【10月号③】「人と人との間にある幸せ―― あゆちゃん、りゅうさんの姿から感じたこと ―― 」 えりさ

 

 昨日はどんなメジャーモーション映画よりはるかに美しいワンシーンの連続でした。リビングで村田先生やあきこさん家族と一緒におにぎりを食べてコメントを回した時間から、あゆちゃんとりゅうさんの最後の挨拶まで、全てが大好きな気持ちに溢れていて、ずっと、ずっと幸せでした。こんなに幸せを経験させてもらって、申し訳ないぐらいです。

 一つひとつの瞬間を大切にとっておきたいです。開式から夜の挨拶まで、多いのですが、感じたことを全て書き留めたいと思います。

 受付は午後一時半に始まりました。お母さんとあゆちゃんに選んでもらった色とりどりの正装を身にまとったみんなは一列になって、受付口でメッセージカードを渡しに並びました。誰のメッセージも、あゆちゃんとりゅうさんに対しての想いの言葉でぎゅうぎゅうに詰まっていました。

 

招待状に描かれた、あゆちゃん、りゅうさんの似顔絵

 

 会場である体育館は、チャペルに見違えるような、美しい結婚の場になっていて、つい最近まで掘り立てのじゃがいもや玉ねぎが広がっていた光景が想像しがたいです。なんでもできるみんなが改めてすごいと思います。ステージには手作りの紙花でできた迫力のあるオブジェ、そしてその上にはおばあちゃんが昔作ってくださった「なのはなファミリー」のタペストリー。お母さんはおばあちゃんも結婚式に参加させたいという思いで残してくださいました。

 

 席に着くと、可愛いタキシード型の箱に入った手作りクッキーとりゅうさんの手書きメッセージがついた席札が置いてありました。こうして、一人ひとりに対して優しさを細かいところまで差し伸べ、幸せをこんな大勢の家族で分かち合っている空間は、本当に世界でここだけだとその時、心底思いました。今自分は地球の中心にいさせてもらっているような特別な気持ちでした。周りの空気は幸せ無限大でした。

 リハーサルを十八日に行った分、緊張や不安より純粋な喜びばかりでした。

 いよいよ結婚式開会です。

 司会役のなおちゃん、なおとさん、よしえちゃんが進行してくれます。

 なおちゃんは、「不慣れなので……」というのですが、そういう感じは全くしませんでした。もはや、どんなプロのアナウンサーよりよほど面白い、優しい、カリスマ性豊かな司会を進めてくれるのは、なおちゃんしかいないと思いました。お仕事で大変なはずなのに、どこまでも細かくあゆちゃん、りゅうさん、みんなを思って動いてくれるなおちゃんが本当にかっこいいといつも思っています。

 

 

 管楽器アンサンブルによるパッフェルベルの『カノン』演奏が始まると、体育館出入口から真っ白いスーツ姿のりゅうさんが登場しました。一歩づつステージの方へ向かうと、みんなの拍手が体育館中に響き渡ります。レッドカーペットの一本道を歩むりゅうさんの目はキラキラ輝いていて、そのまっすぐさに心が打たれ、早速涙がポロポロ流れ出てきました。

 リングボーイのりひとくんや、フラワーガールのりなちゃんとななほちゃんも心がときめくぐらい可愛いかったです。あゆちゃんの

 優しさのおかげでここまで成長し、希望をもてるようになった、その感謝の思い、大好きな気持ち、勇気、全てが二人のフラワーガールの笑顔に反映されていて、それを見ると再び涙がポロポロ出てきてしまいました。

 最後に新婦さん入場です。なのはなのお父さん、そして、シンプルな白いウェディングドレス姿のあゆちゃんが登場すると、周りの空気が静まり返りました。どんなハリウッド映画のワンシーンより、大好きな二人がバージンロードをゆっくり歩む姿がはるかに美しく、感動する光景でした。薄いヴェールのしたからあゆちゃんのはにかんだ笑顔と、お父さんの誇りに満ちたひたむきな視線、そして体育館の反対側に立つ、暖かい目で見守っているりゅうさん。時間の流れ、地球の回転、その時、なにもかもが止まったようでした。

 今振り返って二人がバージンロードを歩む瞬間を思い出すと、夢のような一時としか感じれません。何年先でも、希望となる二人の姿を自分の支えとして大切にとっておきたいと思いました。

 

 

