
1月14日のなのはな
11月、12月にみんなで落ち葉集めに行って、集めた落ち葉や、大豆を脱粒して残った豆殻などそれぞれを山にして、米ぬか、鶏糞、水を混ぜて、ビニールをかぶせて密封しました。ビニールの中で、発酵しはじめて、春には完全に堆肥になります。
今日は、落ち葉堆肥、豆殻堆肥の発酵が春までに間に合うよう、よく進むように「切り返し」という作業を行ないました。
古吉野校舎のグラウンドに落ち葉堆肥2山、豆殻堆肥2山、崖崩れ下ハウス3棟の前に、落ち葉堆肥2山があり、堆肥の山が現在で、全部で6山あります。
Cチームさんもヘルプに来てくれて、午前のチーム作業では、グラウンドにある落ち葉2山、まめ殻堆肥1山の、3山を同時並行で切り返しを行いました。
切り返しをする一番の目的は、発酵を促すこと、発酵が止まらないようにすることです。有機物を分解してくれる微生物が好きな環境を作ってあげることに一番のポイントがあります。
まずは、落ち葉堆肥の山をみつぐわで勢いよく崩していきます。ざっざっとみつぐわで山を崩していくと、湯気がもうもうと出てきて、そこに温泉がわき出たかのような錯覚を覚えます。これは、よく発酵している印です。
みつぐわで山を崩したあとは、米ぬかを袋の半分を数テミに分けて入れて、崩した山にまきます。米ぬかは、落ち葉の中で活躍し、私たちの目には見えない微生物のえさとなります。またみつぐわでかき混ぜて、今度は、また山に戻していきます。山に戻していくときは、黒く変色し湿っぽい、落ち葉から堆肥になりかけている部分を外側、逆に山の外側にあったまだ落ち葉の形のままの発酵していない箇所を中にいれるように混ぜこんでいきます。
微生物の増殖には、酸素が必要不可欠で、こんな風に山を崩して、もう一度山を成形することで、空気をたくさんいれることができます。発酵が進むとどんどん体積が縮んで、圧縮されていきます。そうすると、空気もなくなってくるので、みつぐわで混ぜることがいい酸素補給になります。

山を半分くらい成形できたら、軽トラに乗せた500リットルローリータンクに入れた水を水中ポンプで、そのまま山にバシャバシャとかけていきます。
微生物は乾燥状態に弱く、水分率が40パーセント以下になると、その増殖が抑制されてしまいます。微生物の活動が活発になって、発酵が進むと堆肥内の温度が上がり、さらに堆肥の上にはビニールをかけてあるので、太陽光が堆肥の山に降り注ぐと、堆肥の中は約40度以上にもなり、水分がどんどん蒸発していきます。そのため、堆肥内が乾燥するまえに、水分を補充すると、微生物の活動が止まることなく活発に活動し続けることができるのです。
この水の中には、スペシャルな2つの液体が入っています。
それは、「納豆水」と「乳酸菌」です。
どちらも2リットルずつ500リットルタンクに入れて、よくかき混ぜます。納豆水と、乳酸菌は、Aチームメンバーのえつこちゃん、なつみちゃん、さくらちゃん、えみちゃんが仕込んでくれたもので、どちらも3日間お風呂の湯船に浮かべていたので、よく発酵が進み、ペットボトルの中で菌がたくさん増殖したと思います。
納豆菌はカビの予防に繋がり、有害微生物の繁殖を抑えてくれます。乳酸菌は、土のミネラルを溶かし、植物に吸収しやすくしたり、殺菌作用も持っています。
落ち葉堆肥や、豆殻堆肥に納豆水と乳酸菌を入れることで、より強力なスペシャルな堆肥作りを試みています。
自分たちの目には見えないのですが、堆肥1グラムあたり1000万から1億個の微生物がいると言われています。そんな微生物たちは野菜作りと切っても切り離せないようなとても大切な存在で、そのミクロの世界にいる微生物を思うと、心がときめきます。
形をおまんじゅう型にしたら、最後はビニールをかけて、地面際からPPロープでしっかりと結わえて、すきま風が入らないように、ビニールの上にぼっこなどをおいて、切り返し終了です。
無事に三山すべて切り返すことができました。
どうか、微生物たちがよく働いて、春には完熟した堆肥になってくれますように。
(やよい)
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前回行われた、室内での桃の講習会に引き続き、畑での桃の剪定の講習会がありました。
実際の作業を見ながら、あんなちゃんに、一つひとつの考え方を教わりながら学ばせてもらう、とても貴重な機会でした。
今回実際に剪定がされたのは、古畑の、10年目となる紅清水という品種の木と、開墾26アールの、4年目の清水白桃という品種の木でした。

剪定の主な目的は、樹形維持、日当たりの確保、作業性の確保と教わりました。それに加え、2~4年目の幼木には、骨格形成という重要な役割があります。
