5月10日(日)「Be With You~お母さんと出会えたこと――お母さんへ母の日の贈り物」

5月10日のなのはな

 

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お母さんの言葉。お母さんの笑顔。お母さんのまなざし。 
お母さんと共有した体験。 
私たちの心の中ある、たくさんのお母さんの姿。 
それは、自分を正し、生きる指針として、未来への希望として、 
どんなときも心をあたため、勇気づける宝物として、 
消して色褪せることなく、在り続けます。

「みんな、ひとつひとつ……全部、覚えていてくれたんだね」 
お母さんは、涙を浮かべて、言いました。 
忘れることなんて、できるはずがない。 
だって、それは、私の人生のはじまりの瞬間なのだから。 
初めて手にした安心、希望、なのだから。

『Be with you~お母さんと会えたこと~』 
母の日の今日、私たちは、お母さんとの出会いをテーマにした 
会をお母さんに贈りました。 
このテーマは、お父さんがお母さんにプレゼントした曲のタイトルと、 
その歌詞から決めました。

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< 母の日のお祝いに卒業生から  たくさんのお花が届きました>

  
 会は二部構成。 
一部は体育館での『Be with you』の発表会です。 
場所を移して、音楽室にて、第二部の朗読会があります。

今夜は、スペシャルライブディナー。 
夕食をいただきながら、歌と演奏を楽しみます。 
母の日のお祝いにぴったりの、おめでたいちらし寿司がディナーです。 
ステージの両サイドには、卒業生から贈られたお花が飾られています。 
ブルー系のあじさいに、カーネーション、大好きなお母さんへの気持ちが、 
全国から古吉野に届きました。

ウィンターコンサートを終えた年明けの1月から、 
ドラム部とエレキギター教室のみんなが練習をしてきました。 
母の日に、お母さんに聴いてもらいたい。 
そう目標を掲げて、約4ヶ月。 
ついに、お母さんに披露する日が来ました。

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「なのはなビッグバンド、 
“クレイ”のメンバー紹介をするぜ!」 
ドラムは10人、エレキギターは4人の紹介から 
ステージは始ります。 
お母さんへの愛のキャッチフレーズと共に、 
メンバー1人ひとりの名前が呼ばれます。ボーカルは? 
もちろん、お母さんのためにこの曲を歌えるのは、 
この世界に1人だけ。 
「お父さーん!!」 
みんなの声に呼ばれて、 
お父さんがレッドカーペットからステージにあがります。 
「僕の気持ちです」 
そう言って、お父さんが、お母さんにプレゼントした曲。 
今日も、たった1人、お母さんのために、 
演奏し、歌います。

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お父さんは、出会ったときからずっと変わらないお母さんへの想いを込めて、全力で歌いました。 
今、愛を束ねて届けたいと願う―― 
お父さんは、お母さんの心にその言葉を捧げるように、手を差し出します。 
ステージ上と下に配置された5台のドラムと、4台のエレキギター。 
お父さんの気持ちに重ねるように、ぴたりと息の合った演奏を響かせます。

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お母さんは、ステージの真ん中で歌うお父さんを見つめ、 
演奏するメンバーを、上手から下手へ、視線を移動させて、嬉しそうに見つめます。 
お母さんが嬉しいから、私たちも嬉しいです。

曲が終わると、「もう一回聴きたい」のリクエストの声がかかります。 
「もう1曲、演奏するぜ。Be with you!!」 
ドラムメンバーが交代します。 
1回目で十分のどがあたたまったお父さんの声は、より力強く届きます。

“あなたに会えたこと”私はこのフレーズを歌うお父さんの声を聴くと、 
お母さんと自分との出会いがどれほど求めていたものなのかということを強く感じます。 
お父さんの歌に自分の気持ちも重ね、私はステージの下で一緒に歌いました。

 

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2回の演奏を終えて、お母さんは話してくれます。 
「お父さんは、いつも格好つけないで、全力で歌ってくれるんだよ」 
格好つけないから、誰よりも格好いいお父さん。 
美しさや、格好良さは、姿形や表面的なものではなく、 
自分の力や心を惜しみなく使って大切な人のために生きることなのだと 
お父さんは歌う姿でも示してくれます。

