【11月号⑧】「地這いキュウリから育ててもらう秋」 ゆい

 真夏のキュウリの収穫時期が過ぎると、地に這うと書いて「地這い(じばい)キュウリ」は秋が収穫真っ盛りです。

 夏の暑い時期に種蒔きをされ、暑さに耐え、台風にも耐え、九月から実が採れはじめ、十月も毎日採れ続けています。キュウリは水が大好物で、雨がたくさん降ると、収量もぐっと上がります。二十一センチ前後の真っ直ぐなキュウリの美しさに、自分を肯定されるような喜びをもらいます。

 

 

愛情を込めて

 安定して収量をあげ続けるには、いつも、キュウリのコンディションを見て、打つ手を変えていくことがとても大事だと感じています。毎日見ていると、一日も同じ日はないのだと感じ、とても面白いです。野菜は、素直に、手入れに応えてくれます。水やりをするとき、見回りをするとき、実は、キュウリを可愛がる言葉をたくさんかけ続けたのですが、これも効果があるに違いないと私は密かに思っています。

 追肥の内容を変えたときには、翌日からの変化をみるのが楽しみです。

 アミノ酸をやれば勢いづき、リンをやれば花のつきがよくなる。牛肥にプラスして草木灰をやれば、葉の色や張りが変わり、バランスがとれたことを感じます。

 

 

テントウムシ来訪!

 初期の頃はアブラムシが大量に発生して困ったこともありました。しかし、これにはスイカ栽培で成功した、アリの場外誘導作戦で、アブラムシがアリの保護下にいられなくする対策をとることにしました。アリがいなくなったアブラムシのもとに、テントウムシが来訪したときは、仲間が遠い場所から助けにきてくれたような大きな喜びがありました。

 病気もきましたが、手遅れにならないように防除をすれば、良い状態に戻すことができるのだと実感できて良かったです。キュウリを育てながら、気持ちを切らさずに適度に世話をし続けることや、具体的に考え、行動に移して結果を見るという力をつけさせてもらい、自分が育てられていると感じています。

 キュウリの畑に、大好きな人に会いに行くように足を運びながら、訪れる虫や漂う匂いからは、毎日季節が移っていっていることを感じます。虫には周期があることを知り、漂う金木犀の香りは、外での畑作業をするには、今場一番、優しさに包まれるような季節であることを体感させてくれます。

 地這キュウリを育てる期間は、キュウリを巡って色んなことを感じて、動いて、自身が成長する一つのイベントのようです。

 こうするものだ、ということにとらわれず、目の前のキュウリを、心を遣って育てていくことが、今は一番楽しいです。キュウリの実の形からも、葉の色、蔓の立ち上がり方からも、言葉ではないけれど、サインが送られてきます。適切にコミュニケーションが取れて、対処できたら、結果が出ます。秋中、真っ直ぐで美しいキュウリを採り続けられるよう、粘り強く向かっていきます。