「桃の霜対策」 ななほ

4月15日 水曜日

・桃の霜対策

 昨夜、あんなちゃんに放送で呼ばれて、ドキドキしながら1年生教室に向かうと、「このメンバーで、霜対策に行けたら嬉しいです!」と言われました。
 一瞬、夢か現実か分からなく感じたのですが、ずっと楽しみにしていて、「私も行きたいな。」と思っていたので、とても嬉しかったです。
 桃の霜対策。言葉を聞くだけで、身体が軽くなって、心の奥の自分がうずうずとします。

 音楽室に布団を敷いて、あんなちゃん、ふみちゃん、ゆいちゃんと3人のお姉さんに囲まれて眠りました。
 最初は緊張と、不安とワクワクで眠れなかったのですが、突然、トントンと「ななほちゃん、」と起こされました。
 目を覚ましたら、ゆいちゃんの姿があって、時計を見たら2時40分。
 ぐっすりと眠れた自分と、私とゆいちゃん以外、周りに誰もいない静けさに、思わず笑ってしまったのですが、大急ぎでピンクジャンバーを着て、長靴を履いて外に飛び出しました。

10時の消灯も外は暗かったのですが、いつも眩しい光で目を覚ます私にとって、外に出ても真っ暗というのが、不思議でした。
 私は元々、視力が良いのですが、ただ視力が良いだけではなく、真っ暗闇も直ぐに目が慣れて、陰で周りが見えることが分かって、すごく嬉しくなりました。
 ゆいちゃんに起してもらった後、ゆいちゃんとふみちゃんもダッシュで坂道を下り、梅林に。

 梅林についた頃には、あんなちゃんとなおとさんが梅林の着火を終えていて、少し申し訳ない気もしたのですが、気持ちが引き締まりました。
 あんなちゃんから簡単な説明を聞いて、チャッカマンを渡され、次に向かうは古畑。
 なぜか足が自然に動いて、走らずにはいられなくて、古畑に着いたら、あっという間に着火が終わりました。

 そして、お次は車に乗って、開墾26aへ。
 と、思いきや、車が凍ってドアが開かず、お湯をかけてドアが開いたと思ったら、どこを探しても鍵がありませんでした。
 仕方がなく、車を変え、お湯をもう一度くんで、ようやく出発という頃には、3分から5分ほど時間が経過していて、緊張しました。
 でも開墾畑にはあんなちゃんが笑顔で待っていてくれて、真っ暗闇の中、畑を駆け回り、燃焼材に着火していきました。

 私はなのはなに来るまで、ライターもチャッカマンもほとんど使ったことが無く、マッチも学校の授業くらい。
 家はIHでガスを使わなかったので、火を扱うのに緊張しました。でも、冷静に、スリリングさも楽しみながら、落ち着いて、それに加えスピーディーに霜対策を進めていきました。
 開墾26aは畑も広いということもあり、畑に点々と炎が灯る光景が、幻想的で美しかったです。

 ただ一言、「綺麗」としか言葉が出ない位、とても綺麗で穏やかな炎が、心を落ち着かせてくれました。
 そして、池上の桃畑では真っ暗闇の道を、猛ダッシュして、無事にけがもなく、転ばず畑を走り回り、全ての缶の燃焼材に着火する事ができました。
 空を見ると、星空が私たちを見守ってくれていて、半月が希望を与えてくれている様でした。

 つい一週間前は、月が満月だったのですが、今朝は本当にスッキリとした半月で、時の流れを感じました。
 池上の後は、石生の桃畑に向かい、夕の古畑。どの畑でも思いっきり走って、落ち着いて着火し、車に乗り込むと、大きな達成感を感じました。
 6枚の畑の着火が終わった時には、午前3時半を過ぎていたのですが、そのまま畑の見回りをしました。
 梅林から、夕の子の畑までもう一度見回りをし、缶の中を掻き混ぜました。

