【10月号⑥】「幸せな気持ちで満ちて ――世界でたった一つの結婚式――」 さき

 

 九月二十日。りゅうさんとあゆちゃんの結婚式の日は、朝から眩しい太陽の光が祝福してくれました。二人にとって、一生残る大切な結婚式。そんな日に、私はここにいる。

 なのはなで二人の結婚式を一緒にお祝いできるなんて、夢にも思わなかったので天からの贈り物のようです。

 結婚式の準備は、約三週間前。スケジュールが発表されると、たちまち盆踊りや係の準備が始まりました。盆踊りでは、前回のなのはな盆踊り大会で各チームが考えた演出や踊りを磨いてさらによいものにすることをめざし、とにかく練習しました。前回は練習期間が二日でしたが、今回は時間もある分、みんなと揃えるところを何度も練習していけるのが嬉しかったです。

 そして係活動では、環境整備であんなちゃんやのりよちゃんたちと、体育館やグラウンドを徹底的にきれいにしました。イスを運んだり、草を取ったり……。古吉野がどんどんきれいになっていく姿を見てやり甲斐を感じました。

 中でも一番楽しかったのは、イスと机のペンキ塗り大会。

 ペンキ塗りってこんなに楽しいんだと思い、服についても気にせず夢中になって塗っていました。一瞬、ペンキ職人になりたいと思うくらいです。古くなった家具も、ペンキを塗ると新品に生まれ変わるようで嬉しかったです。

 こんなふうに感想を書いていると、なかなか式が始まらないほど、結婚式を作り上げるうえで色んな背景がありました。

 いよいよ結婚式。本番は、朝からたくさんの人が廊下を行き交い、飾りもとうとう完成して賑やかです。セレモニーのドレスを着ると緊張感が高まり、漸く実感が湧いてきました。非現実すぎて、まるでおとぎ話の夢のようでしたが、あゆちゃんやりゅうさんがレッドカーペットを歩く姿を見て、これは夢ではないんだと思いました。

 真っ白なタキシードを着たりゅうさんと、素敵なウエディングドレスを着てお父さんと並んで歩くあゆちゃん。拍手しながら、自然と涙が溢れてきました。二人の結婚が嬉しくて嬉しくて、なんといったらいいのか言葉が出ません。席には、手書きでりゅうさんのメッセージあり、本当に優しいなと思いました。

 

指輪の交換

 

 第二部からは、この日のために練習を重ねた音楽劇。りゅうさんとあゆちゃんの出会いの物語を描くストーリーは、お父さんとなおちゃんが考えた脚本です。身近に接する人を演じるというのはどういう気持ちだったでしょうか。逆に、演じられる側はどう感じたのか気になりました。

 私は音楽劇で、和太鼓やドラムを叩く機会をもらいました。オープニングでは和太鼓、エンディングではドラム。バチとスティックを持ち替えて、ひたすら叩きに叩きました。同じ打楽器だけど、和と洋でリズムの取り方や手の動きなどが違って、難しかったです。特にドラムは慣れていなかったので、ダブルストロークには苦戦しました。できるようになるまで時間がかかったけれど、本番ではちゃんと叩くことができて嬉しかったです。 

 オープニングは『アライブ』。和太鼓が演奏に加わるということで、念願叶った金時太鼓の演奏。みんなの前で演奏することをずっと心待ちにしていて、まさか結婚式でできると思わなかったので、とても嬉しかったです。

 新曲の『アライブ』では、和太鼓六人で演武となのはなバンドとコラボを果たしました。

 

 

 後半には、りゅうさんがあゆちゃんに贈る『パーフェクト』。歌詞の和訳を読んだとき、こんな素敵な曲を届けるりゅうさんに、あゆちゃんはどれだけ嬉しいだろうと思いました。

 ギター片手に、一生懸命歌うりゅうさんの後ろ姿がとてもかっこよかったです。こんなに素敵な曲を、みんなで歌えた時間が楽しかったです。

 そして、お父さんの『もう一つの土曜日』の弾き語りがありました。本当にいい曲で、お父さんの優しくて強い歌声に緊張がほぐれました。最後にお父さんが作った替え歌のフレーズも素敵でした。

 音楽劇エンディングは、大人数が藁スカートで踊る『サムナイツ』。

 私は、今回『サムナイツ』という曲のマーチングバンドで、初めてテナードラムに挑戦しました。この楽器を初めてもったときの正直な感想は、重い。五人の中で一番背が低くて小柄な自分が一番重たい楽器で、大丈夫かなと思いました。

 しかし、「やっぱり私は叩くのが好きだ! 選ばれたからにはやるしかない!」と、毎日練習しました。

 よく考えると、新米のお米一袋よりも軽いと思えば、このくらい大丈夫だと思えてきました。 

 須原さんが補整してくださったおかげで、体が楽になって、本当に感謝しています。

 りゅうさん、なおとさん、けいたろうさん、しほちゃんとユーモア溢れるこのメンバーと練習してきた時間が何より楽しかったです。たくさん笑って、試行錯誤して、この曲をこのメンバーでできてよかったと思います。

 

『サムナイツ』で、りゅうさんは スネアドラムを演奏しました

 

 劇が終わり、ウエディングカーに新郎新婦がご乗車。ゆいちゃんが手書きで作ったタペストリーに、ヘッドライトのつけまつげやバルーンアーチがかわいかったです。このウエディングカーは新郎新婦にまつわる五つのテーマを設け、二者択一の質問をみんなで答えるというものです。みんなで楽しめて、りゅうさんとあゆちゃんのことを知るきっかけにもなって、とても嬉しかったです。最後のブーケトスでは、まさかの最年少のりひとくんが取っていたのも、面白かったなと思います。

