なのはなファミリーで見られる花――第31回『椿』――

◇なのはなファミリーで見られる花◇
〈第31回〉
『椿』

 
知らなかったのだ
   君が椿だったということを
 
そう、知らなかったのだ
   ずっとずっと前から、君がすぐそばにいたことを
 
気付かずにいたとはいえ、
   何の気遣いもせず傍若無人に振る舞っていた
 
君は揺るぎのない存在感でそこにいた
  小鳥達に憩いの場を与え、
    夏の盛りに日陰を作って人を休ませ、
      それが君の仕事なのだとばかり思ってきた
 

 
紅色の花を、朝陽の中に見つけたとき
        僕は一瞬、息が止まった
   深い感慨に襲われ
       身動きできなくなった
 
TSUBAKIという生命を、
    たった1つのかけがえのない命を、
       君はこんなにも美しく生きていたのだ
 
僕はなぜか己の驕りに恥ずかしさを覚え、
     ただ祈るように、すがるように、
        いつまでもその紅色を見つめていた
 

〈写真:さとみ
文:たけひと〉
〈撮影場所:
なのはなファミリー玄関前〉