「梅の剪定」 りんね

10月31日

*梅の剪定

 午後はあんなちゃんに、梅林の梅の、冬季剪定を教えていただいた。
 とても貴重な体験だった。

 
 剪定は、私は一番好きな作業だと思う。
 あんなちゃんは、基礎から、細かなところまで、とてもとても丁寧に教えてくださり、とてもありがたかった。

「桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿」ということわざがあるように、梅は大胆に剪定をしても、大丈夫な木、ということだった。
 今回の剪定の目的は、樹形を整えたり、採光性や風通しをよくして、実をたくさんつけられるようにしたりすることだった。

 切る枝は、主に“内向枝”という木の内側に向かって伸びている枝。採光性を悪くするので、基本的に内向枝は剪定していった。

 梅も、桃と一緒で、花芽と葉芽がセットで枝についていた。今はまだ、とても小さかったけれど、少し膨らんで、雫のような形になっているものが“花芽”だと教えていただいた。
 この花芽が、次の6月ごろの実になるので、とても繊細なものだった。
 花芽がたくさんついている枝は、邪魔にならなければ、内側へ伸びていても、残す、という考え方もあった。

 また、幹はあまり日焼けをしてしまうと傷むそうだった。小さな枝でも、葉がつくので、残しておくことで強い日差しから幹を守る、ということにもなった。
 だから、内向枝だからといって全部切るというわけでもない。例外は、たくさんあった。

 枯れこんでしまって、花芽がほとんどついていない枝は、全て切ってしまってよかった。逆に、外向きでも、崖に向かって伸びている枝は、収穫することができないので、潔く切ってしまうこともあった。

 “徒長枝”という、緑色で、若くてまっすぐにぐんと伸びた枝は、3分の1残して切り詰めるか、根元から切り落とすか、だった。徒長枝は、そのまま伸ばしっぱなしにしてしまうと、実をつけるより、空に向かって枝が伸びる方に栄養が使われてしまう。だから、切り返すことで側枝を生やして、実をたくさんつけさせたいのだった。
 切り返すときは、切り口から一番近い葉芽が、外側にくる位置で切ることを教えていただいた。内向枝にならないようにするためだ。
 
 徒長枝が旺盛に生えている木は、樹勢が強く、元気がある木。そうでない木は、弱っている木だった。一つ隣でも、ものすごく徒長枝が混みあっていて、ほうきのように元気になっている木と、ほとんど徒長枝がなく、静かな木があった。

 混みあっている木は、徒長枝の先端の剪定方法があった。
 この枝を伸ばしたい、という外向きで、強い枝を決めて、その枝の成長を阻害する枝は、根元から切ってゆく。最後に、残す枝も3分の1のところで切り詰める。

 あんなちゃんがそれを説明しながら、“スパッ、スパッ”と流れるように枝先を切ってゆくと、樹形があるべき形に収斂されていった。
 私も、やってみると、全然あんなちゃんのようにはいかなかった。私は、そもそも脚立をいい場所に置くことが、とても難しかった。
 脚立に登ると、枝に頭が被ったり、ちょっと遠めに脚立をずらすと、今度は枝に届かなかったり、大変だった。枝は、見る角度によって印象が全然違うし、下から見て、“この枝を切ろう”と思って、ちゃんといい場所に脚立を置いて、いい角度で切る、ということは容易ではなかった。

 でも、あんなちゃんに教えてもらって、できるようになってとても嬉しかったことがあった。
 それは剪定ばさみの使い方だった。ある程度太い枝も切ることができる、とてもいい剪定ばさみを使わせてもらったけれど、それでも切りにくい枝があった。
 そういう枝は、はさみの刃がついていない方に枝を倒して、切るといいと、あんなちゃんに教えていただいた。
 切ってみると、軽い力で、スッと枝に刃が入っていったので、本当にすごいと思った。そのやり方をしていると、どの枝を切るときもうまく切ることができた。
 これは、普段野菜の収穫で使っている剪定ばさみでも同じことだと思うので、剪定ばさみの正しい使い方を知ることができて、とてもよかった。

 また、基本的なことだが、切り口は必ず、根本の際で切ることで、木も傷口を治しやすいことも教えてもらった。
 あんなちゃんは、道具の使い方の一つ一つ、木に対する心の使い方が、あるべき形で行っているから、本当に流れるような美しい剪定をすることができるのだろうと感じる。
 木に触れるあんなちゃんの手や、表情は、とても優しい。
 ああ、自分は、程遠いなと感じた。何よりも心が、遠いと感じる。けれど、あんなちゃんの姿から学べることは、本当に貴重なことだ。大切に心に留めておきたい。

 また、古い梅の木と別に、3年前に植えられた梅の木の剪定も、教えていただいた。今はもう、かなりしっかりとした若い木だ。
 この梅の木の剪定は、木の骨格を作る、とても大切な剪定だった。
 3本仕立てに仕立てるということで、3本の主枝を決定することから、始まった。
 枝は、地面に近い枝から、太くなると教えてもらった。適切に剪定していくことで、大体3本の主枝の大きさは同じになっていくそうだった。

 主枝が決まると、“亜主枝”を決めて、それを残して他の枝は切っていった。亜主枝として残す枝は、主枝の、斜め下から生えているものだった。NGな枝は、主枝の“背中”から生えている枝で、それは主枝から栄養を取って強く伸びてしまうそうだった。
 桃の木のように、大きく育てる木は、亜主枝を目の高さで生やすそうだ。だが、梅林は場所が狭いので、腰くらいの高さだった。

 また、“車枝”という、同じ場所から3本の枝分かれがしているものは、真ん中の枝が一番弱くなるようだった。
 少し3本の主枝のバランスが悪い場合、杭を打って、マイカー線で誘引をすることで、バランスをよくすることができるようだった。

 3本の主枝の他に、かなり太い枝があった場合、主枝と同じくらいの太さの、その枝を切ってしまうと、木にとってかなりダメージが大きくなってしまう。
 だから、今回は控えめに切り、また来年、主枝がその枝より確実に太くなってから、根元から切るとよいことも、教えていただいた。
 来年切る枝は、切り返すと樹勢が強くなってしまうので、切り返しもなしだった。
 長い目で見て、本当に木のことを思って行なう剪定は、とても優しかった。

 最後に、主枝も先端を切り返した。
 今年度は、この木に初めて実がつくようだった。小さいながらも、たわわに花芽がついていたので、とても嬉しい気持ちになった。

 私も、いつかあんなちゃんのようになりたいと願う。あんなちゃんのように、イチジクも育てたい。
 今日はあんなちゃんからたくさんのことを教えていただき、とても嬉しかった。