 りゅうさんとあゆちゃん、二人の誓いの言葉一つひとつに心が打たれ、涙を流しっぱなしでした。しかし、一番印象に残ったあゆちゃんの一言は、なのはなのみんなにとっても一生忘れないものだと思いました。それは、りゅうさんがプロポーズした時言ってくれた言葉です。

「一緒に暖かいなのはなファミリーを作っていこう」

 耳を疑ってしまうほどありがたい、優しい、これ以上ないほど素敵な言葉でした。

 

 

 りゅうさんはあゆちゃんと一緒に家族だけではなく、なのはなファミリーを支えたい。

 なのはなに来るまで、安心感を経験して来れなかった自分にとって、こんなに強い、優しい二人の家族ができたことは何億年に一度しかない奇跡的な出来事です。

 世の中は、お父さんが以前言ったように、苦しみに溢れてる生き地獄のようなところです。

 私はこの地獄を通り抜く細い一本道を何度も見失い、絶望寸前まで落ちました。しかし、昨日、あゆちゃんとりゅうさんは私、みんなに大きい希望を与えてくれました。

 こんな世の中でも、優しさは残っている。

 どこまでも仲間を思ってくれるあゆちゃんとりゅうさんに支えてもらえるなら自分もどこまでも誰かのために頑張れると、あの時、強く思いました。

 第二部はりゅうさんとあゆちゃんの出会いを物語る、一時間半の音楽劇です。今年はウィンターコンサートができない分、結婚式の音楽劇にたくさん力を入れて練習を積み上げてきました。

 

 

 劇は、りゅうさん役のなおちゃんと、あゆちゃん役のやよいちゃんが、それぞれの故郷を離れ、二人に見合った広い世界を経験したのち、最終的に日本で巡り会い、結婚するという物語です。演技を見ていると、本当にあゆちゃんとりゅうさんの世界観が一致していて、二人の関係は運命だと感じました。

 自分は今回、盛男おじいちゃん役を務めさせてもらいました。尊い盛男おじいちゃんを自分がやるとなった時、最初はかなり不安でしたが、お父さんの細かい指導によって、イメージを掴み、なんとか果たせることができました。

 おじいちゃんが出てくるシーンと設定は、りゅうさんがあゆちゃんにプロポーズした直後という、かなり重大な場面です。実際、二人が婚約した後、一番にお知らせした人が盛男おじいちゃんでした。二人の結び合いを認めるか、認めないか、ステージでそういった緊張感の高い空気を醸し出すことが私の役割でした。

「君は今の世界に一番必要なものはなんだと思うかな」となおちゃん/りゅうさんに向かって尋ねると、即答で「あゆちゃん、そしてなのはなファミリー」となおちゃんは答えてくれました。

 その後の「合格だ! なんて素晴らしい青年だ」という台詞は本当に気持ちよくて、昨日は大声でみんなに向かって言えたのがとても嬉しかったです。通し練習していた時はいつもなんだか物足りない、もっと気持ちを込めても演技したかったという思い残しがあったが、昨日はやりきった感じがして、よかったです。

 

 

 話は劇の少し前に戻ってしまうのですが、盛男おじいちゃんが登場する直前の、りゅうさんがあゆちゃんにプロポーズするシーンは、これまでの通し練習と少し違う部分がありました。今まではなおちゃんがシンプルに、「結婚してください」と頼み、やよいちゃんは、「いいよ」と答えて次の場面へと移りました。しかし、本番では、なおちゃんはりゅうさんがあゆちゃんに実際かけた、「一緒に暖かいなのはなファミリーを作ろう」という言葉に台詞を変えていました。そして、やよいちゃんは本物の涙を流しながら、「本当に、私でいいの……?」と答えました。自分はその時、上手側の控え室にいたので、二人の表情や、あゆちゃんりゅうさんの反応を見ることはできなかったが、会場に響き渡る二人の役者の感情が詰まった声と周りの空気から十分感動が伝わりました。本当に、りゅうさんがプロポーズした時は、ステージで物が描かれてるように美しかったのだろうなと思いました。自分の出番の前に涙が出てしまいそうになったが、どうにかこらえて、より自分の演技にも力を入れることができた気がします。

 歌、ダンス、コーラスも今までのウィンターコンサートと負けないぐらい素晴らしい演奏ばかりでした。オープニングの『アライブ』の演奏には和太鼓があって、その迫力に圧倒されました。ダンサーのまえちゃん、のりよちゃん、須原さんの力強い目線と動きに心が何度も打たれました。太鼓を叩くメンバーのみんなも本当にかっこよくて、見ているだけで力が湧いてきました。

