「本当に、本当に怖かった」 はるか

8月23日

〇肝試し

 昨晩の肝試し大会は、本当に、本当に怖かったです。来年もやりたいか、と聞かれたら躊躇してしまうくらいで、やるとしたらお化け役でお願いします、と言いたいところです。
 ■

 私はやすよちゃんとペアでコースを回ることになっていて、順番は最後から3番目です。お父さんとお母さんのお話をほとんど最後まで聞けたという点ではラッキーだったのか、恐怖がピークに達するまでには十分すぎるくらいの時間と材料があったという点でアンラッキーだったのか、いざ出発となったときの心臓の鼓動は忘れられません。
 
 はじめの赤い人が横たわっているところまで行く坂は、何が出てくるのかわからないし、どんなふうに脅かされるのか想像もつかなくて、とても長い道のりでした。赤い人がいることには5メートルくらい手前で気づいていました。絶対なにかある、という気持ちと、よく見たら人形じゃないか、という気持ちで、横を通ろうとした瞬間に動いたので、後のことをちゃんと覚えていないくらいびっくりしました。びっくりしてしりもちをついて、手をすりむきました。意外にやすよちゃんは冷静でどんどん前に進んでいきますが、心の中はもう引き返したい気持ちでいっぱいでした。
 
 なにもないのに段差に驚いて転んだり、つるしてあるビニール袋とか靴下とか、本当に怖かったです。あれは雑巾だったのか、とみんなの話を聞いて気づいたのですが、頭上を濡れた鳥がかすって飛んでいったの雑巾でした。
 トイレには3メートルより近づけなかったです。ペアのやすよちゃんが「失礼しまーす」と大きな声でドアを開けるのを、後ろで座って手を合わせながら見ていました。勇敢にも無事に札をとったやすよちゃんが無事でよかったです。絶対なにかあると思ったのに簡単にお札をとらせてくれて気を抜いたところに誰かが後ろから出てくるので、やめてほしいです。

 私たちのペアは、やすよちゃんがずんずんと進んでいき、その後ろを私が付いていくという感じでした。藁人形をとるところでは、やすよちゃんがやすやすと藁人形を手にしていて、気が付いたときには青い人のようなのが起き上がって、白い仮面の人がこっちを見ていて、わけがわからずパニックになっていました。ただの木の根っこに引っかかって転び、白い仮面の人を凝視したまましばらく経てないくらいびっくりしました。

 一番怖かったのが耳なし芳一です。半分くらいの人は長靴を脱いで上がったと聞きましたが、私たちはどうするか迷い、長靴を脱いでいたら逃げるときに困る! という理由ではいたまま上がりました。入ったときはブルーシートがあって大丈夫だ、と思ったのですが、たぶんそのあとはブルーシートのないところも逃げ回ってきたのだろう、と思います。耳をつけているのが絶対に人間なので、とったらただでは済まない、とわかっていました。もう近づきたくなくて、ここまで来たことを後悔していました。やすよちゃんが耳に手を伸ばした瞬間、私は逃げてしまいました。それなのに出口のほうからほかにもオレンジの人が来るので部屋から出られなくなって部屋の中を行ったり来たりして、最後は耳を手にしたやすよちゃんと一緒に走り去りました。芳一の館には3人控えていたという話を聞いて、必死すぎて2人しか気づいていない! と思いました。耳をとろうとしたら、取り損ねて、でもほかのお化けも出てきて困っていたら、芳一が耳をとって差し出してくれた、とやすよちゃんが教えてくれて、あれは絶対にけいたろうさんだった、と思いました。
 
 そのあたりから、進んだほうがゴールが近いと分かっているけれど、なにがあるかわからない先を進むより、なにが起こるかわかっている来た道を通って帰りたい、それしかなかったです。

 白と赤の人形が動くところは走りました。走って横を向いたら本物のお化け。最悪だ、と思った瞬間に近づいてきて、やすよちゃんは先に行ってしまって、後ずさりしてしりもちをついて、身の危険を本気で感じました。お願いします。お願いだからなかったことにしてください、そう心の中で唱えながら見上げていたら、すっと戻っていきました。やすよちゃんが迎えに来てくれて、進んでいくと、反対側から誰かが近づいてきました。出発するときにあゆちゃんがつけてくれた光るわっかをつけた人が近づいてくる、最後のほうは何も考えられなくてとにかくすべてが怖くて、「何か来る何か来る何か来る」と言っているうちに、近づいてきたのはカメラのかにちゃんで、腰が抜けそうでした。  
 
 砂嵐のテレビの後ろにいるのは明らかに貞子で、でも横を通ったのになんの反応もなくて、チェーンソーを持ったジェイソンを目の前にして、お墓を通り過ぎたことに気が付きました。貞子の前を通って戻るなんてやめてくれ、そう思いながらお墓を探し、最後のお札を手に入れました。

 なるほど、お墓に行かなかったから貞子は出てこられなかったのか、と思った瞬間にテレビの後ろから、人とは思えない声を発しながら女の人が這ってくる、驚きのあまり声もでなくて、横目に見ながらやすよちゃんと足早に通り過ぎました。

 最後のジェイソンは、一回目見た場所からいなくなっていました。いなくて良かったと思って通ろうとしたら、反対側に立ってこちらを見ていました。山小屋に帰るにはここを通らないといけない、けれど通った瞬間襲い掛かってくるだろう、と思ったから、悲鳴を上げながら走り抜けました。ここまで先頭をあるいて助けてくれたやすよちゃんをジェイソンのもとに置き去りにして、後ろを振り返るとこちらにむかってくるやすよちゃんと、私たちのほうを向いて動かないジェイソンがいました。なにもせずに、なにを考えているのか得体のしれないジェイソンが本当に気味が悪かったです。
 生きて帰ってこれて良かった、山小屋の階段の明かりと、夕食で使った食器を洗っているあんなちゃんとりなちゃんの姿が何よりもうれしかったです。

 おじいちゃんが作ってくださった竹の器やお箸でそうめんをいただけたこと、暑い中みんなのために肝試しの準備をしてくれた実行委員さんのおかげで楽しむことができました。本当にありがとうございます。

 


 もう夏休みが終わってしまいます。あっという間でした。一日中なのはなで活動して、学校が始まったらその時間が減ってしまうのだと思うとさみしいです。夏休み前はどんな風に学校に行って、なのはなに帰ってきたのだろうか、と考えてしまうくらい、想像できなくて不思議です。やっぱり、なのはなで過ごすみんなとの時間がなによりも楽しくて、気が付かないうちに精神的に支えてもらっていて、なのはながあるから自分があるのだな、と実感しました。

 学校行ったとき、「夏休みどこいったの?」と聞かれたら、答えられないくらいたくさんのことがあって、大切な人に囲まれて、いつも何かしら走り回って、こんな学生はほかにいないと思います。提出予定の課題がまだできていないのは、なんとか頑張りたいです。
 しかし、明けに9科目終講試験があったことはほぼ忘れていました。先生が夏休み前に、学校に行きたいと思える夏休みの過ごし方をしてください、と言っていた意味が分かる気がします。好きなことだけして、できませんでした、と失敗するのは嫌です。今度は勉強も、できるところまでやり尽くしたいです。患者さんの前で、分かりません、ではどうしようもないし、試験でできなくて悔しい理由はそれなので、一生懸命頑張ります。