そして、お母さんはドラムやギターのレベルの高さにも驚いていました 
普段部活動をしているときには、バンドと合わせて1曲として聴く機会はありません。 
発表会で、初めてバックバンドの一部として、みんなの練習の成果が披露されました。 
「これだけの人数のドラマーがいたら、なのはなで複数のバンドが組めてしまうね」 
お母さんが、新しいなのはなのバンド演奏の可能性をイメージして、こうコメントしてくれました。

IMG_9389 ライブのトリを飾るのは、お母さんです。 
「お母さんに、いま歌いたい曲はなんですか?」 
実行委員の私たちは、事前にお母さんに質問をしました。 
「ミーティングでも何度か話しているから、あの曲にしようかな」 
心を開け放ち、痛みも、悲しみも、怒りも、すべて解き放つように歌い上げる、『育つ雑草』。 
「みんなも、一緒に歌おうや」 
お母さんはそう言って、この曲を選んでくれました。

前奏から激しいメロディではじまる曲。 
お母さんは、自分の心に悲しみや憤りの嵐が渦巻いたとき、 
この曲を何回も歌ったことを話してくれました。 
司会をしていた私たちも、仕事組のみんなもステージに上がり、 
一緒に思い切り歌いました。

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一緒にステージに立ち、隣から聞こえてくるお母さんの声に 
後押しされるように、私も熱唱します。 
お母さんの歌声の艶、芯のある強さ、切なさ。 
当たり前だけれど、敵わない魅力を、すぐ近くから聞こえるお母さんの声から感じました。 
お母さんの歌は、いくつもの魅力があります。 
ときには私たちに道を示し、ときには背中を押し勇気づけ、 
ときには一緒に心を痛め悲しみ憤り、 
そう、いつだって、同じ心の深さにおりてきて、笑い、涙し、喜んでくれる 
お母さんそのものの、歌声です。

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気づけば3曲、ディナーライブのはずが、みんなの持つ箸の手は止まり、 
その手は手拍子へを変わっていました。 
お父さんとお母さんの歌、ドラム部とギター教室のみんなの演奏を 
楽しんだ後は、しばしの歓談。美味しいちらし寿司をいただきます。

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ロックナンバーで盛り上がった 
体育館でのライブから一転、 
二部はしっとしとした雰囲気で、 
母の日のお祝いをします。

音楽室のドアをお母さんが開けると、 
子供たちが並びます。 
みくちゃんのキーボードの音が始ると、 
お母さんの顔がほころびます。 
お母さんの大好きな『ハナミズキ』の合唱で、迎えます。

お母さんが、 
なのはなファミリーが100年続きますように、 
と願いを込めて植樹した、玄関のハナミズキ。 
100年、それは永続的にという意味なのかな 
と私は思いました。

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お父さんとお母さんが立ち上げたハートピー、 
なのはなファミリー。 
まだ見ぬ誰か、 
同じ痛みを抱えて生きている仲間のために、 
自分たちが作っていく本当の希望。 
その願いは、次の世代へ、次の世代へ、 
と繋がれていって欲しい。 
そしていつか、 
誰もが生きることに喜びを感じられる世界へ。 
そんな未来に向かって願を込めてくれた 
お母さんを思って、私たちは歌いました。 
私たちも、その永続的に、 
広がりを持って続いていく未来のために 
繋ぐ1人でありたい、お母さんからもらった気持ちを、 
繋いでいきます。

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「今日は泣かないぞ、と思ったんだけど、 
やっぱり泣けてきちゃったよ」 
お母さんは、一人ひとりの顔を見つめながら、 
この曲を大事に大事に、 
聴いてくれました。泣くつもりなんかなかったけど、 
歌う私も、やっぱり泣けてきて仕方ありません。 
嬉しくて、あたたかい涙です。

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会の2部は、朗読会です。 
なのはな書院から発売された新刊の発売を記念して、 
執筆者による 
朗読会を開きました。 
本のタイトルは、 
『Be with you~お母さんに会えたこと~』。 
お母さんとの出会いをテーマに、 
1人1作品の短編を書き上げました。 
物語風、ドキュメンタリー風、作風は様々です。 
会では、代表で7人が朗読をしました。

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実は、はじめは500字以内 
という字数制限を設けていました。 
しかし、私たちの思いは、 
500字でおさめるのは至難の業でした。 
言葉が、気持ちが溢れて、 
500字はあっという間に超えていきます。

