【山小屋便り2月号】「桃との対話 ―― 桃の冬剪定を通して ――」 あんな

桃の冬剪定を進めています。

冬剪定は、桃の作業の中でも特に重要な作業で、今後の桃の生育の決め手の1つです。

奥が深く、難しいところがありますが、私は大好きな作業です。

年末から一部、取り掛かっていたのですが、1月4日から本格的にはじめました。正直、桃の剪定ができることが嬉しくて、心の中で小躍りしています。

山の桃畑、奥畑、石生桃畑、夕の子桃畑……と進めてきて、現在、池上桃畑を剪定しているところです。池上桃畑のあとは、古畑、開墾26アール、開墾17アール、新桃畑、池上スモモ畑、というふうに進めていくつもりです。

なのはなの桃の木は、現在、7年生以上の成木が27本、3〜4年生の幼木が58本の、合計85本あり、なかなかやりごたえがありそうです。できるだけ1月中に終えたいと思っていましたが、天気の都合で作業ができない日もあり、2月中頃までに終えるつもりです。

冬剪定の目的は、樹形を整えること、樹勢の維持、日当たりの改善、作業性の向上、などですが、それらはすべて最終的に「甘くて美味しい桃を作るため」です。

鋸や鋏で枝を落すだけでなく、必要なところには誘引を施して、枝を曲げながら、その樹にとって1番良いふうに仕立てていきます。

■品種ごとの特徴

桃は、品種によって、また同じ品種でも樹ごとに性格のようなものがあり、樹の特性を考慮したり、生育状況を考えながら、剪定を変える必要があります。

例えば、清水白桃は、樹が落ち着いていて短果枝(10センチメートル程度の短い結果枝)が多いほうが、安定した良い実がつきやすいと言われています。また、清水白桃や、白皇もですが、樹が立ちやすい性質があり、ともすると、樹高が高くなってしまうので、意識して開かせるように仕立てる必要があります。なのはなにある1番高い三脚が9段ですが、その脚立で届かないくらいの高さだと、ちょっと怖くて、手入れも難しいかなと思います。手入れのしやすさ(作業性)は、案外大事だと感じています。

反対に、おかやま夢白桃は、枝が開帳しやすく、成木になってから弱りやすいので、それ相応の剪定や対策が必要となります。

池上桃畑の6〜9年生の清水白桃は、全体的に樹勢がやや強めのため、できるだけ軽い剪定にしました。樹からは、逞しさや、生命力が漲っている感じを受けます。今期は、できるだけ枝を残し、実を多くつけさせて、夏にしっかり剪定して、バランスを取りたいと思っています。

このように、1本ごとに、予測をしてプランを立てたり、考えて試してみたりするのが、桃と対話しているようで楽しいです。

■発見と意欲

夕の子桃畑の桃の木は、重粘土質の土壌のせいか、生育はゆっくりしています。少し強めの剪定をしました。毎年甘い実をつけてくれるので、期待しています。

奥桃畑も、生育がゆっくりしていたのですが、はなよめや、日川白鳳は、1年ほど前から勢いが出てきたので、新しい枝を主体に仕立てていくことにしました。

石生の桃畑は、20年以上の成木ですが、元気です。今回、少し弱ってきた枝は大胆に落としました。切ったことが刺激となり、新しい枝が出てくると思うので、枝を更新して、若さを保ちたいです。

開墾畑はこれからですが、幼木は、骨格作りを軸に、きちんと躾のできた木になるように導きたいと思っています。桃の自然な枝の流れを尊重しつつも、桃に導かれるだけでなくて、自分の意志をはっきり持って、1番良いふうに仕立てたいです。実は、こう思うのも、これまで何本かの木で、躾が甘かったな、という反省があるからです。

剪定をしていると、毎年、新しい気づきや、発見があります。

枝がこの1年でどう伸びたのかということを見て、

(こうしてみたらいいんじゃないか)

と思うことや、

(こうしたらどうなるのか見てみたい)

と思うこともあります。

剪定だけでなく、土はこうしたら桃がもっと健やかに育つんじゃないかとか、この夏はこうしてみたいとか、剪定以外のことで見えてくることや、繋がっていくことも多いです。

未熟さを感じながらも、発見があると嬉しく、意欲が湧いてきます。

桃の枝ぶりや、木肌の色艶、切り口の皮下の緑と白の鮮やかさや瑞瑞しさ、今年伸びた枝や蕾の顔色を見ると、桃の力強さや生命力を感じて、頑張らなきゃ、という気持ちになります。

よりよい桃作りができるように、勉強を重ねていきたいし、誠実に桃に向かっていきます。