「真犯人」 りんね

7月26日

*コロフェス

 昨夜は、お仕事組さんが主催してくださり、みんなで新じゃがのコロッケを食べて、お父さん、お母さんのライブを聴く、“コロフェス”があった。
 昨日の朝食の席で、あゆちゃんから初めてイベントがある知らせを受けた。本当に大きなサプライズであった。

 それに、今回はドレスコードも決まっていた。テーマは、黄色と緑。なのはなの色だった。
 みんな、少し着飾って会場へ向かう。
 自分の服装を悩むのはちょっと大変であるが、みんなの姿を見られるのはとても嬉しい。いつもと少し違うみんなの姿が新鮮であった。

 最後だけ、配膳に加わらせてもらうと、プレート上には、思いがけずハートの形をした愛らしいコロッケが、ころんと2つずつ載っていた。
 体育館へプレートを運ぶのは、思えば5月6日に開催された、NICK FES以来であった。そのときは焼き肉のたれを配ったが、今回は、みんなにプレートを配らせてもらった。

 となりにいた、なるちゃんが、濃いグリーンのすらっとしたシャツを着て、頭に鮮やかなレモン色のお花をちょこんとつけていて、ものすごく素敵だった。
 なるちゃんや、まよちゃんや、どれみちゃんのような笑顔を想って、みんなにプレートを受け渡す。嬉し気な笑顔を返してもらうと、本当に嬉しかった。

 今回、お母さんが着られていたワンピースが、はっとするほどものすごく美しくて、お母さんのためのワンピースというようであった。
 黒地に、鮮やかな原色の草花が縦に並んで、上品で華やかであった。耳元には大きな緑の耳飾りをされていて、本当に素敵で見とれてしまった。
 お父さんも渋いグリーンの素敵なTシャツを着ていた。
 ドレスコードがあると、お父さんお母さんもやはりいつもと違っていて、とても心が浮き立った。

 

 コロッケは、本当においしかった。夏野菜の冷静スープから、トマトマリネにポテトサラダ、メインのアンデスのコロッケ。ゆいちゃんたちが採ってきてくれたシュガームーン。
 この夜のために、お仕事組さんやりゅうさんたちが、考えて、70人へ届けてくれた素晴らしい食事であった。

 私はゆりちゃんの近くに座っていて、食べ終わると、ゆりちゃんを眺めていた。のぞみちゃんとゆりちゃんも、黄色のレイをつけて一緒にいてくれて、本当に嬉しかった。
 ゆりちゃんは、まだ離乳食が始まっていないそうだった。
 そうか、まだ、おっぱいしか飲んだことがないのか。まだまだ、コロッケも、ご飯も、知らないんだな。
 会が始まる前は、いつもはお家にいる時間だったから寂しいようだったが、みんながご飯を食べるころには安心して満足げであった。
 本当にかわいかった。

 

 ご飯が食べ終わると、いったんテーブルをよけて、みんなで前へ寄って、お父さんお母さんのライブが始まった。
 ずっと楽しみにしていた瞬間。お父さんの力強い大好きな歌と、ギター、お母さんの美しい優しい歌声が体育館に響いた。
 お父さんお母さんの演奏を聴いていると、後ろから頭がぐっと押される感覚があった。はじめは驚いたが、すぐに正体がわかった。ピーちゃんが私の頭にとまって、お父さんお母さんの演奏を聴いていたのだ。
 感心したことには、ピーちゃんがやがて、お父さんお母さんに負けじと歌い始めたことだった。
「ピーちゃんは音楽が好きですね」お父さんの言葉を聞いて、そうなのか、と驚くとともに、音楽が好きなひよどりのピーちゃんと、広い体育館で一緒にライブを聴けることが、すごく恵まれた、素晴らしいことに感じた。

 

 歌の合間には、なのはな子供相談室があった。
 中には大人からの質問があったが、子育てをするときの質問では、“みんなの中で赤ちゃんは育てる”というお父さんお母さんの答えに、嬉しさでいっぱいになった。
 赤ちゃんであっても、いつもいつも、「“お互い様”なんだよ」とお母さんが教えてくださる。
 私たちは赤ちゃんに素晴らしいものをたくさんもらう。みんなで赤ちゃんを抱っこして、赤ちゃんが泣いても笑っても、みんなの中であれば、嬉しいのである。

「ピーちゃんも、鳥が好きな人も、嫌いな人も、きっといる中で、みんなの中では、嬉しそうに生活しているでしょ」そう、お母さんが教えてくださった。その通りだった。
 ピーちゃんはごく自然体である。好きな時に外へ遊びに出かけて、体育館から素敵な音楽が聞こえれば、みんなの頭の上へ帰ってくる。こんな鳥ならば、見ていて安心する。
 ピーちゃんにとっても、私たちにとっても、なのはなでなら、お互い様の関係が自然と出来上がるようであった。
 実は私は、ピーちゃんにフンをされてしまったのだが、えつこちゃんが拭ってくれて、されたとも気づかないくらいだった。

 そうやって、みんなでいることの大切さを改めて感じさせてもらった。

 

 本当に、夢のように嬉しい夜であった。しかし楽しい時間はあっという間に過ぎていってしまう。
 もう、日曜日が終わって、4連休が終わってしまった。
 この4連休、りゅうさんやお仕事組さんと作業したり、すれ違ったりするなかで、暖かい笑顔や言葉かけに、本当に大きく癒されていた。
 お仕事組さんたちの力は甚大である。この一週間、お仕事組さんたちが働きに行ってしまうのは寂しいが、休暇に貯められた力で、お仕事組さんたちのように、笑顔で過ごしたい。

 

*クワカミキリ

 今朝、イチジクの見回りで、出会ってしまった。真犯人に。
 駐車場の成木、手前から2本目の木に、奴はいた。
 体長10センチはあろう、まるまると太った、巨大なカミキリムシであった。ぎょっとするほど、大きかった。
 今まで私が潰してきた、可憐なルリボシカミキリちゃんに比べれば、相当ショッキングな外見をしていた。(調べると、ルリボシカミキリは木は食害しないようで、私の濡れ衣であった。)
 そう、まさに今、2年もイチジクの木を食べて、羽化したばかりだったのだろう。枝にはさっそく卵を産み付けていた。
 しかし、私は、この宿敵を、しばらく見つめあった末、どうしても勇気が出なくて、触れられなかった。
 噛みつかれるんじゃないか、こちらへ飛んでくるんじゃないか。何しろ、ゴキブリより大きいのだ。
 初めて見る者への恐怖に負けてしまった。

 あやかちゃんに相談すると、あやかちゃんはすでに2匹のクワカミキリを捕殺した経験があるようで、「動きは鈍いから。怖くないよ」と教えてくれた。
 それで、雨が止んだら、再度現地へ赴いていった。勇気を出してカミキリに手を伸ばす。
「悪いけど殺させてもらいます」と念じながら。
 しかし、手を伸ばすと、カミキリが緩慢に呼吸をして、胴や羽が動くので、怖くて、結局、敗退してしまった。

 今日はそうして、朝から宿敵に大敗北をしてしまって、悲しくて、どん底のような気持であった。
 申し訳ないが、一回あやかちゃんがカミキリを捕まえるのを見せてもらって、慣れてゆく必要がありそうだった。きっと捕まえられるようになる。絶対に克服する。
 イチジクの木を折ってしまう真犯人の形相を知ることができたのは、進歩だった。