「お米作りの始まり」 るりこ

5月12日(火) 

○播種
 盛男おじいちゃん、永禮さん、お父さんとみんなと、家族総出で種籾の播種を行ないました。いよいよ、お米作りが動き出します。
 この日に向けて、まえちゃん、みかちゃん、あんなちゃんたちが種籾の塩水選や芽だし、焼土詰めなどを進めてきてくれました。今日は午前の途中まで、みかちゃんがいてくれました。一から自分たちの手で作り出していく、3人の姿がとても格好いいと感じました。

 今回わたしは、あゆちゃん、あんなちゃん、あけみちゃん、まちちゃんと播種機につかせていただき、種籾の補充という役割に入らせていただきました。
 初めの動き出しから終わりまで、ずっと傍に見させていただき、また1つ、自分の世界が広がったような気がしました。ハンドルで種籾の量を調整できること、手元のネジで焼土の量や水の量を調節できること。そしてそれを見極めていく、盛男おじいちゃん、お父さん、あゆちゃんとみかちゃん。
 あゆちゃんはずっと、水の量を細かく調節していました。手元に方位磁石のような円盤のなかに針があるものがあり、その針の触れで水分の多い少ないを見ているようでした。1枚1枚、腰をかがめながら、密に行なっていくあゆちゃん。その集中力と、根気強さがきれいで格好良かったです。あゆちゃんのその姿を見た、盛男おじいちゃんが、「あゆちゃんに120点をあげよう」とおっしゃっていました。あゆちゃんが嬉しそうに、「ありがとうございます」と笑っていました。

 播種機のなかの灰色のギザギザした筒が周り、そのギザギザの間に一条ごとに種籾が入り、育苗トレイに落とされていきます。それを見ているのが面白かったです。
 
 途中、みかちゃんがミルキークイーンとあきたこまちの種籾の見極めを教えてくれました。
 ミルキークイーンは少し小さめで、ぷっくりしていて、今にも籾からはち切れそうになっているもの。あきたこまちは縦長ですっとしているもの。
 そう言われて見て見ると、あっ! 本当だ! とすぐに違いがわかりました。
 そしてその1粒1粒から小さな角みたいな白い芽がニョキッと出ていて、とても可愛らしかったです。種籾に触れていると、言葉にできないけれど、(あぁ、稲だな)と思う、甘い良い香りがしました。

 播種機から出てきたトレイは、みんながグラウンドまで運んでくれました。中庭からはグラウンドの様子がわからなかったけれど、防除やミラーシート掛けなど、それぞれの工程が1つに繋がっているのだと思いました。そのなかで自分の役割を精一杯に果たせたら、という思いでした。
 
 お父さんがずっと傍にいてくださり、ときには機械を気に掛け、ときにはお話をたくさんして聞かせてくださいました。『お父さんに聞いてみよう』みたいになっていて、みんなからの質問にも、お父さんが1つひとつ答えてくださっていました。その声を聞いているだけで、安心した気持ちがしました。

 ミルキークイーンは予定よりも種籾の量が多く、なかなか終わらないと感じました。でも紫黒米とモチ米はあっという間でした。
 3種合わせて、全部で約630枚のトレイに播種をしました。そんなにやったのかと思う気持ちと、やはりすごい量だったと思う、両方の気持ちがありましたが、最後までみんなと力を合わせて、播種を終えられたことが嬉しかったです。
 お父さんが、「良い播種だったね」とおっしゃってくださり、ここまで計画的に進めてきたまえちゃん、みかちゃん、あんなちゃんの力を思いました。

 今季は田んぼの枚数も増える上、新しくお借りする田んぼもあります。そういったなかで、お米作りがどう進んでいくのか、わたしもできることをしていきたいです。
 まずは明日から苗の水やりが始まります。またみんなで、並んで水やりをする光景を思うだけで、嬉しくなるなと思いました。

 

○草刈り
 午後からは、まりこちゃんとあけみちゃんと桃畑の草刈りを進めました。
 播種で時間が押してしまったために、作業は15時始まりで、実質中身は1時間50分ほどしかありませんでした。自分の気持ちにエンジンが掛かるのが遅くなってしまうと、作業も呆気なく終わってしまうだろうなと思い、出発前から、「草刈りだ!」と自分に言い聞かせ、やる気を高めて、桃畑へ向かいました。

