【山小屋便り4月号】「仲間と作り上げた『戦場のメリークリスマス』 ―― アコースティックギター・ミニコンサート ――」 さやね

 私たちの思いがまだ見ぬ誰かに届きますように。

 みんなと世界を作り、みんなと表現します。藤井さんが来てくださるアコースティックギター教室で、ミニコンサートを開きました。

 今宵のプログラムは、『花』と『戦場のメリークリスマス』。

 お父さんお母さん、家族のみんなと、お仕事を終えて英幸さんも来てくださり、演奏を聞いてもらえることが嬉しかったです。

 1曲目の『花』は、藤井さんと、まえちゃん、のりよちゃん、えりさちゃん、まことちゃんが演奏しました。

 この曲は、藤井さんが初めてなのはなファミリーに来てくださった日に、弾いてくださいました。藤井さんの奏でる、素朴な、暖かい音に包まれて、魅せられて、なのはなのたくさんの先輩と、私たちはギターを始めました。

 のりよちゃんとえりさちゃんは、ギターを始めて3か月でこの曲を弾けるようになりました。こんなに短い期間で、そして5人で演奏することは本当にすごいことだと思います。

 毎週火曜日の夜、藤井さんが来てくださるギター教室が楽しみで、藤井さんはいつも同じ目線になって、1人ひとりに丁寧に教えてくださり、ただ純粋にギターが好きで、この曲が好きで、楽しいと思いながら、みんなと練習をさせてもらえることが嬉しいです。

 藤井さんとみんなの演奏する『花』は、暖かく、優しい音楽です。みんなの一生懸命にひたむきにギターに向かう姿が、とても綺麗でした。

■8人で作る、1曲

 『戦場のメリークリスマス』は、8名で演奏しました。

 ソロギターのために書き下ろされたこの曲には、様々な奏法が織り込まれ、ギターの持つ表現力を最大限に生かして、自分たちの物語を表現します。

 曲の始まりは、雪の降る夜、たった1人で手紙を書き始める。誰もいない空間でたった1本のギターの音がどこまでも響く。弱く、優しく。コーラスを歌うときのように、自分たちの 音が消えてなくなる瞬間まで大切にする。

 ハーモニクス奏法という、倍音を鳴らすことで元々の音よりも高い音を出す演奏法は、さらに3つの種類を使い分けました。

 タッピングハーモニクスは、フレットの上を右手で叩いて音を出します。手首の力を抜いて、水を払うときのようにフレットの上で指を弾ませる。

 口で言うのは簡単だけれど、パーカッションのような打音ばかりが出てしまい、美しいハーモニクス音が出るまでみんなと一緒に練習しました。

 テクニカルハーモニクスは、『ナユタ』でたくさん使われた奏法で、右手の人差し指を弦に軽く触れさせ、右手の親指で弦を弾きます。

 ほかにも、ラスゲアードという、フラメンコギターでよく使われる、右手の小指から薬指、中指、人差し指と順に広げながら弦を弾き、劇的な情景を表わしました。

 藤井さんのギター教室でギターを始めて、なのはなファミリーで覚えた技をみんなに伝え、みんなの演奏がより高度に、より深いものに、みんなと一緒にしていけることが嬉しかったです。

 ギターのボディを叩く、ボディヒットという奏法は、どこを叩くか、どう叩くかをみんなで揃え、まるでドラムを叩いているように、バスドラムの低音とスネアドラムの高音を使い分けました。

 心臓の鼓動のような重い音、誰もいない空間に響く乾いた音。頭に思い描くイメージの音、耳で聞こえる出したい音のイメージを揃えました。

 強と弱、静と動、本能と理性、波の押し引き。心の山谷を限界まで広げて、より深い演奏を求めました。

 この曲を8名で演奏するのは、私たちだけにしかできません。まえちゃんはずっと、みんなで演奏し、みんなで上手くなり、みんなで揃って一段上に上がれるように、練習を進め、発表会の日取りを考えてくれました。

 曲の中盤、タッピング奏法という、左右の指で異なる弦を叩き、激しく曲調が動く場面では、パートを分けて、みんなで演奏しました。

■より深い演奏に向けて

 自分1人ではなくて、みんなで、ギターを手段にして、なのはなファミリーが上がるための演奏、心持ちを、まえちゃんは教えてくれました。

 1人では得られない、みんなとの間にしかない大切な気持ちをまえちゃんは教えてくれました。

 一緒に生活し、一緒に傷を乗り越え、一緒に生きてく仲間だからこそ演奏できる、なのはなの『戦場のメリークリスマス』です。

発表会に向けて、本番1週間前から習慣練習を重ねてきました

 藤井さんと、お父さんお母さん、みんなが演奏を聞いてくれて、素晴らしかったと言ってくれました。

 まだ見ぬ誰かを思い、みんなと演奏できたことが、嬉しかったです。

 『花』も『戦場のメリークリスマス』も、この発表会がスタートです。音の質を高いレベルで揃えて、より深い演奏を目指します。