【11月号①】「さあ、特別な旅へ ――お父さんへ、世界8カ国ツアーの誕生日プレゼント――」 えりさ

古吉野なのはなの体育館が空港に、ブラジルに、ドイツに変身。お父さんへの気持ちを込め、 世界旅行を作りました。7番搭乗口からジェット機に乗り込み、出発です。

 

 十月十八日、日曜日に待ちに待ったお父さんの誕生日会が行われました。

 今年はコロナの影響で海外旅行に行くのはなかなか難しい年でした。しかし、私たちはお父さんの誕生日会をきっかけとして、一年に一回の海外旅行にお父さんお母さんを連れて行くことができました。そしてそれはただの海外旅行ではなく、なのはなでしかできない「世界八カ国周遊ミステリツアー」でした。

 十月に入ってからみんなは八チームに分かれ、それぞれのチームで国を選び、その国を象徴する、ダンス、劇、コーラス、アンサンブル演奏、などなどを練習して積み重ねてきました。「国」という壮大な概念を十六分のパフォーマンスでまとめることはなかなかの難題でしたが、みんなと力を合わせてお父さんお母さんが喜んでくれる演奏を考える過程は何より楽しかったです。

 

 

 私のチームはドイツを表現することにしました。ドイツについて調べてみると、本当に魅力的な国だなと思いました。観光名所の写真や地域特有のダンス動画を見ていると、吸い込まれるようにドイツの世界観に圧倒されました。中世を象徴する可愛らしい家が並ぶローテンブルグの街並みや、迫力のあるドイツのフォークダンス。芸術支援がどの国より手厚い表現者の国であるところ。ドイツやドイツ人について知れば知るほど、好きになり、お父さんお母さん、みんなも連れて行きたいと思いました。

 

 

 さて、こんなにたくさん魅力があるドイツをどうやってみんなに表現しよう。早速作り出すことの苦しみをチームのみんなと感じました。大枠は割と早い段階で決まったが、大きく生み出しすぎて、みんなでずっと同じ前向きな気持ちで練習を積み重ね、いいものにできるかがとても不安でした。オープニングは壮大なパレード、国紹介は私とひろこちゃんを司会とした芸術にちなんだパッケージツアー、最後は色んな技を取り入れたなフォークダンスという3つのパート。時間が限られている中、ダンスやアンサンブル練習、劇の練習をチームメンバーと時間を作り、少しずつ進めました。そして、誰か時間を盗んでるでしょ! と思ってしまうぐらい時間が刻一刻と本番に近づきました。まるでウィンターコンサートの準備のようなドタバタ感でした。

 しかし、ずっとずっと、楽しかったです。

 

■力を持ち寄って

 ドイツのフォークダンスは難易度が高いけれど、しほちゃんは解読するのを諦めず、みんなに丁寧に教えてくれました。何回も回転したり、太ももを叩いて飛び上がったり、相手を持ち上げたり、なかなか慣れない振りがぎっしり詰まったダンスでしたが、みんなはずっと笑顔で練習してくれて、たくさん助けてもらいました。

 最後みんなで列になって踊る「スラップダンス」を初めて解読して踊れるようになった時の思いは原始的な喜びそのものだと思いました。

 

 

 みくちゃんもドイツ国家を耳でパートわけし、楽譜を作ったおかげで、素人の自分がいても、本格的なアンサンブル演奏を披露できました。仕事で忙しいはずのやすよちゃんやゆかこちゃん、さやちゃん、のえちゃん、ひろこちゃん、時間がある限り制作物や紹介文を作成するのに手伝ってくれました。当たり前のことなのですが、本当にみんなで作り上げたチームのパフォーマンスでした。

 十八日までの一週間は古吉野中が他のチームの制作物や、ダンス、コーラス、演劇練習で賑わっていました。図書室にダンボールでできた牛の頭やお父さんの顔つきの傘などの謎の制作物が置いてあったり、廊下から「ヘイホー、ヘイホー」と知らぬ言葉を歌うコーラス隊の歌声が聞こえたり。誕生日会が迫る中の非日常的な雰囲気がすごく面白くて、本番がますます楽しみになりました。

 

■世界旅行へ

 十八日が訪れた時、緊張と不安の気持ちはたくさんあったが、とにかく楽しみで仕方がありませんでした。海老フライ付きのなのはなカレーと宇宙一美味しいカボチャモンブランを食べた後、衣装に着替え、お父さん、お母さん、盛男おじいちゃんと、今回ゲストで来てくださったお父さんの親友の到着を待ちました。

 

なのはなで穫れた恵比寿カボチャを使った モンブランです。

 

 体育館は色んな国の旗やみんなの舞台背景でとてもインターナショナルな雰囲気を醸し出していて、お父さんたちの席はプライベートジェット内のように飛行機の外の風景の絵が飾られていました。

 会が始まると、まるで本当に飛行機に乗っているような効果音がなり、あゆちゃんやなおちゃんの豪華フライトアテンダントによる司会が始まりました。シートベルト着用サインがつく時の「ポン」という音を聞くと気持ちが上がりました。

 

