【山小屋便り9月号】「黄色いスイカ『シュガームーン』物語 ―― スイカが収穫できるまで&スイーツ大作戦 ――」 ゆい

 

「目隠しし 竹振り下ろして 現るは 月より明るい 黄色かな」

 なのはなのスイカといえば、鮮やかな黄色が特徴の、喉の渇きを潤してくれる水分たっぷり、甘みの濃い品種『シュガームーン』です。

 なのはなの畑の土質によくあって、この夏も大成功でした。

 スイカは、スモモとブドウの畑の間にある、池上三角畑で育てました。スモモとブドウの間にあるというだけで、なんとなくフルーティにできそうな感じがしたものです。

 6月7月の長雨にも耐えて、80玉の実を採ることができたのは、傾斜のあるこの畑の水はけの良さに助けられたからだと思います。

 

 

 苗がまだ小さかったころから、実がつく前までは、アブラムシやアリの襲来と戦う毎日でした。

 なんとかしたいと思っていたとき、お父さんが、「薬剤などに頼らず、頭を使って作戦勝ちしてほしいですね」と言ったので、アリを場外誘導することにしました。

 やることは簡単で、「スイカにいるアブラムシよりも、畝の外にある砂糖の方が美味しいから、アリのみなさんはこちらにどうぞ」と、アリを誘う小部屋を、ヨーグルトパックで設置したのです。

 ポイントは、間口を広く、身体の小さなアリが、難なく入れるように、入り口を地面と同じ高さにしてやること。

 これは効きました。アリはアブラムシよりも砂糖の方へどんどん流れ、翌日にはアリに妨害されていたテントウムシが、アブラムシを食べにやってきたのです。目に見えて、アブラムシの被害が減っていったのは嬉しかったです。

■予想以上の効果

 そして6月下旬。雌花がつき、人工授粉を始めました。

 シュガームーンの収穫の目安は、積算温度900度、受粉から40日です。

 人工授粉したものには、札をつけ、40日後に備えることにしました。スイカの雌花をみると、なんと、花の下には小指の爪ほどのスイカのもとがついているではないですか。可愛い、なんとも可愛いのです。

 一雨ごとに大きくなり、ソフトボール大を超えると、1日で、見違うほどに大きくなっていきました。そうなってくると、次なる敵は、カラスです。

 

 

 畝にはテグスを張り巡らせ、実には白い布を掛けて対策をしました。

 ところが、ある日のこと、カラスはテグスの合間を縫うように畝間に降り立ち、スイカにかけた布さえ引きはがして実をつついたのです。大ショックでした。

 しかもカラスは、食べるなら1つを徹底して食べれば良いのに、そうはしないで、ちょこちょことつついて、次の実に移ります。

 こちらの事情は全く理解しないカラスから、スイカを守るために考えたのが、カラスの模型を吊して脅かすことでした。

 夜9時。作業棟で出来上がったカラスを室外に持ち出してみると、薄暗いなかで棒につり下げられたカラスは、自分でも驚くくらいリアルでした。

「ちょっと見て、これどうかな」と、見せてみると、みんな必ず一歩、後ずさりました。

 翌朝、カラス除けカラスを畑に仕掛けると、上空を飛んでいた3羽のカラスが、突然、「カァァァア、カァァァア」と泣き喚き、旋回し、西の方へと去っていきました。

 予想以上の効果に驚き、効果が期待できると楽しみになりました。カラスも、捕らえられて逆さ吊りは避けたいと思ったはずです。

 それからは、カラスの被害は一切無く、収穫まで実を守ることができました。

 しかし、なかなか安心することはできません。次なる敵はお天気で、7月末まで続く長雨に悩みました。

 カラス除けに全力投球している間に、ウリハムシに食害された小さな痕から、病気が広がってきました。

 7月下旬、収穫が始まり、実が完熟するのが先か、株が病気によって駄目になるのが先か、と気を揉みました。

 7月末から8月中旬にかけて、約70玉を良い状態で収穫することができました。

 そして、株が弱ったために、やむを得ず収穫した未熟スイカが10数玉。収量としては大成功です。チームで手をかけてきた甲斐がありました。

 そして良い状態で収穫した実は、この夏の新しい試みとして散布したアミノ酸の効果で、甘みがぐっと深く、美味しくなっていました。

 念願だったスイカ割りでも楽しんで、みんなでたくさん頂きました。

■スイカの加工に挑戦!

 しかしまだ、スイカの物語は続きます。本当は完熟するはずだった未熟スイカへの未練が断ち切れなかったのです。

 そこで、未熟スイカをどうしたら食べることができるか、調べてみて、皮はぬか漬けにし、実の方はシャーベットにすることにしました。

 どうしてもこれを作って、みんなに食べてもらいたいと思い、お父さんに、「作らせてください」と頼み込んだのでした。

 お父さんは、ちょっと困ったように笑いながら、「みんなの分を作れるのか? おいしいのか?」と言いました。

 私は「全員分あります。おいしく作りますから、是非作らせてください! 」とお願いし、何人かの子と一緒に加工をしました。

 

■十分に味わえた

 ぬか漬けは、フルーティなキュウリのような感じかしらと、想像しながら、ネット上で実が少しついていたほうが美味しいとの情報を得て、うっすら黄色い実を残しました。

 シャーベットは、種をとるのが大変でしたが、おいしいシャーベットにするために、みんな黙々と種を取りました。

 ヨーグルトと砂糖を加え、ミキサーをかけて、あとは冷凍庫にお祈りをして寝かせました。

 できあがったぬか漬けと、シャーベット。どちらも美味しかったです。

 ぬか漬けは、実がついていないほうがよかったかなと思いましたが、皮には、アミノ酸のシトルリンが、実の2倍も含まれているそうで、それだけでも嬉しかったです。

 シャーベットにはアップルミントを添えて、みんなでおやつに頂きました。冷たくて、しゃりしゃりして、甘酸っぱくて、最高に美味しく感じました。

 みんなが「すごく、おいしい!」と喜んでくれていて、本当に嬉しかったです。また食べたいくらいです。

 こうして、完熟スイカも、未熟スイカも、余すことなく楽しみ、この夏のスイカ物語は幕を閉じました。

 ですが、忘れてはいけないのは、この夏のスイカ栽培のまとめです。わかり易くまとめて、次回にいかせる資料をつくるのも、楽しみです。