「『脱出記』読書感想文」 なつみ

1月13日

●脱出記
 この脱出が成功したのは、仲間に恵まれたことが大きいと思います。
 生きて自由を手にした4人も、死んでしまった4人も変わりなく、人間味深い人たちでした。一人ひとりが自分の役割を全うし、お互いが、お互いをカバーしあって歩き続けました。生きることを誰一人諦めなかったけれど、仲間のためなら死ぬ覚悟を全員が持っていたから、そこには、何にも負けない信頼関係が見えました。

 どんな困難も、助け合って乗り越えてきて、困難の後には困難しかないけれど、前向きに、時にはユーモアも交えて6500キロを歩き続け、シベリアからゴビ砂漠、モンゴルにチベット、そしてヒマラヤを超えて、目標のインドにたどり着いたときは、仲間は半分しか残らなかったけれど、死んだ仲間もきっと報われたんだろうと思います。

 ただ、仲間が一人ずつ死んでいく話は、読んでいても受け入れるに時間が必要で、わたしは数行戻って読み直して、死んだことをだんだんと理解しました。
 特に心にグサッと来たのは、クリスティーナが亡くなったところ。
 主人公たちがシベリアから脱出して、バイカル湖で出会った17歳の少女。本当に健気で、主人公たちを心の底から信じて、自分は邪魔にならないように一生懸命弱音を吐かずに歩き続けました。足に水ぶくれができて、それが破けて、靴に当たって痛くても、仲間が気づくまで黙って、ただ歩き続けました。
 水がない砂漠で、何十回もぶっ倒れながら「大丈夫」と言っては立ち上がり、また数歩歩いて倒れ、最後は、ぱたりと、なくなりました。家族が死ぬって、こんな気持ちなのかなって、悲しずぎて涙は数ページ後にぽろぽろ出てきました。
 主人公たちも、悲しみにくれそうになりながら、何とか生きて、乗り越えました。

 クリスティーナの後も3人亡くなったけれど、生き残るものはみんな、気を確かにして歩き続けました。すごい精神だと思います。わたしだったら嫌になります。生きて悲しみ続け、苦しみ続けるほうが、死ぬより辛いです。死んだほうがましだって思います。
 でも、そう思わずに、目的のインドまで不屈の精神で歩き続けた4人の意思が、痛いくらい、刺さってきました。4人の覚悟に、目が覚めました。
 陳腐な言葉になるかもしれないけれど、わたしも、本気で仲間の為に生きて、生きて、生き抜いて、必要がなくなったときに死にたいです。生きてる間、悲しくても辛くても全部、楽しんで自分のものにして、脱出記がわたしに力をくれたように、わたしの人生も、誰かの力になるものに、したいです。

 わたしはこれから、旅の流れでエンデュアランス号漂流記を読むのですが、また、どんな新しい出会いがあるか楽しみです。