「夢の初舞台」 まち

○夢のような1日

私は人生で初めて、フルマラソンを完走しました。夢のような1日でした。
なのはなファミリーに来るまで、フルマラソンの存在は知っていて、興味はありました。私も走ることや運動が好きだったので、どこか他人事のようには思えない催しものでした。
関西に住んでいたので、毎年秋頃に開かれる大阪マラソンや神戸マラソンの宣伝などを見かけるたびに、ああ、今年もマラソンが始まるんだな、と思っていました。

けれど、実際に自分で参加してみようとは思っていなかったです。楽しそうだし、いつかやってみたい気持ちもあるけれど、こんな自分ができるはずもないし、きっと縁もない、42.195キロを走りきる根性もなければ、体力や精神力もない、だからずっとどこかうらやましい気持ちを持ちながら、一生走ることはないのだろうと思っていました。

それが、なのはなファミリーに来たことで、夢が叶いました。

○身体を作る

2018年のウィンターコンサートを終え、年末年始のイベントがあっという間に終わり、2019年1月9日から、フルマラソン完走に向けての、フルメニューが始まりました。
正直、私はフルマラソンに憧れはあったものの、そこまで走りたい気持ちはなく、完走をするために毎日の走り込みやトレーニングをしなければならないのなら、もうフルマラソンなんて走れなくてもいい、できれば避けて通りたい、と思っていたので、フルメニューが始まったばかりの頃は、しぶしぶトレーニングに参加していました。
どうせ本番は3か月も先、まだまだだし、まだ始まったばかりだし気持ちがあまり乗らないなあ、そんなことも考えていました。

でも、毎日毎日、実行委員さんが考えてくれるトレーニングメニューが、私たちの体調を考慮しつつもみんなで明るく楽しく進められるものばかりで、私はいつの間にか毎日のフルメニューが楽しみになっていました。
特に、毎日一定の距離をみんなで走っていると、みんなとの一体感も日ごとに増してきていて、みんなのことがどんどん好きになっていきました。

みんなのことが好きになるような、私の気持ちの増大に比例するように、毎日走る距離も日ごとに長くなっていきました。
つい最近まで梅の木コースで2.5キロしか走っていなかったのに、もう石生コースと奈義コースを合せて7キロ近くも走っている、もうちょっと日が経つと、あっという間に九キロのなのはなコースを走っていて、最長では梅の木コース、なのはなコース、石生コース会わせて14キロほども走ることができるようになりました。

私のなかで、「いつか」だったフルマラソン完走の夢が、「もうそこ」に来ていることを身体で感じながら、毎日フルメニューに参加して、体力もどんどんつけていきました。

走る距離が長くなり、体力もついてくると、フルメニュー以外の作業でも、効率よく身体を動かせるようになりました。規則正しくいただいている食事が、自分の身体のなかですぐにエネルギーとなり、自分のためにも人のためにも動かせる身体作りをしていることを知りました。
たくさん食べて、たくさん動いて、十分な睡眠をとる。人間の基本的で丈夫な身体作りをしていくことができて、自分の身体がどんどん動くようになって、私はこんなに自分の健康な身体を感謝したことはなかったです。

3か月かけて行ったフルメニューも本番前日となり、最後のランニングにみんなで向かいました。走っていて、これでみんなで走るのも最後だ、信じられないな、寂しいし、もっと続いて欲しいけど、明日の本番で夢が叶うのは楽しみだな、そんなことを考えながら走りました。走っていて、やっぱりみんなのことが好きだと思いました。

振り返ると、フルメニューでランニングをしているとき、日によっては長距離のランニングがしんどく感じてしまったり、今日は身体が重いな、という日もあったり、なんとなく気が乗らない、と感じてしまう日もありました。
でもそんな時でも、どんなときでも、みんなが一緒に走ってくれるのだから、みんながいれば頑張れる、大丈夫、と思いながら頑張ってきました。
なるべく参加して、気分を上げて、自分に負けないように、精神力も体力と一緒に上げていけたと思います。

フルメニューは単にフルマラソン完走を目指すだけのものでは決してなく、みんなとのつながりを通して、精神力も上げてくれるものだったと思います。フルメニューをこなしていた3か月間は本当にあっという間で、私にとってかけがえのない期間となりました。
もしこれから、なのはなでの作業や、仕事を通して、くじけてしまいそうになっても、みんなで通り抜けたフルメニューのことを思い出すと、どんなことでもやり抜いていけそうな気がします。


○フルマラソン当日

本番当日。この日は5時起床でした。なんとなくみんながそわそわしている気配を感じて、私は起きました。みんな大忙しで出発の身支度をしていました。
ついにこの日が来た、本当に楽しみだった、今までの練習があれば、走り抜くことしか考えられない。私もみんなと一緒に今日は頑張ろう、そう思って、私も準備をして、出発の車に乗り込みました。

