【山小屋便り5月号】「心ときめく、二十日大根の収穫」 まち

 二十日大根とは。手のひらに収まるサイズの、小さな大根です。名前の由来は、播種もしくは萌芽から収穫まで早くて20日程度であることから。別名はラディッシュです。原産はヨーロッパで、日本には明治時代に伝播したらしい。

 思いの外、歴史が古い野菜なのだと思いました。ラディッシュは、おしゃれなサラダなどに入っているものを想像してしまいます。考えただけでも、愛らしい気持ちにさせてくれる。

■ルビーのよう

 なのはなでは、2種類、育てました。赤くて丸い「レッドチャイム」と、白くて長い「雪小町」という品種です。名前もとても愛らしい。第1弾と第2弾に分けて種をまいていて、第1弾は3月1日に種まきしました。第2弾は2週間後の3月13日。土寄せや追肥、間引きなどの手入れを経て、いざ、収穫のときを迎えました。

 収穫基準は、レッドチャイムが、直径2〜3センチ、雪小町が太さ1・5センチ、長さ7〜8センチです。畝のネットをそっと外してみると、二十日大根の葉が丸くて青々とし、元気よく茂らせています。

 上からのぞいてみて、レッドチャイムがほんの少し赤い頭を出している。こんにちは、私、穫りごろですよ。そうささやきかけているように感じます。少し土を払ってみて、玉全体の大きさが収穫基準に到達していそうなら、葉の根元をそっと掴んで、上に引き抜きます。

 丸くてきれいな、まるでルビーのようなレッドチャイムが姿を現しました。小さくて、本当に可愛らしい。ころころと手のひらで転がります。株に付いた土を丁寧に払ってみると、玉がさらにきらきら光り、天然の赤色の美しさを体中から発散させています。うわあ〜、可愛い! 収穫部隊全員が声を上げました。

 雪小町も、土から2〜3センチ頭が出ていて、太さも十分ありそうなら、葉の根元をそっと掴んで、引き抜きます。白くてすっとした二十日大根が姿を現します。

 白くって本当にきれい。透明感のある白。光との相性が抜群。大根だけど美脚。小さいけれど、りっぱにひげをはやしていて、一人前の大根であることをアピールしているかのようです。品種名さながら、その姿はまるで大根界の白雪姫、親指姫。レッドチャイムと異なって、引き抜かないと、その長さは分からないので、姿をすべて現すまでのお楽しみがあります。予想外に長くて立派なものだと喜びもひとしお。可愛いし嬉しいなあ。崖崩れ真ん中ハウス全体が、収穫の喜びに包まれました。

 収穫したレッドチャイムと雪小町がたくさん入った収穫かごを抱えて、うきうきした気持ちで古吉野に戻り、農産倉庫に持って行くと、台所にいたなるちゃんが、「うわあ〜、綺麗だね!」と言って笑顔を向けてくれました。嫁入り担当のしほちゃんも嬉しそうに嫁入りの準備をしてくれます。たくさん穫れたし、綺麗だし、今日は全部、嫁入りするのかな、と思っていたら、なんと、その日の昼食の中鉢に1人ひとつ、そのままの姿のレッドチャイムと雪小町の姿が! 

■丸かじり!

 憧れの二十日大根の丸かじりをみんなでしました。爽やかな食感とみずみずしさが、口いっぱいに広がります。昼食のコメントで、みんなが二十日大根が食事に出た喜びを話してくれました。収穫した私たちは嬉しさもいっぱい。みんなで真心込めて育てた野菜を、みんなで喜んで頂けることが、1番幸せなひとときです。嫁入りされた二十日大根たちも、手に取ってくれた人たちの笑顔を誘っているかな。お客さんは喜んでくれているだろうな。まだ見ぬ誰かの笑顔を想像することも、私たちの喜びの1つだと思いました。

 まだ収穫は続いていて、収穫するたびに、株の成長を感じることができています。小さくても、どんどん立派になる姿に頼もしさを覚えます。手に取ってくれた人たちが笑顔になってくれる小さな野菜の宝石たち。二十日大根は、今も、なのはなの畑ですくすくと成長中です。