 

 

 りゅうさんを囲んで歌う『パーフェクト』は予想通り、本当に暖かい一瞬でした。あゆちゃんに対する愛情でいっぱいだったりゅうさんの歌声と、それを支えるみんなのコーラスの兼ね合いは、鳥肌が立つほど美しかったです。その場に歌わせてもらって本当に幸せをたくさん感じましたし、自分も将来この歌を誰かに歌ってみたいと少し思いました。

 

 

 お父さんによる『もう一つの土曜日』もとても素敵でした。お母さんがお父さんに横に座って、支えながら二人で歌っている姿は何度見ても心が安らぎ、暖かい気持ちでいっぱいになる光景です。お父さんの歌声はやっぱりなのはなのお父さんらしい、強さと包み込む優しさがありました。そしてみんなのためにいるあゆちゃんとりゅうさんに対する信頼感がたくさん伝わりました。本当に素敵で、自分の中の宝物としてとっておきたいと思いました。

 音楽劇が終わるとみんなで花道を作り、可愛いまつげ付きのウェディング軽トラまであゆちゃんとりゅうさんを見届けました。いよいよ人生ゲームの開始です。会場はグラウンドで、道のりにはみんなが飾った風船、石灰で書いたハート、イースターアイランドや、落ち葉堆肥を背景としたエアーズロックがありました。グラウンド中央には大文字でHAPPY WEDDINGと書かれています。

 豪華運転手のながれさんが出発すると、みんなは小走りでついていき、ゲームスタートです。お父さんが司会を務めて、様々なテーマに沿った二択の質問をあゆちゃんとりゅうさんに聞き、その答えをみんなで当てるという遊びでした。

 あゆちゃんとりゅうさんらしいな、という答えがあれば、完全に予想外の答えもありました。自分にとって少し驚きの答えは家族で一年滞在するとしたらアメリカか、ニュージーランドか、でニュージーランドという答えでした。

 

 

 スペシャルステージでは、みんなで玉入れをしてあゆちゃんとりゅうさんの健康管理のしかたを決断しました。選択肢は「毎日二人手を繋いで三十分歩く」か「りゅうさんのオリジナル腹筋体操」で答えが圧倒的に後者の方でした。あゆちゃんは少し嫌そうでしたが、きっと楽しいだろうなと思って、ぜひ、みんなと一緒でできたらいいなと思いました。

 念願のブーケトスで勝ち抜いたのはなんと最年少のりひと君でした。あまりにも予想外な結末にみんなが大笑いでした。

 

 

 夕食は台所チームのみんなが考えてくれた前菜、オニオンスープ、桃とチーズのカプレーゼ、そして、なのはなファミリー定番の「愛は勝つ」カレーでした。豪華な夕食が本当に贅沢でありがたかったです。

 ゲスト一人ひとりのお祝辞は急にも関わらず、どれも暖かく、優しい想いで溢れている言葉ばかりでした。あゆちゃんとりゅうさんは本当に愛されていることを感じました。

 その中で、りゅうさんの親友の加川さんのお祝辞が印象に残りました。

 彼はりゅうさんの大学時代からの友人であり、昨日で約十年ぶりの再会でした。彼の言葉から本当ににりゅうさんのことが大好きであることが伝わったし、彼自身も本当に優しい人であることがわかりました。十八日の「今日のなのはな」の一コマに、私は、加川さん、があゆちゃんとりゅうさんが、「キラキラしたオーラがある」と言った話を書かせてもらいました。彼の言葉がなのはなのみんなまで伝わったことを彼に知ってもらえて、本当に嬉しかったし、仲間が増えた気がしました。

 加川さんがなのはなに来て、一緒にりゅうさんの結婚を祝えたことがとても良かったなと思います。

 綺麗で可愛いウェディングケーキの投入とファーストバイトの後、いよいよさりーちゃんとせいこちゃんと練習してきた有志演奏の時間でした。

 せいこちゃんのキーボード、私のギター、そしてさりーちゃんのメインボーカルスで、エルビス·プレスリーの名曲である「Can’t Help Falling in Love with You」、(好きにならずにいられない)を披露させてもらいました。

 この歌を演奏するまでの道のりなのですが、実は色々大変だったりしたけれど、これまでにないくらい楽しかったです。

 

 