あんなちゃんが運転してくれる車で、現地に向かって、到着するとスタッフさんや河上さんやお仕事組さんが用意してくれた朝ご飯をみんなで車の中で食べました。
おにぎりが、紫黒米のおこわのおにぎりだったのですが、たぶん、私が今まで生きてきた人生の中で一番美味しいと思ったおにぎりでした。

食べるごとに胃の中で体の中から体中にエネルギーとして栄養が回っていくのを実感しました。もえちゃんやよしちゃんが作ってくれていた黒豆のパウンドケーキは涙が出るほど美味しかったです。
みんなの愛を十分に感じながら朝食をいただいて、完走できる気しかますますしなくなって、これから行われるフルマラソンに夢と希望を抱きながら、マラソンスタートの時間まで待ちました。

午前10時、ピストルが放たれ、ついにフルマラソンがスタートしました。私の近くにやよいちゃん、るりこちゃん、ゆいちゃん、さやねちゃんがいて、みんなフルマラソン経験者だったので、初めからとても心強い気持ちでスタートすることができました。
初めは謙虚に謙虚に、心の中でお父さんに言われたことをつぶやきながら、私は一歩一歩前へ進みました。

加茂の景色がとにかく美しかったです。黄色や緑、ピンクや赤という色彩が至る所に映えていて、私の心の余裕を補ってくれるような気がしました。
みんな本当に楽しそうに走っていて、自分も同じ中で走れることが嬉しくて、まず楽しさしか湧かなくなっていました。
フルマラソンってこんな感じなんだ、思ったより楽しいし、気持ちも心も軽やかだな、そう思いながら、いつも笑顔で、走ることができました。

また、沿道の地元の方の応援がとにかくとても優しかったです。見ず知らずの私にも、みんなにも、みんながまるで家族のように励まし合って応援してくれています。
ここに人間本来のあるべき姿を見た気がしました。みんなが家族のように、支え合って、励まし合って、応援しながら生きていくこと。
これが私の目指すべきあるべき姿なのでは、と思いました。


○全力を出し切って

前半のコースもある程度走ったころ、待っていた応援隊のみんなの姿が見えました。
「まちちゃーん、頑張って!」「まちちゃん、がんばれ!!」
大好きなみんなの顔と声が胸に響いて、自然と笑顔がこぼれます。応援のみんなに手を振るたびに、自分のエネルギーがどんどん湧いてくるのを感じました。
みんなの姿を見ると、どんなことがあっても大丈夫だと思えました。みんながいるから、思いっきり走れると思いました。
今までみんなで頑張ってきたフルメニューの成果を余すことなく発揮したいし、もう走れるのも今日が本番で今日が最後、もう最後は倒れるくらいの気持ちで、もう走らなくてもいい、と思えるくらい、とにかく悔いが残らないように全力を出し切って走りきろうと思いました。
走っていてちょっと寂しさとかしんどさを感じるといつの間にかみんなの応援の車が近付いていて、励ましてくれました。定期的にポカリスエットをもらって、水分補給をさせてもらいました。
みんなの応援で心も身体も潤わして、また新たな気持ちで前を目指すことができました。

初めてのフルマラソンは、みんなの力で無事に走りきることができました。最後にゲートの中に入ったとき、みんなが私を呼びながら笑顔で迎えてくれて、涙が出てきそうになりました。
ゴールテープを切ったときには、同時に誰かが私を抱き締めてくれて、こんなに多くの人とに支えられている私はなんて幸せなのだろう、と強く思いました。

○新しい力

今回のフルマラソン目標は、無事に完走することだったけれど、そんなことよりも、もっと大きな大きな感動を手に入れることができました。みんながいてくれたから、走りきることができました。

一緒に3か月前から身体を作ってきた仲間が、一緒に無事にゴールしたときの喜びは、自分1人でゴールするより何百倍も嬉しくて、涙が出てきました。フルマラソンを完走したことがあるという経歴は、自分の人生に大きなお土産を作ることができる、と思っていたけれど、もっと多くのおまけがついてきて、私の人生にとって大きな自信を与えてくれました。
人の暖かさ、地域の人とのつながり、なのはなファミリーのみんなの力。ありがたい力が私にどんどん降り注いできて、今回のフルマラソンを走りきることができました。本当にありがとうございました。

フルマラソンを通して得た新しい力を身に付けて、これからのなのはなでの活動をより精度良く、楽しくしていきたいと思います。
これは、私の人生にとっても、なのはなファミリーでの活動でも、大きな通過点に過ぎません。もっと成長できるように、もっと輝いていけるように、これからも頑張っていきたいと思いました。

●第27回津山加茂郷フルマラソン全国大会【感想文集】●

「みんなとの積み重ねが力に変わる」るりこ

「みんなとの宝物」まなみ

「自分ではないこと」まゆみ

「フルマラソンで学んだこと」まゆ

「夢の初舞台」まち

「まだ見ぬ誰かに繋げるフルマラソン」のりよ

「ミニマラソンを終えて」れいこ