「2本の竹」 ゆい

11月21日

 今日は、運動会&大銀杏のライトアップを見に行く機会がありました。
 運動会は、実はとてもドキドキしていて、ちょっと緊張もあったのですが、やはり声を思い切り出して、笑って、力も出してすごく楽しかったです。
 私はお父さんお母さん率いるB型チームで、特に色んな種目のリレーがすごく速くて、1番だったのが嬉しかったです。
 竹を取りに行く種目では、お父さんが「自分の陣地近くまできたら、竹は投げ入れてしまって、すぐに他の人の助けに行くように」と言ってくださいました。そして、私はスタートの声を聞いて飛び出したのです。私は、2本掴まなければならない。そう使命感に燃えていました。

 私の目の前から、相手チームのさやちゃん、なつみちゃんが走ってきました。私が掴んだ2本の竹を、さやちゃんも掴みました。私は、絶対に持って帰ると思い、竹を思い切り引いたのですが、さやちゃんの後ろになつみちゃんがついて、2対1になってしまいました。身体が前のめりになり、棒につかまる私。それを引っ張るさやちゃんとなつみちゃん。

 砂の上を、身体が滑走路を走る飛行機のように滑り、なんとかして食い止めようと身体を回転させて抵抗力をつよめる体勢を探してみました。しかし対抗できない。
(みんなが加勢にきてくれるまでは、この2本を守らなければならないんだ。みんなが来てくれるまでは……)と思い、必死で引きずられながら、周りの状況は全くみえない。
 遠くで「あー、ゆいちゃん、引きずられている。しかし、誰も助けにいかない!」と、あゆちゃんが実況する声。
(いま、いま……。どうなっているの、か……? みんなは、来てくれるの……か?)頭の中で途切れ途切れに考えつつ、それでも身体をよじりながらなんとかして、地面に摩擦を起こして進みを遅くしようと試みる。ローリングインザディープならぬ、ローリングオンザサンド。竹に足を絡ませてみたりもする。けれども効力無し。

 しばらく引きずられ、全身砂だらけ。さやちゃんがはたと立ち止まり「ゆいちゃん、こっちの陣地の線に入っちゃった……」と一言。(え、終わった?)長いようで短い戦いが終わってしまったのか。しかも、1本すら竹を守れずに。
 そのあとすぐに「ゆいー! 諦めろー!」とお母さんの声がして、初めてこの世界に戻ってきた私は、この抵抗は無意味なのだと知り、竹から手を離す。
 すると、お父さんの声が「ゆいーっ! お前の役割りはそれじゃなーいっ!」と私を正気に戻し、奮い立たせました。
(わーっ! そうなのかーっ! 私の役割り、これじゃなかったのかーっ!)私は自分の陣地に走りだしました。ほぼ全員が、1本の竹につかまって団子になって戦っている状況が目に入りました。(だれも助けにこない訳だ! 私のやるべきことは、こっちだったのかーっ!)と、状況を初めて飲み込めました。

 私が自分の陣地に辿りつくと同時に、戦いの中心となっていた竹も、仲間のみんなが勝ち取りました。
 そして、みんなが喜んでいたのもつかの間、お互いのチームの竹を数えると勝利は相手チームのものであったことがわかりました。やはり、あの竹、欲しかった。1本でよかったから、欲しかったです。
(二兎を追う者は一兎をも得ずって、いうけれども、実証してしまった)と思いました。
 
 多分、みていたみんなは、(なぜ、諦めてすぐに次にいかないのか)と思われていたことでしょうが、みんなが来るまで粘らねばと思っていたのと、とにかく、周囲の状況が見えなかったのでした。チームのみなさん、ごめんなさい。

 でも、あんなに思い切り引きずられるのも、なかなないと思うし、痛気持ち良かったですよ。

 竹取りでは貢献できなかったけれど、総合結果は優勝できて嬉しかったです。夜はみんなで大銀杏を見に行けて、息を飲むような、大銀杏の佇まいに感動しました。
 途中ですがタイムリミット。ここで提出します。