【山小屋便り5月号】「強くて元気な苗を目指して」 けいたろう

 吉畑手前ハウスは新たな生命が生まれる場所である。

 どんなに遠くの畑に植わる野菜であったとしても、原点はこのハウスから。

 そう考えるとこのハウスが神々しいものとして見えてくるようになってくるのだ。ハウスの扉を開けて左側、そこが舞台だ。

 種まきは苗チームの最初の関門と言えるだろう。

 種が小さなものはプラグトレイに播種する。ある程度成長したらポットに鉢上げすることもある。

 カボチャなどの種が大きいものは初めからポットに種をまくこともある。

 種まきで重要なのはいかにスピードと正確性をもってトレイに土を詰めて種を置いていくか、そして薄く覆土するかである。

ピーマンは五月初旬に定植予定です

 苗担当になって初めの頃はてっきりずぼっと人差し指とかで穴を開けて深く種を押し込むのだという勘違いをしていたもので、最近になってやっと正しい感覚を手で覚えた自分がいる。

 種まきを完了したら苗床へ、ゴーである。

 苗床では夜の寒さをしのぐため、芽が出るまでは四重ビニールで厳重に管理され、そこから二重や一重ビニールに移動させたりしているわけだ。

■適切な環境下で

 野菜それぞれの発芽適正温度があり、しほちゃんやまりのちゃんは長年の経験と知識でそれらをよく熟知している。

 農電ケーブルとビニールとでダブルのあったか効果により、厳しい寒さも乗り越えて芽をだすというわけである。

 毎朝、しほちゃん、まりのちゃん、ふみちゃん、私で苗床の温度を確認したり、種まきをしたトレイをみて発芽状況を見る。

 二重ハウスや古畑ハウスのサツマイモも温度確認をしたりビニール開閉や、水遣やりも行っている。

 これらは数時間おきに観測され、それらのデータはファイルに記録することになっている。

 どんな気温、室温で、またどんな環境下で発芽するのかを把握してデータ化するためであるとまりのちゃんは言った。それらが明確に分かればこれから種まきをする人たちにとっても有用な財産となるであろう。

黄色のスイカ『シュガー・ムーン』の苗

 播種後から芽を出すまでの数日間というのは緊張する。

 特に自分がまいたものは果たしてちゃんと発芽するのだろうか、私の所だけ出てなかったらどうしようという心配も出てくるのである。

 だからこそ小さな小さな芽が種の割れ目から顔を出しているのを見たときはこの上なく嬉しくなってしまうのだ。

 日々、ハウスの苗床をのぞくと、少しずつ少しずつ苗が育って双葉の状態から、本葉が二枚出始めて背丈も大きくなってゆく様子を観察することができる。

 双葉がちょこんと土から顔を出している時点ではどれがどれだか見分けがつきにくい作物が多い。

 だが、時間が経って本葉2枚ほどになると、面白いほどに個性的な彼らの姿を目撃することができる。赤ん坊からすこし大きくなって壁伝いに歩き始める子どもを見ているような気持ちである。

■種まきから定植まで

 それぞれが収穫時の姿を彷彿させるような形をしていて非常に興味深い。

 ナスはナスの、カボチャにはカボチャの、トウモロコシにはトウモロコシの特徴的に表れてくる葉の形がきれいで神秘的なのである。

トウモロコシも収穫時期をずらして種蒔きをします

 定植の日までできるだけ良いコンディションで送り出せるように、苗に液肥をやって栄養をつけさせたり毎日の水やりや、害虫チェックは欠かせないものになっている。

 外の世界は苗床に比べたら幾分か過酷な環境であることは間違いないだろう。

 その地に根付き、実をつけてたくましく育つかどうかの1つの重要なポイントは、いかに安定した苗時代を過ごしたかにあるのではないかと思う。

 これからも種まきから定植まで、をモットーに苗チームの1人として責任を果たしていきたい。

 

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蕎麦の種まきをしました!

保育園前反面で、第1弾、第2弾に分けて、蕎麦を育てます。
収穫は約2か月後と、足の短い作物です

種まき後からは水を切らさないように、1日2回の水やりを行い、数日後に芽が出ました! 一面に蕎麦の白い花が咲き誇り、蕎麦畑になるのが楽しみです