【10月号⑩】アンサンブル「心に響く音を目指す ―― アンサンブルを奏でる一員として ――」 ななほ

『りゅうさんとあゆちゃんの結婚式に、素敵なアンサンブルの曲を演奏したい!』

 りゅうさん、あゆちゃん、ご結婚おめでとうございます。りゅうさんとあゆちゃんのスケールの大きさ、求める気持ちの深さ、物事の考え方を心から尊敬しています。私たちアンサンブルメンバーは、結婚式の一か月ほど前から、練習を始めました。私はアンサンブルメンバーとして活動させていただくのは今回が初めてだったのですが、ウィンターコンサートの時と同じ緊張感で向かいました。

 『ガラスの香り』は、その名の通り香水瓶をイメージした曲で、上品に大人っぽく、ちょっぴり遊び心を持って演奏しました。さとみちゃんが具体的なイメージを伝えてくれて、アンサンブル部みんなでひとつになって、全員で運命共同体として練習をしてきました。結婚式当日は音楽劇の中で演奏をしたのですが、かにちゃんのドラムも入り、自分達が『ガラスの香り』になって、メリハリをつけながら演奏しました。

 

 

 どのパートの人を引き立たせるか、メロディーラインは誰が演奏をしているのか。アンサンブルのチームとして、個人プレーではなくチームプレーで、自分の役割を考えました。その時のコンデションや気持ちのよっても、音が違ったり、全体の雰囲気が変わることも多かったのですが、同じ仲間として理解し合いながら、練習ができた時間はかけがえのないものになりました。

「楽器を持ったら、演奏者になる」

 さとみちゃんが、「私は個人練習をする時、通りすがりの人に聞かせるつもりで演奏しているんだ」その言葉を聞いて、自分の浅さを痛感しました。常に見せる意識、聞かせる意識を持つこと。楽器を持ったら演奏者として、表現者として、自分がどう見られているかではなく、どう見せるかを考えて、練習の時から本番をイメージして誰に見られても恥ずかしくないようにする事。例え、不十分でも、音が違ったとしても、「私はこういう風に練習をします」「こういう練習をしたら、こんな風に演奏ができるようになります」と伝えられるような演奏をする。

 さとみちゃんの楽器に向かう姿勢、気持ちの持ち方から、自分がどう見せたいか、この楽器でどんな演奏をしたいかがより明確に自分の中に生まれました。自分だけが頑張って練習しても、それは必死さが見えてしまう演奏になる。だからと言って、控えめにし過ぎると音が小さくなって、全体の迫力が無くなってしまう。どの楽器も同じ音の質、音圧を出すけれど、周りの音をよく聞いて、全体の中で自分がどんな役割をしているか、今は誰を引き立たせるかを意識しながらアンサンブルメンバーとして演奏させて頂けた時間が嬉しかったです。

 結婚式のセレモニーで演奏した『パッヘルベルのカノン』と『婚礼の合唱』は、短期集中型で自分の中でイメージを作り、初めての合わせでは最初から最後までを通すことができました。でも、個人で練習を進めていたので、人それぞれ、情緒の深さ、求める気持ち、この曲を通して伝えたいことやイメージが少しずつ異なり、歯がゆいようなもどかしさを感じました。そんな時、あゆちゃんが音楽室に来て、私たち練習を見てくれました。

「全体的にすごく良くて、感動したけれど、みんなの見ている景色が少し違うんだよね」あゆちゃんの言葉を聞いた時、(その景色をアンサンブル部のみんなと見たい)と心から思いました。嬉しいとか、悔しいの前に、もっとこうしたい、こうできると思う気持ち。りゅうさんとあゆちゃんの為ならば、自分が自分じゃないみたいに力が湧いてきて、アンサンブルのみんながいるから、自分の力が何倍にも膨らみ、自信になりました。

 『パッヘルベルのカノン』は誰もが知っているサビの部分が、特に難しく、指が追い付かなくて気持ちが焦りました。でも、りゅうさんとあゆちゃんの為に、百パーセントの力を出して、練習も精いっぱいでしようと思い続けました。そんな気持ちで練習を進め、まだ良くしたいところがあるまま迎えた本番だったので、みんなに申し訳なかったのですが、できる限りの練習はしたので、罪悪感よりも達成感の方が大きかったです。

 

 

「新郎入場」のアナウンスと共に、『パッヘルベルのカノン』。そして、お父さんとあゆちゃんの入場には『婚礼の合唱』を演奏しました。夜の合わせ練習の時に、お父さんが、「カノンと婚礼の合唱は、できるだけ音を伸ばして、全体の空気が途切れないようにしたい」と話して下さり、結婚式らしく、お祝いの気持ちと、少し花嫁さんを送り出してしまうのが寂しいような、伸びやかで深い音を目指しました。

「ガラスの香りを演奏するときは、ガラスの香りの人になって、カノンを演奏するときは、カノンの人になって」、さとみちゃんが毎回の練習で具体的なイメージを教えてくれました。どこかから、香水の香りが広がるような、近づいたり遠くなったりする香りになる。教会のオルガンを演奏している様な、清楚で華やかで、一音一音を大切に。

 結婚式では、セレモニーや音楽劇の他に、夜の第3部披露宴でも、『パッヘルベルのカノン』を演奏させていただき、演奏前の緊張感とは反対に、お客様が大きな拍手を返してくださり、りゅうさんとあゆちゃんが瞳を輝かせて、真っすぐに演奏を聞いてくださる姿を見ると、私も嬉しくて、アンサンブルメンバーのみんなと運命共同体として向かい、同じ喜びや達成感、幸せを感じられたことが嬉しかったです。

 りゅうさん、あゆちゃん、ご結婚おめでとうございます。