「愛されるということ」 まゆ

5月14日(木)
(これは昨日の日記ですが、提出が遅れてしまいました。)

 今日は私にとって、忘れられない日になりました。なんと、10年ぶりに生理が来ました!
 ちなみに生理はこれまでに4回経験したかどうかぐらいで、そのうち自然に生理がきたのは、中学1年生(13歳)のときの、たった1回だけです。

 朝からお腹がキリキリと痛くて、作業の時間トイレに行ったら血が出ていました。
(えっ、生理?)と一瞬頭によぎって、だけどやっぱり最初は信じられなくて、何度も何度も確認して、(わぁ・・・私にも生理がきたかも)と思いました。
 まだ実感は湧いていなかったけど、早く報告しないとなぜか血が消えてなくなってしまうような気がして、全力ダッシュで畑でトラクターをかけてくれているお父さんの元へ走っていきました。
 急いでお父さんがいる畑に行くと、私を見てトラクターを止めてくれたお父さんに向かって、「お父さん!生理がきた!」と言いました。お父さんは、2秒ぐらいぽかーんとした顔になって、私が言った言葉を飲み込めていないようでした。
“まゆはきっともうすぐ生理がくると思うよ”と言われたのは昨日のことだったので、その次の日にさっそく生理が始まるなんて、さすがのお父さんでも驚くだろうなと思いました。
 そして「ほらきただろう?よかった、よかった」と言ってくれました。

 昨日お父さんに、「まゆはもうすぐ生理がくるんだよ。だから心が荒れてるんだよ」って言われたとき、思ってもみなかったことだったし、私はずっと生理が不順だったので、(そんなわけない!)という気持ちと、(そうであってほしい)という気持ちが入り乱れていました。
 “今の身体は嫌だ!”と怒っていた私に、お父さんは「あと2か月待ってみてくれる?あと2か月待ってくれたら絶対に生理がくるし、そうしたらまゆが使いやすい身体にするよ。約束する。」
「そうだなぁ・・・。9月、10月には必ずそうする。お父さんが責任を持って、ちゃんと約束するから。」と言いました。
 お父さんやお母さんじゃなかったら、そんな風に言われても信じることは絶対に出来ないし、(どうやって?そんなこと出来るわけないでしょ!じゃあどうするか言ってみて!!)と、ますます腹立たしくなるだけだけど、お父さんだから信用できました。
くるんだって思ってこなかったらガッカリするし、変な期待はしたくなかったけど、やっぱり私も生理がきたらいいなってずっと思っていました。

 私はなぜか最近ずっと怒っていたし、注意されてもただただ腹立たしくて、何にでも文句を言いたい気持ちになって、誰に対しても戦闘態勢で反抗心が抑えられませんでした。
 これまで一度もスタッフさんに反抗したり、誰かにキレたり、きつい口調で話すことなんてなかったのに、注意されると、うっとうしい。苛立たしい。と掴まれてる手を振り払ったり、逆切れしたり、みんなが話しかけてくれてもそっけなくしてしまいました。

 私は中学生の子どものような反抗の仕方をしていたと思います。
20歳を超えた歳にもなってこんなこと言うのは恥ずかしいけど、心のどこかではちょっと嬉しい気持ちもありました。
 だって私は、(病気になって怒り狂ったことはあったけど、ちゃんとした)反抗期がなかった子供でした。私は本来の思春期の時に、親に反抗できるまでの自我が形成されていませんでした。
 だから、(自分もこんな風に乱暴な気落ちになるんだ)と驚いたけど、全てのことを跳ねのけてやるというような力が湧いてきて、自分を縛り付けてきた目に見えないもの(親の呪縛ようなもの?)を、やけくそになってひとつひとつ自分の手で破り捨てていくような感覚だったなと思います。

 昼食前に、私はもう一度トイレに行って、本当に生理が来ているか確認して、それからお母さんがいる校長室へ行きました。お母さんに、「生理がきた」っていうと、お母さんも本当に一瞬“えっ!”と止まってとても驚いた反応だったけど、すぐに「生理きたのか!よかったな!」と言って、満面の笑顔で抱きしめてくれました。
 昨日お母さんと話をした時は、自分のむしゃくしゃした気持ちをお母さんにもブツけて当たりまくってしまって、本当に申し訳なかったけど、その時言ってくれた言葉も、今日抱きしめながら言ってくれた言葉も、私の心の中にずーんと重く沈んで、刻み込まれています。お母さん、本当にありがとうございます。お母さんの言葉以上の思いが、たくさんたくさん伝わって、私は苦しかったり、くすぐったいような温かさを感じました。私もお母さんのことが大好きです。

 私がなのはなに来た日、お母さんは年齢を言った私に「まゆ、もっと上に見えるなあ。」「ここでは子供に返ってね」と言いました。私はその時に、(ああもういいんだな。)と心から思って、何をどうなのかは分からなかったけど、(もうやめよう、もういいんだ)と思いました。
 そして私は本当に、なのはなにきて子供に戻ったんだと思います。
 私の中にいる幼い私を、私は怖くて見ることが出来ませんでした。見た目と全く釣り合わない心と、どう向き合えばいいのか分からず、怖くて怖くて、見ないふりをしていました。
 だけど、誰からも置いてけぼりにされた幼い私を、お父さんとお母さんが迎えにきてくれました。2人の温かさに安心して、「子供に返ってね」というお母さんの言葉通り、今まで押さえつけてきた自分の中の幼い部分を、解放できたんだと思います。お母さんとお父さんが愛情いっぱいに私を育ててくれたから、私は(なのはなにくるまでにたった一度だけ、生理がきたときと同じ年齢の)13歳になって、思春期や反抗期を迎えて、生理が来たんだと思います。怒られて反抗しているとき、お母さんに何が言いたいとかでもない怒りをぶつけているとき、中学生1年生の頃の自分が舞い戻ってきて、今の自分を乗っ取っていました。13歳の私が失ってしまったもの、得られなかった何かを、今やっと取り戻した感覚でした。

 たくさんみんなに心配かけたり、迷惑をかけてしまって申し訳なかったと思います。
 でも、思いっきりみんなに迷惑かけて、思いっきり許してもらったから、ものすごくスッキリしています。私も思いっきり誰かを受け入れたい、許したいという気持ちでいっぱいになっています。許されるって、受け入れられるって、こういうこと。愛されるって、まさにこういうことなんだ!!と思いました。

 少し話はそれますが、これからは、今まで以上に自分の体を大切にしたいなって思います。
 生理がきたことで、いずれ私もお母さんになる日が来るんだなと思いました。私はきっと、男の子を産みます。そんな気がします。そのときはお母さんとお父さんにも、抱っこしてほしいなと思います。
 お母さんとお父さんがくれるたくさんの理解や愛は、いつでも私に生きる力をくれます。私は本当にまだまだ未熟だけど、お父さんとお母さんのもとで、成長していきたいです。