 本番でも言ったのですが、自分は半分冗談で妹にこの曲を歌おうと提案した時、妹も全く同じことを考えていたと言って、びっくりしました。

 自分も妹の歌声を聴くのが二週間前練習を始めた時が初めてで、「さりー、歌えるんだ!」と新たな発見に驚きました。

 自分はアコースティックギターがまだまだ上手く弾けなくて、最初不安でいっぱいだったし、だいぶ苦戦していました。練習半分ヤケクソになって、妹とも少しぶつかったり、怒ったり、泣いたり、慰めあったりすることが夜の習慣練習に何回かありました。でも二人で、時間さえあれば毎日ホワイトルームで練習し、色んな壁を乗り換えてきて本番を迎えました。せいこちゃんを誘ってキーボードが入ると、急に本当に感動的な歌に成り上がっていて、自分たちでもびっくりしました。

 きっと、さりーちゃんにとって、人前にたって歌うことは大きな勇気が必要だったと思います。

 今まで人の目線、批判、優しくない現実から逃げ続けてきた妹なのですが、あゆちゃんとりゅうさんのためならと思い、力が湧いたのだと思います。自分は妹が殻を破って、絶対にやりたい、という思いを感じて、どんなにギターが下手でも一緒に演奏しようと思いました。

 こうして姉妹二人で力を合わせて表現することは初めてでした。

 なのはなに来る前は絶対、絶対に考えれないことでした。なのはなでは仲良く見えるかもしれないが、実は来る前の五〜六年間、喧嘩以外ほとんどお互い口を聞くことがありませんでした。

 なのに、ようやく仲良くなって、あゆちゃんとりゅうさん、大切な新しい家族のために勇気を振り絞って、演奏させてもらうことに奇跡を感じました。

 あゆちゃんとりゅうさんに少しでも喜んでもらえたら嬉しいなと思います。

 

 

 日はくれ、外が暗くなると、なのはなの結婚式も洋式から一気に和風へと変わります。第三部は八月にあった、あの盆踊り大会、結婚式編となりました。正装から色とりどりの浴衣へと着替えたみんなはチームに分かれ、前回の大会からブラッシュアップした演奏を披露してくれました。どのチームもあゆちゃんとりゅうさんが大好きな思いが強く伝わり、面白い、印象に残る演奏ばかりでした。

 

 

 自分のチーム「人形の四つ拍子」も振りをつけ加え、進化させたバージョンを思いっきり楽しんで踊ることができました。キーボードと太鼓のソロパート時、せいこちゃんやさきちゃんの方を振り向くと、二人は本当に楽しそうに演奏していて、自分も思わず笑ってしまいました。二人はキラキラ輝いていた、一緒に演奏させてもらうことが光栄でした。

「勇気を出して、踊りなさい」あゆちゃんは私たちを目の前から見て、言ってくれました。優しいあゆちゃんの言葉をもう一度聞けて、ものすごく嬉しくて、暖かくて、幸せでした。

 

結婚式に向けて、浴衣の着付け練習 や衣装考案もしてきました

 

 一日通してずっと、ずっと楽しかったです。

 私も病状が出ていた時は、全く結婚や子供に興味を持つことができませんでした。一人でお金を稼いで、自分の幸せを自分で掴みたい、という利己的な目標ばかり抱いていました。自分の病状がどうしようもないくらい激しく、妹が家に帰ってこない日々が続いていた頃、母親に、「子供は絶対ほしくない」と話したら、「そうだね、あまりオススメはできない」と言っていました。

 世の中はどこまでも絶望しかないと心の奥底から信じてしまいました。

 しかし、昨日、全くそんなことないと、たくさんたくさん希望をもらいました。

 結婚しないと幸せにはなれない、とは思っていません。しかし、なのはなに来て、幸せとは、人と人との間にあると教えてもらい、あゆちゃんとりゅうさんの結婚式に参加させてもらって、自分の中の結婚という概念が大きく変わりました。

 

 

 自分を深め、一緒にずっとこの細い一本道を共同体として歩めるパートナーにいつか巡り会えたらいいなと思います。家族も築きあげ、子供を優しくなるように育てたいと思うようになりました。

 絶対に子供に絶望を感じさせたくありません。

 まだまだ遠い先のことだと思うのですが、実現したらいいなと思います。

 長々としてしまったのですが、みんなと夢のような時間を過ごさせてもらって、本当に、本当に、ありがたいです。