 そして今日1番に嬉しかったことは、お父さんが新しい草刈り機の刃をくださったことでした! 
 草刈り機置き場へ行くと、キラリと輝くものが目に飛び込んできました。まるで、宇宙のような青。色が付いた草刈り機は初めて見ました。青い光沢が、これでもか! というほどに輝き、それが全6本の草刈り機にセットされていました。
 見ただけテンションが上がってしまって、思わず、その場を歩くみんなに、「見て見て!」と言ってしまいました。それを見る誰もが、「うわぁあ!」「格好いい!」と口々に驚いていました。まりこちゃんが、「お父さんが購入してくださったんだよ」と嬉しそうに教えてくれました。
 丁度お父さんも居合わせて、「ブルー・シャークと言うんだよ」と教えてくださいました。
 『ブルー・シャーク』。青いサメ。
 名前からして格好いいです。石にも強い刃が特徴なのだそうです。それを提げて歩くだけで、まるで自分まで強くなって、草刈りの達人のような気持ちにまでなってしまいました。

 池上スモモ畑と、池上桃畑の大斜面を刈りました。
 どちらも草の勢いがすごくて、刈り甲斐がありました。草の背丈が高いほど、地面に落ちている石を見つけにくく、何度か刃が石に当たってしまうことがあったのですが、最後の最後まで、チップは一欠片も欠けていませんでした。とても刈りやすくて、わたしはとても気に入りました。これがあれば、今年の夏の草刈りは思い切り楽しめそうだし、新しく草刈りメンバーに入った子たちにも有効なのでは、と思いました。

 池上スモモ畑は久しぶりに行きました。木を見上げると、スモモの実が鈴なりになっていました。実は緑色をしていて、今の姿から見ると、これがスモモになるとは結びつきがたい姿でした。大きさは桃の実よりも若干大きく見えました。

 池上桃畑の大斜面は、大斜面と言うだけ、本当に斜面の面積が広くて、何より急です。 これまであまり草刈り機用の滑り止め付きの長靴は好んでいなかったのですが、今回はこれに助けられました。普通に立つだけでも精一杯なのに、草刈り機を持って進んでいくのはかなりの困難。そんなときにこの滑り止めがあると、滑る心配がなく、草刈りだけに集中することができました。
 一辺が進む度に、達成感がありました。足が疲れたと感じたときは、まりこちゃん、あけみちゃんの力強い姿をみて、気持ちを奮い立たせました。
 ずっと斜面の草刈りは苦手だと避けてきたけれど、これをやり切ったら自分は変われるような気がしました。いや、変わったのだと思いました。もう初心者は卒業したのだと思いました。

 終わったときは、嬉しかったです。景色が変わった斜面をみて、3人で力を合わせてやり切ったのだと、誇らしい気持ちになりました。
 時間は、2枚合わせて約1時間15分ほどでした。良いスピード感でできたと思いました。

 そのあとも引き続き、17時~18時の役割で草刈りをしました。時間いっぱいに草刈りができて、本当に嬉しいです。
 最後には永禮さんも駆けつけて来てくださり、草刈りを手伝ってくださりました。
 お父さんが購入してくださった専用の機械を使わせていただいたり、まりこちゃんが密に立ててくれている草刈り計画のなかで、わたしも草刈りを楽しませてもらえることがありがたいです。

 午後の作業自体の時間は短かったけれど、そんなことを忘れてしまうくらい、中身は充実していて、時間を越えるほどに濃い密な時間を過ごすことができました。
 やり切ったという達成感、疲労感に、あけみちゃんと、「最高に気持ちがいいね! 生きてるって感じ」と話しながら帰ったことも嬉しかったです。

 

 日記を書いていると、安心します。気持ちが一定になっていきます。お父さんとお母さんに、今日1日、自分が感じた気持ちを知ってもらえると思うことが、今のわたしの心の支えになっているような気がします。
 読んでくださってありがとうございました。
 おやすみなさい。