 午前4時10分。無事に1回目の見回りが終了し、30分間、休憩がてら身体を休めました。
 あまり眠れなかったのですが、起きたらあんなちゃんの姿が無くて、ゆいちゃんとふみちゃんと再び梅林に向かいました。
 そして、2回目の見回りは燃焼材と油、竹の棒を持って火が消えかけている缶に、燃焼材を足し、着火しました。
 30分前は、辺りが真っ暗で前が見えない程だったのに、4時30を過ぎると空が明るくなっていました。
 黄色かった月も白に変わり、遠くの空が徐々にピンク色に染まっていきました。

 畑から見る空は、鮮やかで、色が濃く、黒も近もグレーもピンクも、美しかったです。
 燃え尽き症候群とは言わないけれど、ドラム缶の火が消えかけているものが多く、3回目の見回りでは殆どの缶に燃焼材と油を入れ、着火しました。
 また、竹の棒でかき混ぜると、炎が上がるものもあり、どんどん炎の扱いが上手くなっている様に感じて、ワクワクしたし嬉しかったです。

 そして、石生の桃畑にいると空がほとんど、ピンク色に染まり、写真を撮りました。
 昨夜、カメラを渡された時、絶対に新しい子やまだ見ぬ誰かに霜対策の美しさや、魅力、楽しさを伝えられる写真を撮りたいと思っていたので、写真を撮るたびに気持が引き締まりました。
 その後、夕の子の桃畑に行き、梅林、古畑、開墾、池上を回り、今回の霜対策は無事に終了。
 梅林野畑に行った時、みんなで朝日がのぼるのを見ました。それがとても綺麗で、眩しくて、生きていると心から思いました。

 朝日を見て、梅林では梅の実がついているのも見つけ、車の中ではなおとさんやみんなと少し話して、満足感をいっぱいに感じました。
 最後、池上の畑が終わった時、まだワクワクして、疲れ果てているけれど、気持ちは元気で、あんなちゃんが笑顔で私たちを見つめている時、キョトンとしました。
 もしや、と思ったらもしやもしやで、「これで、霜対策が終了しました。みんなが居てくれたから無事に終わることができました。」と伝えてくれました。
 それが嬉しくて、達成感を感じたけれど、どこか寂しくて、切なくて、「もっとやりたかった。」といいました。
 すると、あんなちゃんが「ななほちゃん、もしよかったら、最後に一緒に石生の桃畑に行ってもいい?」と誘われて、ものすごく嬉しかったです。

 あんなちゃんの軽トラックの助手で、石生の桃畑に向かう時、あんなちゃんが桃の歴史や、桃の育て方について話してくれました。
 あんなちゃんの優しさがあるから、なのはなの桃があって、あんなちゃんが居るから桃があると心から思ったし、桃の霜対策に入らせて頂けたことが、涙が出る位嬉しかったと改めて思いました。
 石生の畑の後、ついでに夕のこの畑にも行き、最後は古吉野に到着しました。

 私にとって、霜対策は大人への階段の様でした。元気いっぱいなのは子供かもしれないけれど、夜を怖がらずに向かって、自然を感じて、気持ちが成長したのを感じました。
 朝日を見れたのも嬉しかったし、何より、みんなと桃と梅を守れたのが嬉しかったです。
 言葉に書ききれない位、他にも嬉しかった事、驚いた事、発見した事、ちょっとしたハプニングもあったのですが、全体をまとめると、本当に安心して嬉しかったです。

 午前は6枚の畑を回り、缶を回収し、また畑を走ったのですが、夜よりも身体が重く感じて、やっぱり身体は疲れを感じているんだなと分かりました。
 そのまま、缶の掃除や、灰を処理して、音楽室で仮眠を取らせて頂きました。
 もう身体の隅から隅まで、炭と灰の香りがしたし、手が真っ黒になっていたのですが、すごく心も体も満たされたように感じました。

 仮眠も11時にぐっすりと眠って、目が覚めたのは12時半ピッタリ。何かを感じたのか、今日は12時半が昼食の時間だったので、ギリギリ間に合いました。
 私が起きた瞬間に、ふみちゃんが私を起こしに来てくれて、一瞬、夢か現実か分からなくて、時間が止まった様な感覚になりました。
 でも疲れが少しでも取れて嬉しかったです。書ききれなかったのですが、午後も畑でいっぱい動けて大満足の一日でした。
 お休みなさい。