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お母さんを思うとき、なのはなの一人ひとりの目の前に浮かぶ、 
鮮やかで美しい情景があります。優しい心の風景があります。 
なのはなに来たばかりの頃のこと。 
治る覚悟を決める怖さに震えていたあのとき。 
なにが辛かったのか分からず、涙が止まらなかった夏の日。 
何気ない日常の生活の中で、お母さんと交わず小さな宝物の言葉。

人が生きていくとき,心を支え、勇気づけるものは、 
深く理解してもらったという確かな気持ちです。 
一人ひとり、物語は違います。 
70人書けば、70の物語がそこにはあります。 
けれど、その根底に流れるものは、たった一つ、深い理解(愛情)です。 
みんなの作文を聞きながら、私はそう思いました。 
お母さんは、自分が見えていない未来さえも、私以上に理解し、信じてくれます。 
 

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そして最後に、お父さんが、朗読をしてくれました。 
「答えは持っていた」 
お父さんの文章は、そう始ります。 
自分の生きにくさの答えを求め続けて生きて、ライターを職業としていた時代から、物語は始ります。 
自分が見つけ出した生きにくさの答えを、どんな形で誰かのために役立て使って行けばいいのか、 
お父さんはそう考えていました。

そんなとき出会ったのが、お母さん。 
お父さんは、お母さんと出会い、共にハートピーを立ち上げ、 
なのはなファミリーを共に立ち上げます。一緒に本を書きます。 
同じように生きにくさを抱える障害を持った子とその家族、摂食障害の女性たち。 
お父さんが持っていた答えは、お母さんとの出会いによって、 
人の心に触れ人の人生と関わる仕事へとつながりました。 
そして、いまも、これからも2人で夢を追いかけていく。

人の出会いは不思議です。 
お父さんとお母さんの出会いは、いまこうしてなのはなのみんなの人生 
へとつながっています。1人の人との出会いが何十人、何百人との出会いや 
希望につながっていくうのです。だからきっと、私とお母さんの出会い 
も、まだ見ぬたくさんに人につなげていくことだってできるのです。

朗読を聴いたお母さんは、何を言ったら良いのだろうか、と 
涙で言葉をつまらせながら、気持ちを伝えてくれました。

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「ありがとう、ありがとう。 
みんな、ひとつひとつ……全部、覚えていてくれたんだね」 
なのはなのお母さんだって、同じ人間です。 
なのはなファミリーのお母さんをしていて、楽しいこと嬉しいことばかりではありません。 
症状に苦しみ最中の子供たちが来ます。 
それが症状であるとわかっていても、投げかける言葉に心を痛め、悲しくなることがあります。

この日、朗読をしたみんなの作文には、 
お母さんとのやりとりや、交わした言葉、お母さんのふとした表情の 
ひとつひとつが、手にとれるくらい鮮明に、表現されていました。 
私たちは、決して忘れていません。忘れることなんてできいません。 
それは、私たちの希望のはじまりだからです。 
お母さんは、たった1人のお母さんで、卒業生も含めたら、100人、200人のお母さんです。 
それだけの人の心に、いつだって全力正面から向き合ってくれるお母さん。 
きっと、お母さんの娘、息子たちの心には、その数だけの希望の物語が深く刻まれてます。

私も、お母さんと出会い、お母さんが私の心に触れて、 
人間味在る1人の女性として生きられる未来を強く強く信じてくれてことを、一生忘れないでしょう。 
いつだって、そのときのぎりぎりの心と、 
お母さんが信じてくれたときの大きな希望が、心にあります。 
そこが人生のスタートで、いつも帰ってくる原点です

 
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会のフィナーレは、お父さんの歌う 
『I was born to love you』です。 
私たちは、お母さんに出会うために、生まれてきました。 
私たちは、お母さんを大好きになるために 
生まれてきました! 
その気持ちをお父さんの声に合わせて、 
思い切り歌いました。 
熱く熱く心躍る1曲でした。 
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最後に、仕事組のみんなで作った、 
お母さんの大好きな酒粕アイスを 
デザートでいただきました。 
酒粕がふんわりと香る濃厚なアイスに、 
なのはな産のあんこがトッピングされています。 
気持ちが高ぶり熱くなったほおに、 
アイスの冷たさが気持ちよく、 
美味しく甘い味が、 
会で感じた幸せな気持ちにぴったりでした。       IMGP0656 お母さん、いつもありがとうございます。大好きです。 
強さ、逃げない勇気、諦めない心、 
そして深く人の心を理解して寄り添える 
本当のお母さんの優しさを、私の心にも育てていきます。

(なお)