【山小屋便り5月号】「桃のお花見会 IN古畑 ―― 咲き誇る桃のパワーを感じて ――」 のん

「今日はあんなちゃんがお楽しみを考えてくれています」

 誰の言葉だったでしょうか、朝食の席で今日、なにかお楽しみイベントがあることを知りました。

 あんなちゃんが考えてくれているということは、(もしかしたら……)と思いました。

 午前中の予定が発表され、みんなは12時に中庭の体育館入り口のところに集まってください、と聞いて、確信しました。

 そう、待ちに待ったお花見です。

 朝食後の当番で台所に行きました。メニューのボードを見ると、お昼のメニューが変わっていて、カレーになっていました。(やった!)と心の中でガッツポーズをして、野菜切りの当番でそのカレー用のジャガイモを切りました。

 そわそわした気持ちで午前中を過ごし、12時になるのを待ちました。

「中庭に集まってください」という放送が聞こえ、みんなで外に出て体育館の入り口でカレーをもらって、古畑のお花見特設会場に向かいました。お花見日和の澄んだ青空でした。

 古畑にござを敷いて、低い机を並べてくれてあって、そこにみんなで座っていきました。

 お父さんとお母さんがまだ古吉野に来ていなくて、みんなで桃とそれを囲むような菜の花を見ながらお父さんとお母さんが来るのを待っていました。そこにお母さん運転のインスパイアーが到着しました。

 2人が席に着くと、お花見会が始まりました。

 あんなちゃんとのりよちゃんが赤のチェックのシャツを着て、司会進行をしてくれました。

 最初はカレーをいただきながら、さとみちゃん、あやこちゃん、みくちゃんのアンサンブル演奏を聴かせてもらいました。

 それから、桃クイズ。

 なのはなの桃の木は全部で何本か。古畑の桃の木は何年生か。なのはなで育てている桃は何品種か。

 そう言われてみると知らなかった、と思うような問題でした。

 なおとさんが、当たって砕けろという勢いで真っ先に手を挙げては答えて、あんなちゃんとのりよちゃんに笑顔で、「おしい!」と言われて、それがヒントになって他にも手を挙げる人が出てきて楽しかったです。

 その次にはお父さん、お母さんの弾き語りでした。

 最初は、お母さんは、「お父さんだけで」と言って、お父さん1人で準備をし始めていたのですが、途中で、「やっぱり隣に行こうか」と言って、お母さんがお父さんの隣に座られると、すごく嬉しいような、あたたかい気持ちになりました。

 マイクはなかったけれど、お父さんとお母さんの声はしっかり届きました。

 桃の木となのはなをバックにしてお父さんとお母さんがいて、風でときどき花びらがはらはらと舞っていて、お父さんとお母さんの歌が聞こえる、みんなの手拍子が聞こえる。幸せな景色と音でした。

 最後には、さとみちゃんとみくちゃんとりなちゃんの演奏で、みんなで桃の木をぐるっと囲んで、お父さんとさとみちゃんが作ったオリジナル曲『桃の唄』を歌いました。

 歌詞カードが配られて、2人で1枚の歌詞カードを持って歌いました。

 踊りながら聞くことはあっても、こうしてじっくりと歌詞を眺めることはなかったし、歌うこともなかったので、お父さんの書いた歌詞が染み渡ってくる感じがしました。

 桃を通したひとりの女の子の成長のストーリーは、自分たちのなのはなでのストーリーと重なっていきます。

「あなたが生きる姿から 私は迷いを捨てました あなたが私に似てるなら 私も咲かせてみようかな 私も咲かせてみようかな」

 最後のこの歌詞が、宝物のように感じました。

 こうしてお花見会は終わりました。けれど、お花見は花盛りである限り、続きました。

 夜のしだれ桜、桃、なのはなライトアップです。花が綺麗に咲き誇っている間、ゆいちゃんが雨の降らない夜にはライトアップをしてくれていました。

 最初はしだれ桜でした。夜の闇に浮かび上がるようにして、光に照らされるしだれ桜は、別の世界に吸い込まれていってしまいそうになるくらい、綺麗でした。

 私が靴を履いて外に出て見に行ったのは、そのしだれ桜が綺麗なとき一回だけでしたが、別の特等席で何度も見ました。

 それは食堂のベランダです。夜の食器洗いの当番が終わって、掃除道具を片付けるとき、ベランダに出ると、少し離れたところに桃の花となのはなが照らされているのが見えました。ベランダの方が高いので、見下ろすように見えるのですが、真っ暗ななかに光を受けて佇む桃となのはなを、目の前ではなく、古畑全体を俯瞰して見えるくらいの距離から見ると、現実離れした空間に見えました。じんわりと、頑張ろう、という気持ちが湧いてくるのを感じました。

 咲き誇る花々にエネルギーをもらったお花見でした。