリーを、みんなを信じたいです」
 さりいちゃんの声がほんとうにどこまでもまっすぐでした。成人を迎える気持ちをかざることなく、まっすぐに話す姿がとても綺麗でした。
 その姿に感動して、気をゆるめると涙が出そうでした。
 さりいちゃんの素直さ、まっすぐさを感じて、私もいつでもさりいちゃんのように素直でまっすぐでありたいと思いました。今自分が持つ怖さにも周りにいる仲間を信じて立ち向かっていける人でありたいと思いました。そんな風に飾らずにまっすぐに話すことができるのは、さりいちゃんが本当に優しいからなんだろうと思いました。
 そして、さりいちゃんのことが大好きだと思いました。

 

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 大人になるのが怖い、という言葉を聞いて、私もそうだったと思いました。
 成人式の前日は、なんだかそわそわして、怖い気持ちがあって、いてもたってもいられなくて、校長室のお父さんに相談しにいかせていただきました。
 みんなが見ている中で、私は新成人としてちゃんと振る舞うことができるのだろうか、大人になることができるのだろうかと、という怖さ、不安が無意識のうちにありました。
 けど、なのはなはその怖さを、みんなとだから乗り越えていける、助け合いながら大人になっていくことができる、そういう場所なんだなと、さりいちゃんの姿を見て、あゆちゃんの食事のコメントを聞いて、改めて再認識させていただきました。

 みつきちゃん、さりいちゃんが、苦しいなかからなのはなと出会い、居場所を見つけ、希望を見つけ、まっさらな新しい人生を歩き始める瞬間、成人式はその瞬間を見ることができたように思います。そして、それはなのはなのみんなも自分も同じでことで、だからこそとても感動しました。
 2人の仲間、家族でいられることがとても幸せに感じました。

 

 夜の集合後、お父さん、お母さんが成人式について大切なお話をしてくださいました。
 お母さんは教えてくださいました。
「今日はみんなが成人の子を自分のことのように思って、褒めて、うれしがって、盛りたててくれて、本当に嬉しかった」
 お母さんは、妬みや嫉妬が人間の中で一番汚い感情だと思っていて、自分じゃない誰かのことを、自分のことのように思って、盛りたてて、お互いに上に上がっていく、引っ張り上げていく、そういう関係が理想的だと思っていて、このことが本当に大切で、忘れないでほしい。
 そう教えてくださいました。お母さんが話してくださった人と人とのありよう、それこそが理想の社会、世界なんだと思いました。私はこの価値観をしっかりと落としこみたいと思いました。

 フォトムービー班のメンバーからは、毎回の食事のコメントなどで、2人を撮影するときの情景や、そのときの気持ちを聞かせていただいていました。
 そのコメントを聞かせていただいて、お母さんが話してくださったように、本当にみつきちゃんとさりいちゃんとフォトムービー班の人たちはお互い様の関係を築いているということを強く感じました。フォトムービー班のみんなは2人にねたんだり、嫉妬したりという感情は一切なく、成人する2人の今しか撮れない綺麗で可愛い写真を撮ろうと、構図や、ポーズ、衣装を考えて、2人の姿に、「見るだけで嬉しい。幸せになる」幸せや、嬉しい気持ちをもらっている様子が分かりました。成人の2人も、みんなからそういってもらえること、お祝いしてもらえることに純粋に喜んで、有り難い気持ちでいるんだろうなと、撮影風景や、2人の様子から感じ取れました。
 
 フォトムービー班の雰囲気は、いつも暖かく優しい雰囲気でした。それは成人の子2人と、フォトムービー斑のみんなが本当に純粋によかれの気持ちを持って、撮影にむかっていたこと、2人をお祝いする気持ち、盛りたてる気持ちで向かっていたこと、メンバーの優しい気持ち、高いモラルがあったからなんだろうなと思いました。
 私は、そんなフォトムービー班のみんなを見るたびに、暖かくて優しい気持ちになりました。そして、私も仲間に対して、大切に向き合える人間になりたいと思いました。

 お父さんは、心の中に少しでも妬みや、嫉妬の気持ちがあると、こんな風にいい成人式はできない、簡単なようで難しいと仰いました。競争の世の中には、嫉妬、妬み、足の引っ張り合いが当たり前になっています。私もその価値観で苦しんできた1人です。
 なのはなで新しい価値観を知りましたが、やはりどこかその苦しさが残っていると思います。自分に対する拘りがまだどこかに残っていると思いました。
 身につけてしまった価値観をなのはなで完全に消していきたいと思いました。私もフォトムービー斑のみんなのように、本当に仲間のことを自分のことして純粋に喜べる人になりたいです。

 

 

 成人するということは、大人になって自立するということ、自立について、お父さんが最後に、「ロンリネスとインディペンデント」のお話をしてくださいました。
 ロンリネスは寂しい気持ちや、孤独な気持ちを人に訴えるように、人に頼りすがろうとする気持ち、インディペンデントはロンリネスと対照的で、自分ひとりで独立していて、誰かに頼ったりせずに、ちゃんと自分の足で立って、責任を持って人生を生きて行くこと。
 摂食障害は究極のところ親離れ、子離れの失敗で、少しでも、親への依存が残っていれば、心の中にロンリネスの気持ちが残ってしまっているということ。親にすがっていた気持ちを、今度はお父さん、お母さんに向けてしまう。
 ロンリネスが少しでも残っていると、本当に自立した人間にはなれない、心の中をすべてインディペンデントにしなくてはいけない、そう教えていただきました。
 私は、自分のことを考えたときに、まだ少しロンリネスが残っていると思いました。自己否定になってしまいがちなところ、拘りが残っているところ、みんなの中でそのロンリネスの気持ちをゼロにできるように手放していきたいです。

 成人式をすることで、みつきちゃん、さりいちゃんの姿と言葉から本当にたくさんの嬉しい気持ちをもらいました。みつきちゃん、さりいちゃんとフォトムービー班のみんなの姿、お父さん、お母さんのお話を聞かせていただいて、自分のことを改めて考えたり、自分の中に得ることも多くかったです。
 2人の節目だけれど、みんなの節目の日、みんなの成人式だったなと思います。こんな幸せで、有意義な成人式は世界の中でなのはなファミリーだけだと思いました。
 2人の家族として、成人式の場にいさせてもらえたことが本当に有り難くて、幸せでした。本当にありがとうございました。
 みつきちゃん、さりいちゃん成人おめでとうございます。

 

◆感想文メニュー◆

「優しさにつつまれた、なのはな成人式」 サリー

「なのはなに出会って」 みつき

「あるべき家族の在り方」 やよい

「本当の意味での自立を」 ゆりか

「大切な人を守れる大人に ――成人式で感じた自分の役割――」 ゆい

「2人に出会えて」 ななほ

「未来の誰かのために」 ひなの

 

 

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