【山小屋便り9月号】「大玉の樹熟し白桃が収穫できました ―― あんなちゃんとの桃の収穫 ―― 」 はるか

 7月の下旬、心待ちにしていた夏休みとともに、あんなちゃんと桃の収穫に出ました。

 初めての収穫は、『紅清水』と『白凰』という品種の桃でした。

 朝、玄関下で「お願いします」と、挨拶をして、コンテナを積んだ軽トラで畑へ向かいます。

 軽トラのなかであんあちゃんが、収穫された桃にかけていた袋をとって、コンテナの中で桃同士が当たらないように置いていくこと、陽に当たらないようにコンテナは日陰に置くことなどを教えてくれました。

 畑につくと、コンテナをもって木にかかっているネットをくぐりました。とても緊張していました。

 桃の木の下で、桃を前にして、あんなちゃんのまわりの空気がぐっと変わりました。私も気を引き締めて、大切に、大切に、桃を受け取りコンテナに置いていきます。

 ぐるりと1周、1つひとつ桃を袋の隙間からのぞき、熟した桃だけを収穫していました。

 次々に実を採っていくときには、手元に徹します。そして、少しだけ余裕ができたときには、あんなちゃんののぞく桃をそっと一緒にのぞきます。

 熟している実と、まだ木に生らせておく実の違いはどこにあるのだろうか、と見てみます。難しいです。

 受け取る桃は、同じ品種でも表情が違います。袋から出して桃が見えた時、どれも美しく上品にすましていて、すこし甘い香りを漂わせながらこちらを向いている、そんな感じです。 思わず顔がほころぶくらい、桃に出会えることが嬉しく、いとおしく思います。

■コンテナいっぱいの桃

 初めて収穫をさせてもらった日から数日は『紅清水』と『白凰』のピークで、コンテナが足りなくなってしまうほどたくさん収穫できました。

 受け取った桃が、本当にあっという間に、息のつく間もないくらいに、コンテナをいっぱいにしていきました。

 収穫をしている最中、気が付くと1本1本の枝を見ていることが多いです。

「次の木にいきます」

 あんなちゃんの声で、ふっと木の全体を見渡すとたくさんついていた桃が数えるほどになっていました。

 葉のしげる濃い緑と、桃を包むオレンジ色の袋がいろどっていた景色が、ほんの20分ほどでほとんど葉の緑だけになっているのです。

 収穫が終わった木を見て、少しだけさみしい気持ちと、ありがとう、お疲れさま、という言葉が心のなかで湧いてきます。

 そして、時期が進むにつれて次の品種へと移っていき、桃をたくさんつけた木を前に桃との出会いが楽しみになります。

 1年を通して、桃の作業をさせてもらったことはありましたが、収穫に行かせてもらったのはこの夏が初めてです。

 今は、『清水白桃』や『なつおとめ』などが全収穫を迎え、晩生の収穫がメインです。

 少しクリーム色がかった上品な『清水白桃』、ほんのり赤い肌の『なつおとめ』、大玉で立派な『おかやま夢白桃』。

 あんなちゃんとの桃作業、収穫をさせてもらうごとに、桃を好きな気持ち、大切にしたいと思う気持ち、宝物が増えていくような気がします。

 まだ収穫が続きます。夏が終わっても、桃の手入れも続いていきます。

 なのはなの桃をみんなの桃にしてくれるあんなちゃんにどこまでも気持ちを添わせて、真摯な気持ちで取り組んでいきたいです。