忘れてはいけない、最終的な大きな目的としては、甘い実をたくさん採れるように木を整えていくことと、あんなちゃんは教えてくれました。
今は、無骨な肌で内側に力を温存しているような姿で、私はまだ、一面的にこの冬の姿しか見ることができません。けれど、あんなちゃんは四季を通じた桃の木を知っていて、夏の、甘い果実をたわわに実らせた木が、見えていました。
リアルに想像することは叶いませんが、一本の桃の木に、何百もの桃の実がつくことを思い浮かべると、私もわくわくした気持ちになります。
おこなっていくのは、桃の木の気持ちに沿って、甘い桃をたくさん実らせるための剪定だということをしっかり意識して、あんなちゃんの講習を受けました。
なのはなでは、主に“開心自然形”という、3本の主枝が盃状に伸び、中心まで光が届くような樹形で仕立てています。この樹形は、石生のように粘土質で肥沃な土地に、1本を大きく、広い土地で育てる場合に選択すると、教えてもらいました。
地面から近い順に、第1主枝、第2主枝、第3主枝、と数えます。やがては、地面から一番近く養分を吸いやすい第1主枝が、最も太くなっていくようです。
けれど、基本は3本の主枝が、360度を均等に割って、同じくらいの質量でバランスが取れることが理想です。
開墾26アールの4年目となる清水白桃は、開心自然形の理想をもとに、骨格を形作っていく剪定でした。
自然のものなので、どうしても理想的にいかないところでは、あんなちゃんは、あくまでも桃の木に沿って主枝を選んでいました。
桃の木と長い年月の中で対話をするようにして、樹形を作っていくあんなちゃんが、とてもきれいでした。
10年目の成木では、あんなちゃんはまず、主枝の先端の、一番伸ばしたい枝をもとに剪定をしていました。主枝に競合するような、背から出ている内向枝、徒長枝などを切っていきます。
また、主枝ではないけれど大きくなった枝は、実を生らせて利用する、という場合もあるようでした。その場合は、枝を伸ばすために実はつけない主枝と、落ち着かせて結果枝として使いたい枝の区別を、はっきりとすることが肝心だと教わりました。
また、細かな枝でも、樹皮を直射日光から守るために、とても重要であったり、内向していても、空間を有効活用するために伸ばしたりと、一本一本の枝にちゃんと役割がありました。
冬季剪定は、切った分の養分が別の箇所へ回り、また枝が伸びてくる、つまり、強く切ると樹勢が強くなる、という性質があると教わりました。
その反対に、夏季剪定では、貯蔵養分がないため、切っても新たに伸びる枝は少ないようです。そのため徒長枝においては、夏季剪定で20センチくらい残して切り、冬季剪定で根元から切る、という合わせ技もあることを、教えてもらいました。
また、切りたい枝がかなり太く、根元からその枝を切ってしまうと、あまりに切り口が大きくなりすぎるといった場合がありました。
そんなときは、切りたい枝は少し置いておき、伸ばしたい枝が強くなるようにして、年月を経て、伸ばしたい枝が切りたい枝よりも確実に太くなってから、切りたい枝を落とす、と教えてもらいました。
こうした長い目で木にとって優しい選択をしていく、ということが本当に優しくて、心が暖かくなりました。私もそういう風に、木と対話ができるようになりたいと思いました。
枝によって、季節によって、年月によって、答えが変わります。その全てを把握して、一番よいふうに剪定をすることは、とても難しいことだと思いました。
一通り説明をしてもらった後、あんなちゃんが解説無しで剪定をしていくのを見させてもらいました。
本当は、今まで教わったことを頭に、自分でもどの枝を切るべきか考えて、あんなちゃんが実際に剪定するのを見て、ちゃんとあっていればとてもよかったです。
けれど実際は、自分が思った枝と、あんなちゃんが剪定する枝は全然違っていて、まだまだ私には桃の剪定をする心が備わっていないことを実感しました。
唯一、実がついたときに水平より下がってしまう“下り枝”だけは、見た目にもわかりやすく、どこを切ればよいか分かるような気がしました。
目の前の桃の木を一面的にしか見られない私と、長い間桃の木と対話してきたあんなちゃんとでは、やはり見るもの、感じるものの深さが違うのだと、思います。改めて、桃の木を知り尽くしているあんなちゃんが、本当にかっこいいなと感じました。
今はまだ、本当に理解できているとは言えませんが、あんなちゃんの貴重な言葉を聞き、メモに取ることができて、とても嬉しかったです。
いつか私も、今回あんなちゃんに教えてもらったことが心にすっと落とし込めるようになりたいです。
あんなちゃんに桃の剪定について教えてもらった時間は、宝物でした。
未熟者ですが、私も、なのはなの桃を作る一人となれるよう、これからも頑張っていきたいです。
(りんね)