8月29日
○お父さん、お母さん、みんなへ
お父さん、お母さん、家族のみんなへ。
これまで、本当に本当にありがとうございました。
明日、とうとうなのはなを出発する日がやって来ました。正直、実感として湧かないのが本音だけど、止まってほしかった時間はあっという間に過ぎ去ってしまったと感じます。
今日は久しぶりにアセスメント演奏がありました。ふと、なのはなの来た日の自分を重ねてしまいました。
3月の初旬。自分の力では症状をどうすることもできなくなって、なのはなが最終手段だと思って、やって来ました。
あゆみちゃんに続いて、なのはなの扉を叩くと、お父さんとあゆちゃんが迎えてくれました。そのままに体育館に入るとアセスメント演奏のために、色とりどりの衣装を身にまとった、みんなが迎え入れてくれました。
お父さんが、「今日は暖かいので、衣装も着やすかったです」と笑いました。
笑顔で嬉しそうに踊り、歌う、みんなの姿をみて、こんなにも心から楽しそうに笑う人がいるのかと思いました。わたしもいつか、こんなふうになれるのだろうかと思いました。当時のわたしには、1年先、1日先の自分の未来を思い描くことすらできない状況でした。
わたしは、なのはなに入ると決めました。お父さんとお母さんが受け入れてくださいました。
あれから月日が経ちました。
なのはなにいると決めて、なのはなで摂食障害から立ち直ると決めたこと。
そこに辿り着くまでにわたしは時間がかかってしまったけれど、お父さんとお母さんはずっと待っていてくださいました。
「帰りたい」「食べたくない」と迷惑ばかりかけても、お父さんとお母さんは決してわたしを見放したりしませんでした。
お父さんとお母さんは、わたしがなのはなで治ると信じて続けてくださいました。
初めてのフルマラソン大会に向かう過程。あのときのことは今でも忘れません。
あのとき、お父さんが掛けてくださった言葉があります。
「るりこ、明日から走って良いよ」
お父さんはわたしと交わした約束をずっと覚えていてくださって、そのままに果たしてくださいました。
わたしはあのとき、何かが変わったと感じます。
お父さんを信じてみよう、お父さんとお母さんに全てを委ねてみようと思えました。
初めて、人を信じる気持ちが生まれました。
そして、お父さんとお母さんに全てを委ねたら、心も身体も楽になっていきました。
なのはなでお父さん、お母さん、みんなに出会って、家族の1人として迎え入れていただいたこと。
そしてこの先もそれは変わらずに、ずっとなのはなとみんなと繋がっていられること。わたしはそのことが1番、1番嬉しいです。
今は正直、心細さや不安が大きいです。本当にやっていけるだろうか。わたしはまだまだだ、と思ってしまいます。
でも、なのはながあるから、みんながいるから、わたしも1歩踏み出してみよう、頑張ってみようと思う気持ちになれます。
明日から新しい生活が始まりますが、どこに行っても、なのはなの気持ちをもって、なのはなの子としてあるべき行動をしてきます。
判断に迷ったとき、壁にぶつかったときは、お父さんとお母さん、あゆちゃんだったらどうするだろうか、なのはなで教えてもらう優しさだったらどう行動するだろうかを真っ先に考えて、目の前の人に1番優しい答えを選択していきます。
みんながコンサートに向かっているように、わたしも目標をもって、日々修行する気持ちでいます。なりたい自分を演じて、成長できるように気持ちと身体をつくってきます。
お父さんとお母さん、なのはなのみんなに救ってもらった命と身体を、これからは誰かのために使います。
言葉にできない感謝の気持ちを、今度はわたしがまだ見ぬ誰かに還元します。
なのはなの子として自立していけること、この先もずっと生きていけることが幸せです。
これからは自分の手で優しい気持ちを広げられるよう、血縁関係のない人たちのなかで、助け・助けられる関係を築く努力をしてきます。
お父さんとお母さんに伝えたい気持ち、言葉にできない気持ちがもっともっとあります。
でもここで一区切りにします。
お父さん、お母さん、家族のみんな。
本当に本当にありがとうございました。
みんなのことが大好きです。
勇気を出して、行ってきます。
おやすみなさい。