 

 

 そのあとのディナーでは、河上さんを始め台所チームのみんなが、ずっと考えて作ってくれた豪華料理でした。メニューのなにからなにまで、どうやって作ったんだろうというものばかりで、本当にとっても美味しかったです。結婚式の料理まで作ってしまうみんながすごいなと改めて思いました。一つひとつに祝福の気持ちが込められていて、工夫が凝られた料理をみんなといただけてありがたかったです。

 第三部は祝宴盆踊り。オープニングは、なんと和太鼓二曲の演目。こんなにも和太鼓を叩く機会をもらえるなんて、ありがたくてますます気合いが入りました。 

 『風の舞』『わかば』はみんなで何度も練習してきた曲で、大好きな二曲です。特に『わかば』は、初披露だったので緊張しましたが、本番はどちらもノーミスで叩くことができてよかったです。

 太鼓の衣装を着ると、なぜか強くなれる気がして、自然と緊張もほぐれました。緊張よりも楽しさの方が勝って、この日は一番楽しく叩けたと思います。また機会があれば、なのはなで金時太鼓を演奏したいです。

 

和太鼓の迫力の音が響きました

 

 再び集まった盆踊りのチーム。私は、前回グランプリをいただいた「人形四つ拍子」のチームです。えりさちゃん、りんねちゃん、なつきちゃんの踊り。せいこちゃんのキーボード。大太鼓の私。みんなが明るくて優しくて、一緒にいると安心できる空間でした。「太鼓叩いてみたい!」と思いつきで提案してみたものが、こんなかたちでせいこちゃんのキーボードとコラボして……。

 始まりは八月十五日の盆踊り大会。生まれたてはまだ何も分からなくて、ぼやっとしていたものが、あのたった二日の時間でかたちになりました。ギリギリまで構成がまとまらず、生みの苦しみを味わいました。本番直前まで試行錯誤し、なんとか曲が完成。

 そんな私たちが、盆踊り大会のグランプリ受賞。まさかの展開でしたが、「ピンチはチャンスとはこのことをいうのではないか」そう思いました。

 

 

 それから約半月経ち再結成。身体はリズムを覚えていました。曲も少しアレンジを加えて、さらに技術を磨こうと時間さえあればばちを持って叩きました。かにちゃんが作ってくれた、練習用の太鼓台を叩きながら、前で踊る三人の四つ拍子が日に日に揃っていくのをみて、背中を押されました。仲間が、「キーボードと太鼓の音がいいね」と言ってくれたことが自信になって嬉しかったです。

 盆踊りも無事に終わり、お開きの時間になりました。時刻は九時前。実に七時間にわたる長時間の結婚式は、会場全体が幸せな空気で満たされ、笑顔で溢れていました。

 誰もが精一杯の祝福を込めて、舞台で表現しているのがよく伝わってきました。最後まで自分ができるベストを尽くし、少しでも見ている人に喜んでもらえる演奏ができたと思います。

 式場には、盛男おじいちゃん、河上さんと正治さん、村田先生、永禮さん、りゅうさんの弟さんと彼女さん、加川さん、あきこさん御家族、須原さん、白井さん……。来て下さってみんなでお祝いできてとても嬉しかったです。卒業生のまちこちゃん、そらちゃん、みよちゃんも台所で準備してくれていて、本当にみんなで結婚式を作り上げているのを感じて、暖かくなりました。

 

お色直しをした、あゆちゃん、りゅうさん

 

 大好きなりゅうさんとあゆちゃんの結婚式を、なのはなでできたことが何よりも幸せで楽しかったです。二人の笑顔が、キラキラと輝いていて、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。この会場にいた人全員が、喜びを共有し、こんなにも好きな気持ちでいっぱいの空間は、世界でたった一つだけ。一生忘れられない結婚式に出られたことが自分にとって宝物になりました。

 結婚式を迎えるにあたり、今まで練習してきたこと。準備してきたこと。思い返すと大変なこともあったけど、とても楽しかったです。そのプロセスの全てが成長の糧となり、またさらになのはな全体もよりグレードアップした感じがします。やるとなったら結婚式もできる、これはみんなが同じように好きという気持ちがあるからできることだと思いました。

 

 

 自分はまだ結婚について考えもしなかったけれど、二人の姿を見て、お互いに好きという気持ちが溢れていて、「ああ、こんなに幸せそうに笑う二人が結婚したら、きっと素敵な家庭を築くのだろう」と思いました。結婚というものを目の当たりにして、「これこそが本当の結婚なのではないか」とそう感じました。結婚式に出るのは四度目でしたが、今までで一番幸せで楽しくて、最高の結婚式に出させてもらいました。

 りゅうさん、あゆちゃんがこれから新しい人生をなのはなとともに歩んでいく。その姿を見つめながら、私もなのはなの一員として、利他心を持って優しく生きたいと強く思います。誰かの幸せを願って、努力し続けたいです。

 最後に、結婚式でたくさんの幸せを分けてもらい、自分たちも楽しませてもらって本当に感謝しています。りゅうさん、あゆちゃん、ご結婚おめでとうございます。結婚式に素敵な招待状とメッセージ、とても嬉しかったです。ありがとうございました。