「物音と、気配」 やすよ

8月7日

 鳥がいるのだと思いました。
 木の葉が、カサカサと動きました。

 私は、畑の入り口にあるタンクの前に軽トラを停め、入り口に立ちました。少し、静かになりました。
 ガサガサっ!と音がしました。
 明らかに、鳥以上の物音と、気配がしました。

 畑に行けば、やよいちゃんがいるか、またはやよいちゃんが来ると思いました。私は、やよいちゃんと一緒にと思っていました。(本当は、なつみちゃんとも見たかった)
 しかし、私は1人です。

 そーっと、という感じで、そのまま北側に進みました。
 物音がするのは、西側の繁みです。遠目からでもそこに罠があるのが分かりました。
 1人では心細く、そちら側に向かっていくことははばかられました。
 なのでそのまま夕子東側から見るかたちで、私は恐る恐る進みました。
 
 ザッ! ザッ! と音がします。
 いた。
 茶色い物体が、本当にいた。いる、いるーーーーー !
 奴は、私の気配を感じ取っている。それは確実に分かる。この畑には私たち2人というのか、とにかく私たちしかいない。距離にして30メートル? ほどはあるかと思われるのに、相手の気配がすぐそこにあるのが分かって、私と、奴しかいなくて、その距離があっても、奴は私のことを感じ取って逃げようとしていました。

 なんだか、1人だけで見るのさえもはばかられて、すぐさま軽トラを走らせて古吉野に帰ったのでした。
 いつ見に行ったのか、すれ違ったのか、やよいちゃんを発見するなり、「見た!」とのこと。ならば良かった、しかし、このやよいちゃんの行動力といったらなんなのだろうか、本当に感服する。日々。

 早朝作業から帰ると、廊下にお父さんの姿が。
「やりましたね!」との意味で笑顔を向けた瞬間、「逃げられた!」とお父さん。私は「えーーーーっ!」とびっくりしました。
 だって、ちゃんといたのに、かかっていたのに!
 興奮したイノシシの力というのは、ドリルで穴あけした竹でさえも引っこ抜いてしまうのでした。
 それが「自分の甘さ」だとおっしゃった、お父さんの謙虚さを私はしかと真似ねばならないと思いましたが、神さまが、お父さんに楽しみをとっておいているのだろうなと理解しました。ベストタイミングでとれることでしょう。

 イノシシの気持ちになって、獣道を予想して、有言実行で本当にイノシシをとるお父さんがすごいと思いました。本当に、本当にすごいと思いました。

 それにしても、こんなに近くにイノシシがいるとは、改めて、新発見、というような心地です。