フライトアテンダントに扮した あゆちゃん

 

 ミステリーツアー最初の目的地はブラジル。飛行機が到着し、幕が開くと、図書室に置いてあったあのお父さんの顔つき虹色傘を頭とした獅子が登場し、ステージ中を走り回っていました。そのものすごい迫力で、みんなは圧倒されました。パフォーマンスの締めはラテンアメリカ特有のサンバ。けいたろうさんが白い布の幕から登場し、勢いよくダンスする姿を見てとても嬉しい気持ちになりました。

 続いてはエジプト。エジプトマニアの「ファラ男」を演じるなおちゃんが本当に面白くて、ずっと笑いっぱなしでした。『シェイプ・オブ・ユー』を替え歌にしたミイラダンスや、クレオパトラを演じるやよいちゃんもとてもユニークで、また見たいなと思いました。

 三番目の国はスペイン。ちょっぴり奇抜な衣装を身にまとったサルサダンサーや闘牛士のよしえちゃんは見とれてしまうほどかっこよかったです。スペインを紹介するオリジナルソングの歌詞もとても面白く、夜までずっと頭の中で流れっぱなしでした。

 

 

ブラジルでは迫力ある衣装のダンサー登場に 会場が盛り上がりました。

 

■大成功

 スペインに続いていよいよ私たちドイツの出番でした。正直「これでいいのかな」という不安の要素は本番直前まで残っていたが、暖かい家族の前でのパフォーマン

スだったので、ステージに立った時は不安が全て吹っ飛び、ただ喜びとお父さんが大好きな気持ちだけで演奏できました。フォークダンスの途中私としほちゃんは二人でさやちゃんとやすよちゃんを持ち上げ回転する、という大技があります。今ままでの練習でなかなか人数が揃わなかったり、成功することが一度もなかったのですが、本番ではまるで二人の女の子たちは自分の手の中で浮いているかのようにスピード、遠心力、そしてバカ力で大技を成功させることができました。

 

 

 大技ができたあと、なんだか自分の中の殻が壊れたように、ものすごい開放感を感じました。最後にみんなで踊る「スラップダンス」はとびきりの笑顔で踊れた気がしました。みんなとステップを揃える練習を積み重ねてきた迫力満点のスラップダンスを目の前にいるお父さん、お母さん、おじいちゃんがとてもとても嬉しそうな目で見てくれていて、最高に楽しかったです。

 インドチームはなおとさんが演じる生粋の日本人「たじま はる」と一緒にインドの様々な街ををめぐる劇でした。ユーモア豊かなシーンからインドの独特な魅力をたくさん感じ、ぜひインドへ行ってみたいと思いました。

 ケニヤではサファリツアーで色んな動物を見ることができました。シマウマ、ライオン、象、フラミンゴ。最後に動物たちが大集結し、ライオンキングの「サークル・オブ・ライフ」の歌っていました。動物たちのとても動物だと思えない美しい歌声が体育館を響きわたり、鳥肌がたちました。

 

ケニアでは、歌や動物のファッションショーが 披露されました。

 

スペインのフラメンコ

 

 フィンランドは動物ではなく、4種類のサンタクロースの集結。どのサンタさんもまた会いたいと思ってしまうぐらい印象的で、一足早くみんなとクリスマス気分を味わえて得した気がしました。

 ツアーの最終地点はフランス。ココ・チャネル、ゴーギャン、マリーアントワネット、サクランボタルトの女の人、ジャンヌダルク。フランスのあらゆる偉人の対話を聞いていて、笑ったり、涙を流したり、本当に最後にふさわしい演技に心がときめきました。

 

■全員集結

 どのチームのパフォーマンスもとても魅力的でずっと笑ったり、感動しっぱなしでした。

 こんなに面白い舞台がこんなに限られた時間できる家族がたくさんいることに誇りを感じました。

 最後はみんなで一気にステージに上がり、フランス特有のカンカンダンスを披露。お父さんに向かって手を振りながら走っていくところは前から見たことがないが、あゆちゃんによると涙が出てきてしまうほどお父さんとしては嬉しいだろうなと言っていました。世界中の民族衣装を身にまとったみんなは最後集結し、お父さんに向かってありがとうの気持ちを伝えるカンカンダンスはなんだかとてもなのはならしいエンディングだなと思いました。その場にいさせてもらってたくさん力をもらったし、心温まりました。

 お父さんの中学からの同級生の方にも、なのはなのことを知ってもらってとても嬉しかったです。

 十月十八日のみんなの演奏を見て、その方は色んな国の様々な植物が蓄えるエネルギーが私たちにもあるとおっしゃっていて、それを聞いて改めてみんなの中にいさせてもらう自分は恵まれているなと思いました。

 みんなの中に潜む強さや優しさがあるからこういう素晴らしい花のある会を咲かせることができたり、毎日小さいことでもたくさん、たくさん幸せを感じることができます。

 今回のお父さんの誕生日会は壮大なイベントでした。準備時間も大変であったが、ずっと笑顔でした。改めてみんなと作り上げることは本当に楽しいなと思ったし、次の機会が楽しみで仕方がありません。